復興ドキュメントが目立つ「3・11」特集で甲状腺がんを取り上げた「報ステ」に拍手
(日刊ゲンダイ03月22日)


 3月11日ごろには震災をあつかったニュースや特番は内容が似通っていた。たとえば「”大震災を忘れない”遺族たちの3年の記録」「”あの日”生まれた命」「津波の中の出産ドラマ」(NHKスペシャル)と、切実な内容とはいえ被災者の頑張りを見せて視聴者を感動させるドキュメントだ。NHKはいいほうで、民放は被災地をリポートし、「復興にはまだ遠いのが現実です」という一言で締めくくるパターンばかり!


 そんな中、今でもネットで話題なのが11日の「報道ステーション」だ。他のニュースでは放射能を扱ってもせいぜい「シーベルトがいくつだ」 「基準値以下か」 「3・11からこれだけ漏れた」と数字的なことに終始する。人体にどういう被害が出ているのか伝えなければ、国民の恐怖心や危機感はゼロのままだ。


 「報ステ」は「福島の33人の子供が甲状腺がんになっている」というタブー視されてる事実を大々的に特集! 甲状腺がんと診断された母親に古館伊知郎氏自らインタビューし、さらにチェルノブイリとの比較や、がんの疑いのある子供への福島県立医大の対応についてもキッチリ苦言を呈した。


 ネットでは「お見事!」という称賛と「福島の子供にがんが33人!」と内容を広げる書き込みが目立ち、投稿サイトのみならず個人のブログにもオンエアの動画がたくさんアップされている。


 古舘キャスターは2年前の3・11の原発事故特別番組で「圧力がかかって番組を切られても本望」と語った。その覚悟が本気かはわからないが、古舘氏の事務所「古舘プロジェクト」(制作協力)の作家も加わって、優秀なスタッフで時間をかけて作ることが、タブーを破れることにつなかっているのだろう。「報ステ」の特集に力強さがある理由だ(忘れてはいけないが取材に応じてくれた母親に拍手)。


 「大震災を忘れない」と”終わった過去のこと”として振り返るのではなく、今も被害は拡大しているという視点で警告するニュースが増えてほしい。

     (作家・松野大介



いすけ屋


 先日「報道ステーション」のこの番組を批判したばっかりだが、逆に拍手を送る記事が「日刊ゲンダイ」に載っていた。投稿者の松野大介氏は元お笑いで、中山秀征の相方だったそうな。元お笑いだから云々するつもりはないが、この人もあまりにも非常識なので、お笑いじゃないけど、ほんとに笑ってしまった。


 ただ、前回α線についてヨウ素が発するもののように書いたが、私の記憶違いであった。正しくは甲状腺がんになる放射性ヨウ素131は半減期が8.1日で、8日後で50 %、30日後で1/13、60日後で1/170、90日後で1/2200になる。これをα線の飛距離8センチと混同していた。訂正してお詫びする。いずれにしてもヨウ素131は内部被曝しかあり得ないし、日本人は海藻類を食するので、チェルノブイリとは違うのである。なお、汚染した牛乳を飲んだチェルノブイリ周辺の子供たちに甲状腺がんが発症した環境と比べて、福島は決定的に違うことも付記しておく。


 つまり、やたら恐怖を煽った「報道ステーション」に拍手を送る作家の頭の方がどうかしていると思うし、それを掲載するのは、やっぱり「日刊ゲンダイ」である。さすがだ。