いすけ屋


 ロンドン・オリンピックが閉幕した。今回は歳のおかげで仕事は現役を離れ、結構夜中のテレビ中継を見ることができた。中でも欠かさなかったのは柔道、レスリングで、一回戦からほとんど全て観戦出来た。ルールがどちらも少し変わっていて、最初は違和感があったが、慣れるより仕方なかったと言う面もある。


 例えば、柔道では「効果」が消え、その代わり「指導」×2で相手方に「有効」が入る。3枚だと「技あり」だ。「有効」の上が「技あり」。そして「一本」。「技あり」2本で「合わせ一本」だ。ところが、「技あり」と「有効」の区別が、審判によってまちまち。さらに今回からビデオ審査する「ジュリー」という部門ができて、これが混乱を招いていた。


 あと、タックル技が禁止された。「立技において、相手の帯より下に、腕または手で直接攻撃することを反則とする。1回目は『指導』、2回目は『反則負け』」となっている。これで、外国人選手の足取り技がなくなり、日本人選手はやり易くなったと思う。


 後味の悪かったのが、日本VS韓国の延長戦だ。審判が「有効」としているのに、ジュリーが止めて、「取り消し」に変更し、終わった試合を継続させた。旗判定のとき、その「有効」を取られた青に3本の旗があがり、会場は大ブーイングとなった。あわててジュリーが主審を呼び、旗判定をやり直させ、白3本があがって日本選手の勝利となった。はっきり言って、韓国はここでも審判を買収していた疑いを残したのだ。もう、どうしようもない国である。


 柔道で感じたのは、日本選手がすでに「一本」狙いをあきらめ、相手の「指導」狙いになってしまったことだ。得点して勝負に勝つ。そんな戦法に変わってしまったように思える。オリンピックのせいか選手は思い切りが悪く、大技をかけられない。メダルを取った選手は、前に出て適当に足技をだし攻撃しているように見せかけているだけ。審判のレベルも低いから、そこに指導は出せない。そして相手に「指導」を2枚取らせて勝利する。メダルを取れなかった選手は、明らかに責めて行けなかった。それでも、投げられたわけでもないのに「指導」で敗戦とは、なんか後味の悪い試合だ。これが近代JUDOなのだ。


 レスリングにも一言ある。フリースタイルの場合、何時からこのルールに変わったのか、試合が3ピリオド制になり、1点でもリードしていれば、そのピリオドは勝ちとなる。1対1の同点ならば、後から1点取ったほうが勝ち。2点以上の同点でもそうだが、大量点、例えば2点技、3点技を取ったほうが勝ち。1ピリオド6点でテクニカル・フォール勝ち、2ピリオド先取で勝負は勝ちとなる。1ピリオド2分である。


 このため、1分経過したころに、タックルとか技をかけ、後ろを取って1点とったとすると、後は時間がくるまで防御の試合をする。逃げ切れたら、そのピリオドは勝ち。開始早々、1点取っても、2分まじかに1点取られれば負けである。あまり早めに得点しても、後半で返されたら同点でも負けとなる。どうもここが解せない。


 あと、2分間0対0で得点なしの場合、ボールピックアップによって、勝った選手(シングレットの色と同じボールの出た選手)が攻撃権を獲得する。相手の右足か左足を指定し、片足へのタックル状態から試合を再開し、ポイントを取った選手がピリオドの勝者となる。なお、ボールピックアップの勝者、すなわち攻撃側の選手が30秒の間にポイントを取ることができなかった場合は、警告が与えられ、防御側の選手が1点を獲得し、ピリオドの勝者となる。


 こうなると、もう「運」である。片足タックル状態から試合を再開すれば、有利に決まっている。レスリングは長くても6分30秒でケリが付くように考えられたのであろう。柔道も5分と延長3分計8分でケリが付く。テレビ中継やら、スポーツも商業主義的に変わりつつあるのか。総じて、柔道もレスリングも、面白くなくなってきた。ルールに問題があると思う。