今朝の朝刊に絵本作家の林明子さんの死が報じられていた。林さんは好きな絵本作家だ。というよりも50年以上も子どもの本専門店をやってきた一人として絵本作家林明子さんはなくてはならない絵本作家だった。(店の売り上げとしてもね)
店に来るお母さんが林さんの絵本を手に取ったとき「あッ!これうちの子にそっくりだ」と言のだ。こう発するお母さんたちは少なくはないのだ。
絵本の中に描かれている主人公がなぜ「うちの子」にそっくりかといえば描かれている主人公の女の子のしぐさこそが「うちん子」にそっくりなのだ。だから多くのお母さんの共感を呼ぶのだと思う。
ぼくはこれこそが林明子さんの絵本の最大の特徴であり、優れた点だと思うのだ。
「はじめてのおつかい」もそうだが、林さんの絵本は筒井頼子さんとの絵本が多い。中でもぼくが好きなのは「とんことり」だ。これも初版は「月刊の「こどものとも」としてだされたもので、今はハードカバーとして出ている
「とんことり」は一家で知らない町に越してきた主人公のかなえに友だちができるまでを描いた物語で、表題の「とんことり」というのは郵便受けに誰かが花や手紙を入れる音なのだ。今日はスミレ、次の日はタンポポとつみかさなりとうとう二人は友だちになるという話だ。友達になる二人はとてもおとなしそうで、遠慮がちに描かれている。かなえがお母さんと幼稚園に見学に行く場面では、遠くからじっとかなえを見ている女の子が描かれているがもちろんこれは文章には書かれていないが、おおぜいの子どもたちの中にその女子を描くことによってこの絵本の深みがぐんと増している。
優れた絵本作家は、テキストでかたられていない部分を絵によってかたり、それを子どもたちは必ず感じことができるだ。教えるのではなく感じる絵本(感性に訴えるものがある絵本)こそ優れた絵本の本質だ。
林明子さんのご冥福をお祈りします。