時代劇 | 板前日記

板前日記

1999年 web日記とよばれた時代から書き続けている店主の日々の記録です。
板前の日常を垣間見ることで、パンフレットでは書ききれない店の姿勢までうかがえるかもしれません。

時代劇は今瀕死の状態といってもいいかもしれません。

 

一昔前には週に何本かの時代劇ドラマがあり、一定のファンが存在していました。

 

定番の水戸黄門がなくなり、暴れん坊将軍がなくなり、鬼平犯科帳がなくなり、黒澤亡き後映画でも大作はまれです。

 

小道具一つとっても受け継ぎ継続する体制が崩れてしまうと、一気に時代劇の火は消えてしまうのだと春日太一さんが語っていたことを思い出します。

 

 

さてそんな中、NHKだけはまだ細々と時代劇を続けています。

 

先日BSで放映されていた「だれかに話したくなる山本周五郎日替わりドラマ2」は今では現代劇でも少ない30分という時代劇ながら、毎日密度の高い内容でした。

 

普段あまり脚光を浴びていない役者が主演でも、制作者の意気込みが違うのです。

 

演出 脚色 音楽 美術 衣装 メイクどれをとっても一級品で、なにより原作の素晴らしさとそれに対する畏敬の念が全体に溢れています。

 

 

なかでも「日本婦道記」に収録されている「松の花」の甲本雅裕さんは素晴らしかったです。

 

あさドラの演技でも圧倒されましたが、「松の花」では主人公の内面を深く理解し、押さえた演技で見事に視聴者に大きな感動を与えてくれました。

 

バイプレーヤーであった方が、年齢を重ねるごとに味わいが深まるのを目の当たりにすると嬉しくなります。

 

ドラマの魅力の大きな部分は原作にあります。

 

時代劇には短編でも山本周五郎や藤沢周平などの名手がたくさん存在します。

 

たった30分で、華やかな役者を使わなくても、繰り返してみたくなるドラマが実際できているのです。

 

今一度制作者さんたちが目を向けて下ると嬉しいなぁ。