いすけ屋


 今日は何の日?と聞いて、「えっ、明日でしょ?」とか、「ゴールデン・ウイーク最初の日」と答える人は、ほんとの保守ではない。確かに明日(29日)は、「昭和の日」以前は「天皇誕生日」だった。それに、実は私達夫婦の結婚記念日でもある。


 そう、今日(4月28日)は、主権回復記念日である。第二次世界大戦以来の戦争状態を終結させるためにサンフランシスコで調印された日本と連合諸国との講和条約が、1951年(昭和26年)9月8日調印され、1952年(昭和27年)4月28日発効し、約7年に及ぶ占領から解放され、日本の独立が回復したとても大事な日だ。


「風さゆる み冬は過ぎて 待ちに待ちし 八重桜咲く 春となりけり」
 

 この時の昭和天皇の御歌である。昭和天皇は占領下の七年間を「風冷える冬」、風の冷たい冬だ と認識しておられたわけである。早く桜が咲かないかな、咲かないかな 、なかなか咲かない、ようやく八重桜が咲く春となった。こういう歌である 。それを当時の日本人は忘れていたし、政治家も忘れていた。


 小沢判決で新聞各社は頭が真っ白なのか、主権回復記念日について書いているのは産経新聞のみで、他社はまったくスルー。いかに日本のマスコミが「左巻き」かがよくわかるデータだ。本来なら5月3日の憲法記念日より、今日の4月28日の方が、日本国にとっては、よっぽど重要である。保守の諸君には必要ないが、一応何故重要かを説明しておく。


 マッカーサーの指令で草案が起草された日本国憲法は1946年11月3日に公布され、半年の準備期間を経て翌1947年5月3日から施行された。所謂GHQ制定押し付け憲法である。せっかく、1952年(昭和27年)4月28日に主権回復がなったにも関わらず、その後60年間も日本は改正もせずありがたく、押し頂いてきたのだ。


 ただ、講和条約のいきさつも少しは知っておいた方がいいと思う。


 サンフランシスコ平和会議には日本を含む52カ国が参加した。だがすべての国が調印したわけではない。まず、ソ連・ポーランド・チェコスロヴァキアの3カ国は調印していない。またインドは会議そのものに参加しなかった。(但し講和条約発効後、自主的に戦争状態の終結を宣告している。)インドネシアは調印したものの批准しなかった。さらにビルマは不参加。台湾(国民党政府)は講和条約を締結したが、中国(共産党政府)は参加を認められなかった。


 この条約によって日本は政治および経済条項で特別の義務あるいは責任が課せられなかった。また賠償についても日本の弁済能力が不十分なことを認めて、役務賠償や連合諸国による在外資産の管理や処分を明記したものの、連合諸国は条約に特に定めがない限り賠償請求権を放棄すると規定されていた。


 領土問題に関してはいくつかの遺恨を残した。沖縄などの諸島は米国信託統治下とされたが、千島列島・南樺太に関しては帰属する国家を明記しなかった。これが北方領土問題の原因となっている。またこの時期、朝鮮戦争が勃発した。ダレスは対日講和条約が懲罰的な条約とならないように心がける。これは第2次世界大戦の原因ともなったヴェルサイユ条約の二の舞とならないようにする為であった。


 だが12月には中国軍の介入により朝鮮戦争は米軍は不利になる。再び対日講和に反対する統合参謀本部を説得し、講和を進めるが、翌1951年(昭和26年)1月~2月再び悪化する。在日米軍の殆どすべてを朝鮮半島に投入した場合に備えての予備兵力として、日本軍の再軍備を迫り、結果講和条約の前提条件として再軍備が決定。当時の総理大臣 吉田茂はこれを受け、警察予備隊(後の自衛隊)を発足させることとなった。


 講和条約により日本の独立回復が出来た本当の理由の一つとして、ダレスに要請された『中国共産党政府を承認しないと誓約する吉田書簡』の存在があったためである。そしてサンフランシスコ講和条約は締結された。だが、先にも述べた通り単独講和(多数講和)であった。この講和条約で国交が回復しなかった残りの国家とはその後順次国交を回復して行く。


1954年(昭和29年)、ビルマ(現:ミャンマー)
1956年(昭和31年)、ソ連
1957年(昭和32年)、チェコスロヴァキア・ポーランド
1958年(昭和33年)、インドネシア
1972年(昭和47年)、中華人民共和国


 田中内閣は、ダレスとの約束を反故にして勝手に日中国交回復を図ったので、アメリカは激怒し、国策捜査によって退陣を余儀なくされた。田中角栄は最初の国策捜査の被害者ともいえる。


 このように、朝鮮戦争がなかったら、日本は自衛隊すら持っていなかった可能性もある。地政的に日米安保は必然であったし、今後も重要である。しかし、日本はいまだに独立していない。主権回復したとはいえ、相変わらず内政ですらアメリカの意向に添わなければならない。まさに小泉政権、野田政権はその典型である。


 よって、今日(4/28)と言う日を「独立記念日」にして、国民がそろって、「領土」と「拉致」について真剣に考える日としなければならない。5月3日は新憲法を施行して、真の憲法記念日にしなければならない。(別の日にすると、ゴールデンウイークの一角が崩れるから)