MIT Tech Review: 「宇宙生まれ」は誕生するか?地球外生殖に挑む起業家 (technologyreview.jp)

 

「MIT Tech Review: 「宇宙生まれ」は誕生するか?地球外生殖に挑む起業家」がちょっと面白い。

 

「宇宙旅行が一般的になる時代に備えて、あるスタートアップ企業は宇宙での体外受精(IVF)実験に挑戦しようとしている。宇宙への移住は可能になるのだろうか。」

 

「現在、エーデルブルックは、地球外におけるヒト生殖研究のパイオニアとなることを目指すバイオテクノロジー・スタートアップ企業であるスペースボーン・ユナイテッド(SpaceBorn United)の最高経営責任者(CEO)を務めている。エーデルブルックCEOは2024年、ミニラボをロケットに載せて地球低軌道に送り、そこで体外受精(IVF)を試みようと計画している。もし成功すれば、エーデルブルックCEOは自身の研究が将来、人類の宇宙移住への道を開くことになるかもしれないと期待している。」

 

「深宇宙探査や移住への関心は、イーロン・マスクやジェフ・ベゾスのような億万長者によって刺激されたこともあり、急激に高まっている。ヒトが宇宙の軌道にいるときに、生殖生物学的に何が起こるかについては、まだほとんど分かっていない。全米アカデミーズが2023年9月に発表した報告書は、宇宙空間での人間の生殖に関する研究はまだほとんど例がないと指摘し、宇宙空間が生殖にどのような影響を与えるかについての理解は、「長期的な宇宙探査に不可欠であるが、これまでほとんど調査されてこなかった」と付け加えている。」

 

「しかし、ほかの研究では、潜在的な問題を指摘するエビデンスが見つかっている。1983年にソ連の人工衛星で妊娠第3期の大部分(合計5日間)を過ごした妊娠ラットは、陣痛と分娩の際に合併症を発症した。地球に帰還した宇宙飛行士と同様、ラットも疲労し衰弱していた。分娩が通常より長引いたのは、おそらく子宮筋が萎縮したためだろう。同じ母体から生まれたすべての子が出産時に死んでしまったのは、母体の衰弱が一因と思われる閉塞症の結果だった。」

 

「このような研究の結果は、宇宙への移住が現実になり得るかどうかについて、多くを明らかにするだろう。しかし、エーデルブルックCEOにとっては、動物を使った複数世代に渡る研究がいまだ承認されていないという事実こそが、彼の会社の存在意義なのだ。エーデルブルックCEOの研究は、一部の人々を不快にさせるかもしれないが、彼は限界に挑戦することが重要だと考えている。

 

「人類は常に、快適に過ごせる空間を広げることで恩恵を受けてきました」と、エーデルブルックCEOは言う。「私に言わせれば、宇宙でもこれを続けることは素晴らしいことなのです」。」

 

 

小松 仁