電力不足、値上げ、失業… 原発全停止で空洞化加速 ベース電源喪失で綱渡り
    
2011.7.29 21:58
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110729/trd11072921590031-n1.htm


 菅直人首相が打ち出した「脱原発依存」に基づき、政府のエネルギー・環境会議が29日、中長期のエネルギー戦略をまとめたが、拙速な見直しは、「電力危機」を招きかねない。定期検査で停止している原発の再稼働も盛り込んだが、国に対する立地自治体の不信感は強く、国内の原発がすべて停止する事態も現実味を帯びる。電力不足に加え、代替燃料の調達増加に伴う電気料金の値上げが企業を直撃。海外への生産移転が加速し失業者が20万人増え、成長率を3%以上押し下げるとの試算もある。


 茨城県神栖市にある東京電力の鹿島火力発電所の4号機が27日に補修のため停止した。昭和47年に運転を始めた老朽機で、部品の経年劣化で燃焼ガスが漏れるトラブルが発生したためだ。再開予定の8月6日まで供給力は60万キロワット低下する。


 東電は、東日本大震災直後に3100万キロワットまで落ち込んだ供給力を最大で5670万キロワットまで積み上げるめどがついた。これまでの最大使用量は7月15日に記録した4627万キロワットで、数字の上では十分に余力がある。だが、実際の供給は綱渡りだ。


 電力供給は通常、ベース電源と呼ばれる原子力、石炭火力がほぼ24時間でフル稼働。日中のピーク時に出力を一気に上げることができる石油、天然ガス火力を稼働させ、対応するのがセオリーだ。


 だが、東電は福島第1、第2原発に加え、新潟県の柏崎刈羽原発2~4号機も中越沖地震の影響で停止中で、計1240万キロワットのベース電源を喪失している。この結果、石油、天然ガス火力も本来は想定していない長時間運転を強いられている。過剰な負荷で鹿島火力のようなトラブルが相次ぎ、一気に供給不足に陥る恐れがあるのだ。


 東電の原発は再稼働のめどがまったくみえない。すでに廃炉を決めた福島第1の1~4号機を除く5、6号機と第2は、将来的な再稼働に期待を託す。だが、福島県の佐藤雄平知事は4月に東電の清水正孝前社長に対して、「再稼働はあり得ないと思ってほしい」と通告した。


 柏崎刈羽2~4号機も、新潟県の泉田裕彦知事が福島第1の事故原因の究明と新たな安全対策の実施が終わるまで、再稼働は認めない考えを示している。稼働中の3基も来年3月までに定期検査に入る。


 事故原因を反映させた耐震基準の見直しと対策の実施には、「どんなに急いでも4、5年かかる」(原子力安全委員会関係者)。その間、全原発停止が続く異常事態に陥る恐れがある。


 関西電力の全11基が立地する福井県の西川一誠知事も新潟県知事と同じ考えだ。政府が再稼働を促しても、各自治体が新潟、福井に足並みをそろえれば、北海道電力泊原発3号機が検査に入る来年5月上旬には全54基が停止する。


 経済産業省の試算では、原発をすべて火力発電で代替した場合、燃料の輸入費が年3兆円以上も増加。すべて料金に転嫁すると、東電で約19%、関電では33%の値上げになり、企業の生産コストは7兆6千億円も増える。


 電力不足に伴う節電で企業の生産は大きな制約を受けている。料金値上げによるコスト増が重なれば、雪崩のように日本を脱出する企業が続出しかねない。


 日本エネルギー経済研究所は、原発が全停止した場合、来年末までに生産低迷や産業空洞化で失業者が約20万人増え、来年度の国内総生産(GDP)を3・6%押し下げると試算した。


 雇用や賃金の悪化によって消費が萎縮し、売り上げの減少が企業をさらに痛めつけるという「負の連鎖」の危機が迫っている。




いすけ屋


 「脱原発」を口走るのは、た易いが、現実はこの記事の如しだ。すでに来年度のGDPがマイナス3.6%と言う試算が出ている。そればかりではない。B型肝炎賠償増税、復興増税、年金保険負担増、財政再建増税、電気料金値上げ等、この不景気に輪をかける政策ばかりで、これでは税収増どころか税収減は確実だ。


 孤人的な話だが、我が家ではソーラーパネルは無いが、40年も前から夜間電力の湯沸かしタンクを使っている。これで昼間の炊事洗濯、及びお風呂やシャワーの湯にしている。それもベース電源が余っているから割安になっていたからで、火災も起こさずここまできた。ここで原発が無くなると夜間電力は激減し、このシステムは怪しくなる。余生いくばくも無いのに、いまさら数百万の投資は御免こうむる。


 民主党は、「生活が第一」がスローガンだった筈だ。ところが生活は一向によくならない。来年はもっと悪くなりそうだ。そもそも100兆円や200兆円ぐらい日銀が引き受けても、インフレの心配はないし、円高対策にもなるのに、何故やらないのか。増税ではなく何故増刷しないのか。


 民主党は2009年衆院選政権公約に、「国家公務員総人件費の2割削減」をうたったが、結局8%カットまでゆるめ、自民党の反対にあって進んでいない。自民党も自民党だ。先ずは国会議員、国家公務員、地方公務員の給料20%カットを実行し、その上で庶民に増税をお願いするのならまだしも、いきなり閣議決定では、国民はついてこない。当たり前だ。


 「脱原発」は簡単ではない。「脱原発」を目指すのなら、あらゆる影響をリストアップし、それぞれの解決策を示すのが政府の責任である。ここまで一般庶民は、小泉構造改革で酷い目に会い、格差の一端に押しやられた。おかげで、どんどん収入が減り、ぎりぎりの生活にまで引き落とされた。そして1000年に1回の地震にあったら、政府はこのざまだ。有効な政策が打てない民主党は、この上、庶民からも税金をむしり取ろうというのか。


 きれい事は聞き飽きたから、もっと現実的な先の見える政策を出して欲しい。ええ加減、辞めさせろよ!