ひとの彼女なんてどうでもいい。ホントもうどうでもいい。 | いとおかし

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追いつきたかった人には追いつけなかった、


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友達が彼女と駅前デートをするらしい。


先日、その日最後の授業を受けているときにそんな情報をキャッチした。
なんでも、僕の通っている大学の最寄り駅の横にある、本屋だとかゲームセンターだとかちょっとした雑貨屋だとかがある、でもしょぼい感じのショッピングセンターでデートをするらしい。

ふーん、あっそ。

本当にもうね、興味なんてないんだけれど、
なんでもちょうど僕らが帰る時間と同じくらいの時間に駅前で待ち合わせらしい。
あと、結構かわいいらしい。


ふーん、あっそ。
でも、まあ。でも、まあ偶然。
本当に偶然にたまたま見かけちゃう事ってあるよね。
誰も、望んでいないのに不可抗力でばったり会っちゃうことったあると思う。


「ところでさあ、全然関係ない話だけれど、
なんで日にちだけならいざ知らずデートの場所とか詳細な時間まで知ってるわけ?」

「ああ、あいつの手帳に全部書いてあった。
デートって書いてあって、その下に時間と場所まで。」

「ジーザス」


そうしてしばらく駅前をうろついていたのだが、それらしい人影はなかった。

「これはブラフを踏まされたのでは!?」
「手帳が読まれることを予想して嘘の情報を書き込んだと?」
「彼にそんな諜報技術が」
「ジーザス!!」

結局、偶然デートにはち合わせることは終になく、
僕らは失意を胸に家路に就いたのである。



しかし、今になってその彼女を見ないで良かったのではないかと思うのだ。

というのも僕らは事前に、その彼女は可愛いらしい、という確かな情報をキャッチしていたた。普段あまり女の子に対して「可愛い」だとか「きれい」だとか言わないような友人が「あいつの彼女は可愛い」と言っていたのだ。
それはもう、デスノートに名前を書かれた人間が40秒後に心臓麻痺を起すのと同じくらい確実なことなのだ。


しかし、なにごとにも例外はある。
デスノートに名前を書いた後40秒以内に死因を書けば、更に6分30秒間詳細な死の状況を記すことができるのと同じように、友人の「可愛い」と僕の(あえて僕らとは書かないけれど)「可愛い」が違うのもである可能性もある。

早い話、可愛くないという可能性もあるというわけだ。

もちろん、可愛くないことが悪いことではない。
容姿なんてものはその人の人となりを判断するのに少しも寄与しない、なんてことはないけれどあくまで判断基準の一つでしかあり得ない。性格の良さ、似た価値観、夜の相性、3000年の間深海に眠っていた古代生物の襲撃によって沈みゆく豪華客船から手を取り合って命からがら二人で脱出し無人島で二人でしばらく過ごすことになった、エトセトラ。彼氏彼女関係になるには彼氏彼女の数だけ理由があるのだ。そこにあって容姿なんてものは取るに足らない些事でしかない。いうなればエッセンスだ。

しかし、僕らは別にその可愛いと噂の彼女さんと付き合いたいわけではない。
ただ単に怖いもの見たさならぬ、可愛いもの見たさだ。誰だって駅前に佐々木希があらわれたと聞いたら見に行きたくなる。


なのにそこに現れたのが佐々木久子。リングネーム北斗晶だったらどうか。

さっきは「容姿なんて~」とか言っていたけれど、
やれ「あいつが可愛いと言ってたくらいだから相当に違いない」「きっと佐々木希似だ」「いや武田咲かもしれない」「いやいや、本田朋子がいい」なんんて僕らの脳内彼女さん像はハイパーインフレ状態、ストップ高を記録していたのに、実際はプランチャ・スイシータを得意技とする北斗晶だなんてとんだデミノ政策だ。ひどい。
誰かがショックのあまりデスノート「北斗晶」と4回書き殴っても止めないレベルだし、そもそも「北斗晶」なる名前の人間はこの世に存在しないから佐々木久子と目の前の彼女さんは以降デスノートが効かなくなる。ひどい。


しつこいが、可愛くないことは悪いことではない。
では悪いのは勝手に超絶可愛い彼女を期待していた僕らなのか。
否、僕らに「あいつの彼女は可愛い」と言ったあの友人だ。
しかし、「可愛い」と思った彼のその感性や志向は彼個人のものだ。決して貶めるべきではない。
誰も悪くなどないのだ。

誰も悪くないのに生まれた僕らの中の感情は、
頭の上をくるくる回って、すうっと空気にとけていった。

誰も悪くなんてないのに、こうして世界に悪意が満ちていくんだ。

あの日、僕らは世界の本当を知った。



みたいな事があるかもしれない訳です。
だからあの日の僕らは彼女さんに会わなくてよかったのです。
本当にもう、上げ過ぎたハードルなんて誰も越えられないからね。








なお後日、その友人に携帯で撮った彼女さんの写真を見せてもらったら、AKBの前田敦子さんを10倍くらい可愛くしたような割と本気で可愛い人でした。


誰も悪くないのに生まれた僕らの中の感情は、
頭の上をくるくる回って、すうっと空気にとけていった。

誰も悪くなんてないのに、こうして世界に悪意が満ちていくんだ。

あの日、僕は世界の本当を知った。



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