【ブログ】交通事故の受傷で積立休暇(福祉休暇)を使用したら,休業損害として賠償請求できるか | いたむら法律事務所のブログ

いたむら法律事務所のブログ

山口県防府市にある法律事務所です。
山口市,防府市を中心に周南市や宇部市など山口県内全域のお客様からご相談,ご依頼をいただいております。
法律事務所を少しでも身近に感じていただけたら幸せます。


テーマ:

藤村です。

今回は真面目なお話を…。

「交通事故受傷により積立休暇(福祉休暇)を使用した場合,休業損害として賠償請求できるか」

というマイナーな交通事故賠償の論点があります。

 

このお話をする前提として,基本的な話を3つ。

①休業損害とは?

 「交通事故で怪我をして,職場を休んだので,給料が減った」という場合には,基本的に相手方に賠償請求ができます。

 では,

 「交通事故で怪我をしたが,職場を休めなかったので,無理して働いた」

 「交通事故で怪我をして,職場を休んだが,職場の配慮で減給がなかった」

 という場合には,賠償請求できません。

 なぜなら,休業損害はあくまで実損害(消極的損害)なので,損害が発生しないと認められないからです。

②有給(年次有給休暇)を使用したら?

 有給ですので,損害はないように思えます。

 実際に,10年以上前の裁判例では,休業損害として認めず,慰謝料で考慮するものがありました。

 現在は,認めるのが通常かと思います。

 厳密な理由を説明するととても長くなりますが,

 簡単にいうと年次有給休暇が目的を問われずに使用できることや買取制度があることもあるので,

 損害が発生したとみなす(擬制する)ということだと思います。

③積立休暇(福祉休暇)とは?

 これは,未消化の有給休暇を積立できて,傷病時に利用できる制度です。

 (欠勤扱いとしないための福利厚生の制度でもあります。)

 会社によっては「積立休暇」「福祉休暇」と名前は違いますが,中身は大体同じです。

 

前置きが長くなりましたが,本題に入ります。

「交通事故で怪我をして,積立休暇を利用したら,賠償請求できるか(休業損害になるか)」

下級審裁判例では肯定例(休業損害として認める)ものもありますが,厳密な主張が尽くされたか疑問です。

とある弁護士さんのブログでは肯定すべきじゃないかという意見を見たこともあります。

しかし,休業損害の厳密な意味を突き詰めると,認められないというのが私見です。

 

先日,裁判でこの問題が争点になりました。

結論としては,裁判所より積立休暇使用の休業損害性を否定する和解案をいただき,和解が成立しました。

(賠償請求される側の保険会社代理人でしたので,当方主張が認められた勝訴和解になります。)

マイナーな論点,かつ,和解により日の目をみることのなかった裁判所の判断となりましたが,

未解決な法的論点について,主張を尽くし,裁判官にその主張が認められたことは…

法律家冥利に尽きます。

 

ではではパー

いたむら法律事務所さんをフォロー

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス