いすけ屋

 まだロシアが犯人と決まったわけでもないのに、各新聞テレビは総じてアメリカの言い分を信じている。米国防総省のカービー報道官が、「マレーシア航空機を撃墜した地対空ミサイルがロシア製”BUK(SA11)”だったことを示す”非常に強力な証拠がある”」と言ったからって、そのまま鵜呑みにするのは危険である。イラクでもそうだったように、アメリカの情報収集力は最近あてににならない。たしかに使用されたミサイルは高度1万メートルを考えるとロシア製BUKの可能性は高いが、その程度の能力を持つ地対空ミサイルは、今ではどの国だって持っている。身近なところではウクライナ軍も同じミサイルを持っているし、ここには誤射の前科がある。

 実は、ウクライナ上空でミサイルによる民間旅客機撃墜事件は今回が2回目である。前回は2001年10月4日、黒海上空を東進中のシベリア航空(現在はSA7)、テルアビブ発ノボシビルスク行き、トゥポレフTu154型(乗員乗客78人搭乗)がウクライナ軍の地対空ミサイル誤射で撃墜されたのだ。ウクライナ政府は停戦協議を蹴ったばかり。親ロシア派軍にロシアから武器の供与が当然増えるものと恐れていたときだ。特に場末の兵隊はおびえていた。ただの民間機を、爆撃機を供与されたものと思い込み、またやっちゃったということもあり得ることだ。

 最近は戦場ジャーナリストが減ったのか、いなくなったのか、現地のシビアなレポートがない。大手でも通信社などのニュースを買っている時代である。しかも、報道は「親ロシア派の誤射」ありきでなされているので、他のケースを想定するメディアもない。(いすけ屋)がこうやって、勝手な妄想をブログに書くぐらいでは屁にもならないが、すぐに飛びつく日本人の性格を心配して、敢えて書かせてもらった。原発事故以降、「想定外」があってはならないと、肝に銘じているからだ。