汽車からかけ足で降りた。

二つ並んだベンチの間を

思い切り通り抜け 紫陽花

の咲き乱れるのを横目で



見ながら細いほうの階段を

駆け下りた。

まじめくさった顔で駅員が

なにやらガラス

向こうのだれかと手招きで

何かを伝えてた。


わたしの凄さにおどろいた

様子の駅員におもわず笑みが

でたがぐいっとキップ🎫を

駅員の手に押しつけそこを

通りぬけた。


さっきから我慢してたものが

涙となって🤣。

拭けども拭けども流れ落ちる。


涙で先が見えなくなっていた。


やっとの思いでひとかげの 

ない田んぼみち逃げる

ように通過。


田んぼはしばらく続き

わたしは少し救われた。

稲穂🌾が風にあおられ美しい

しらべを生んだ。


その時少しおおきめのトンボが

じゃれあうように何度も

肩を目のまえを通り抜け

やさしいかすかな音をたて

通りぬけていく。


わたしはいつの間にか歩く

速度をゆるめていた。

いくらか広めの手すりの崩れ

かけた橋を渡る。


もう目の前は海だった。

かなしい別れ……🚃

あの日の駅員さん トンボ

 稲穂🌾そしてあの日のわたし

そしてわたしを救ってくれた


海!おおいなる海よ!

どこに行ったら会える。

そうか、津波が跡形も無く

消し去っていた。


だがわたしはすべて拾いあげる

一つのこらず。

いまもはっきり目に

やきついている。 

人間は強い。


何度でもたち上がる力を

持っている。


なんと、素晴らしいことか。

もう一度あの日をこの手に。


☆……🍀🤗💌🍅🍊🧰…☆