【羽ばたき振戦】
通常、体内でたんぱく質を分解する過程で
生成される、有害物質のアンモニアは、
肝臓で無毒化されて、尿素に変わり、
尿として排泄される。ところが、肝硬変
などによって、肝機能が低下した場合、
肝臓がアンモニアを、処理できなくなり、
脳に運ばれたアンモニアが、肝性脳症を
引き起こす。羽ばたき振戦は、肝性脳症の
神経症状のひとつである。
…このように、振戦は、
重度の肝硬変であることを知らせてくれる、
大事なシグナルだったのです。
そして、この振戦の症状こそが、
結果的に、夫をすんでのところで救う
きっかけとなりました。
最初は、手が小刻みに震えるくらい
だった、振戦でしたが、
10年前の3月、3回目の入院中に、
夫の身体全体が、
大きく震えるようになったのです。
それを見た若き主治医が、
「この症状は、肝硬変の末期症状で、
いつ、肝不全が起こっても、
不思議ではありません。
明日の朝、ベッドで亡くなっているかも
しれません」
と、私に告げました。