「再生エネルギー特別措置法案」、ほんとに通すんですか? 誰も反対する人いないんですか?



麺通団公式サイト  
2011年8月25日(木)田尾和俊四国学院大教授
http://www.mentsu-dan.com/diary/bn2011_08.html


(抜粋)

●太陽光発電の発電電力量…太陽光発電パネル1㎡あたり、年間「150kwh」

●太陽光発電パネルの設置費用…太陽光発電パネル1㎡あたり、「約10万円」 

太陽光発電の初年度発電コスト…1kwhあたり、「667円」


●原子力発電の発電電力量…1基あたり、年間「約80億kwh」

●原子力発電の建設費用…1基あたり、「約3000億円」

原子力発電の初年度発電コスト…1kwhあたり、「38円」


 なるほど、太陽光発電のコストは原子力発電の20倍近く高いのか。あと、原子力発電は核廃棄物処理費用が上乗せになるけど、太陽光発電も蓄電設備と送電設備が上乗せになる。それと、原子力発電は事故が起こった時に周辺に人が住めなくなるというリスクと補償金額が発生するとよく言われるけど、太陽光発電も広大な土地をパネルで埋め尽くすのだから事故が起こらなくてももともと恒久的に人が住めないし、恒久的に巨大な自然破壊になるから、原発のリスクだけを挙げるのも不公平でしょう。

 

*日本の総発電電力量=年間約1兆kwh
*原発の総発電電力量=年間約3000億kwh(全体の30%と言われているので)


 という基礎数値を信用して、原発の発電電力量を全部太陽光発電に置き換えるとすると、太陽光発電の1㎡あたり年間150kwhで3000億kwhをまかなうためには、何と「2000k㎡」が必要になる。ちなみに香川県の面積が1876k㎡、大阪府が1897k㎡で東京都が2187k㎡だ。


 で、その2000k㎡をパネルで埋める設置費用が、さっきの定価を単純にかけると「200兆円」! つまり、原子力発電を太陽光発電に置き換えようというビジョンは、
(1)200兆円を投入して、
(2)香川県全部を未来永劫人が住めなくして、自然も全部つぶしてパネルで埋め尽くして、
(3)日本の総発電電力量の30%だけをまかなおう


という姿を目指していることになる。それは、子孫に残すべき日本の姿なのか? しかもその200兆円は、税金なのか電気代アップなのか知らんけど、どっちにしても私らと子孫が被ることになる。菅直人首相や神奈川の黒岩知事はお金のことを言わんが、絶対私らと子孫が200兆円を被ることになる。


 太陽光発電の電力を電力会社に買い取らせることを法律で決めたら、
(1)太陽光発電業者は、作りだした電力はコストに見合う金額で必ず買ってくれるのだから、絶対に損をしない。仮に買い取り金額を低く抑えても、事業者が赤字になるのでは普及しないから、必ず税金か何かで補填することになる。
(2)電力会社は、買い取った電力を買い値に見合う値上げでカバーしてもよいという法律があるから、絶対に損をしない。


 原子力発電の20倍も高い電力を作り出して、「当事者である業者も電力会社も損をしない」となると、電気を使う国民と企業が損をするのは明らかじゃないですか。その総額は200兆円! 仮にコストダウンして設置費用が半分になっても100兆円!


 ちなみに、電力の買い取り金額は政府が決めるのか第三者機関が決めるのか知りませんが、どっちにしても市場の需給で決まるのではなくて「お上」が決めることになるんでしょう。「お上が定価を決めるビジネス」は、介護保険と同じで必ず歪むと思います(税金投入で歪み、労働条件で歪み、競合の民間ビジネスを歪め、ひいては自由経済自体を歪める)。・・・太陽光発電自体はいいことだと思うから普及するに越したことはないけど、こんな法律でビジネスを歪めるのは根本的に間違っていると思う。




いすけ屋


 このブログは、「勝谷誠彦の☓☓な日々」でリンクされていたものだ。読ませてもらい、私の意見と同じでありなおかつ的を得ているので、ここで抜粋紹介させて頂く。田尾和俊教授はコストの面から「再生エネルギー特別措置法案」の不備を批判されているが、分かり易い話で、納得出来る。私が言う「自然エネルギーの電力変換は不安定だからベース電力には使えない」と言う面からも攻めていただくと、完璧である。


 電気自動車用の蓄電池はどんどん技術開発されて、使用時間も延びているが、現在のリチウム・イオン式ではまだまだ危険性を秘めている。ノートパソコンが火を噴いた事故は、完全に安全になったわけではない。それに適応電圧が低く、家庭用電気を貯めるなら鉛蓄電池があるが、価格も高く、停電時でもせいぜい3時間が関の山だ。一般家庭はこれでもいいかもしれないが、企業はそうはいかない。


 発電効率が15%とかいってごまかすが、年間のトータル発電量ではなく、最低発電量をマークしないと大変な目にあう。メイン電力の一部を担わせていると、その瞬時でブレークするからだ。曇天や降雨で光が届かないと発電量ゼロのメーカーもいっぱいある。ややこしいのは、ソーラーパネルは真夏日や猛暑日では却って効率が悪くなることだ。従って、家庭で一番電気の欲しい時に、施設電力は得られない。その時、騙されたと怒っても遅いのだ。


 太陽電池は温度が低いほど発電効率が上がり、逆に温度が高いと発電効率が下がる。温度損失は、10℃上昇で4%程度である。猛暑日でパネルが50℃まで温度上昇したとすると、基準温度(25℃)からの差が25℃であるので、10%も効率が下がることになる。


 蓄電池と共に太陽光発電システムを考えるならば、一般家庭の補助電源として充分役に立つ。それでも、パワーコンディショナーだけでも40~50万円し、蓄電池も70~80万円出しても冷蔵庫、テレビ同時使用で3時間程度しかもたない。パワーコンディショナーは耐用年数10年なので、10年で元が取れなければ元も子もない。300万円程の「はした金」がある人で、まだソーラーパネルを設置していない人は、この法律が生きているうちに整備しておいた方がよい。「はした金」もなく、パネルを設置できない人達の電気代で、高い売電が出来るから。