菅直人は国賊なのか
辞めさせない民主党も一味なのか

       
(日刊ゲンダイ7月27日)


私欲だけ菅首相の延命
彼の居座り居直りが震災復興原発収束を妨害している
延命の間に放射能汚染も電力不足も円高も景気もドンドン深刻に悪化している
      


 真面目な話、精神鑑定が必要ではないか。菅首相がきのう(26日)、国会で耳を疑う答弁をした。解散を迫る自民党の額賀議員に対し、『私はダブル選奉でいいと思っている』と強調。2年後の2013年夏に予定されている参院選まで解散せず、政権に居座ると”宣言”したのだ。退陣と引き換えに命乞いしたことなど、すっかり忘れてしまったようである。不信任案の否決で信任されたと勘違いしているらしい。やはり、普通の状態ではない。


 『菅首相は、いくら周囲が辞めろと騒いでも辞めず、解散・総選挙も回避して、行けるところまで行くつもりです。本人は、来年の民主党代表選で再任されるイメージも持っている。時間がたてぱ被災他の復興は進むし、原発事故も収束に向かう。それがすべて実績となるから、粘れぱ粘るほど手柄が積み上がり、辞めなければならない理由は減っていく。2年後まで首相を続けられるという計算でしょう』 (政治評論家・有馬晴海氏)


 実際、この日の菅は、『復興と原発事故収束は着実に進行中で、国民は喜んでいると思う』とも答弁していた。いったい、どんな育ち方をすれぱ、これほど自分勝手になれるのか。女房に『アンタ、辞めちゃダメよ』と尻を叩かれ続けると、精神や性格まで歪んでくるのだろうが。いくら菅が目先でごまかそうとしても、現実の復興は遅々として進んでいないのだ。むしろ菅の存在が、復興を妨害している。


あうんの呼吸では動かなくなったゼネコン     


 『これほど復興が遅れているのは、手足になって働く土建屋が菅を信用していないからです。ゼネコン業界と政治家の間には、良くも悪くもあうんの呼吸がある。事故や災害のときにゼネコンが動くのは、あとで政治家がちゃんとフォローしてくれるからです。無理な注文にも、イヤな顔をせずに応じておけば、あとでおいしい仕事を回してくれたりする。


 だから、採算度外視でもやるのです。でも、いまの政府には、ゼネコンに顔が利く政治家がいません。菅首相や枝野官房長官には人脈がないし、ゼネコン側だって彼らとは付き合えない。なにしろ政権交代の立役者である小沢元代表ですら、人気取りのために平気で叩くような連中でしょう。頑張って働いても裏切られ、カネを使っても持ち出しに終わる恐れがある。だから、二の足を踏んでいるのです」 (業界関係者)


 第1次補正予算は5月に成立したというのに、ガレキ処理費の執行は10%にも満たない。菅が信頼されないから、いくら予算があっても、現場は開店休業だ。これでは被災地の復旧は足踏みで、産業も再生しない。雇用が力強く回復し、暮らしが上向き始めるなんて夢のまた夢だ。


 ガレキが撤去され、建物の解体が進み、水道も当たり前のように使える。


 いつになったらそんな日が来るのかすら、まったく見えないのだ。


人気取りの「脱原発」で事故収束は急ブレ-キ      


 菅の存在は、原発事故収束にもブレーキをかける。当面は福島原発の問題に集中すればいいのに、脱原発を打ち出したり、核燃料リサイクルの見直しを口にしたりして、原子力行政を引っかき回し、現場を混乱させた。


 もちろん、再生可能なエネルギーヘの転換を図るのは自然の流れだ。破綻している核燃料リサイクルを続けるのはムダである。ただ、残念ながら、菅は、それに本気で取り組むつもりはない。


 致治評論家の山口朝雄氏が言う。
 「菅首相は、低迷している支持率を回復させながら、延命を図る考えです。そのためには、何でもいいから大衆ウケする政策をブチ上げる必要がある。それが脱原発でず。みんなが原発の危険性を感じている今は、これ以上の材料はありません。トップセールスで海外に原発を売り込んでおきながら、国内は脱原発なんて支離滅裂ですが、菅首相はお構いなし。なりふり構わず人気取りに走つています。こんな態度では、国民は期待できません。せっかくの脱原発政策も、食い散らかされてグチャグチヤになり、後始末もできないような状態で放り出される公算は大です」


 原発事故の賠償スキームは東電以外の電力会社にも資金の拠出を求めるものだ。だが、菅の原発迷走で関電も電力不足に陥っている。福島の収束に人もカネも出せるような状況ではなくなっている。おかけで収束に向けた工程表は、ステップ1からグダグダだ。


 こんな惨状では、福島の被災者は永遠に仮住まいを強いられる。心も体も休まらない。放射能に振り回される日々がこの先も続くのである。


 後手後手に回る対応は、セシウム牛を日本中に流通させた。これは明らかに人災だ。菅が延命にギュウギュウとし、本来の仕事

をやらないから、全国の子どもたちが汚染の危機にさらされた。国民の安全と暮らしを守るために権力を与えられた菅が、自らの

権力を守るために国と国民をグチャグヂヤにしているのだ。


 こんな男は日本のリーダーではない。日本をぶち壊す”国賊”だ。



いすけ屋


 国はこんなとき資金を提供するだけでよい。地方の人材不足があるなら、遊んでいる国家公務員はいくらでもいるから、補充してやればいい。後は地方に任せれば、事態はもっと進展していた。それを復興構想会議にかけて、基本構想を全て中央でやろうとするから、こんな事になるのだ。結局、復興構想会議からは何も出てこなかったが、財源は増税でという政策だけは忘れなかった。


 やはり政治主導と言っても、行政を導くのは民主党では無理だったのだ。村山さんは全権を小里貞利震災対策担当大臣に任せたから、神戸は比較的早く復旧できた。菅さんの場合は復興大臣ポストが4カ月後に出来、就任9日で辞任した。しかし、交代した平野さんが何をやっているのか、さっぱりわからない。原発担当大臣の細野さんも、菅さんと海江田さんの陰に隠れて、何をやっているのやら、彼の役割すらわからない。


 それにしても、第1次補正予算は5月に成立したというのに、ガレキ処理費の執行は10%にも満たないとは、何をかいわんや。記事にあるような、ゼネコンとのあうんの呼吸は小泉政権でストップしている。以前なら、電話1本で現場に赴き、役所の指図に従って作業したものだ。日当払いでも、誰も文句は言わなかった。何故なら、災害復旧工事は必ず指名に入り、皆で分けあえたからだ。今時、こんなことをやったら、やれ「談合だ」とか、「癒着」だとか言われて、役所も業者もやってられない。神戸の時は小泉さん以前だから問題なかった。


 なんでもアメリカ式が正しいとして、真似してきた結果が構造改革の失敗である。日本は日本独自の文化があるのに、それをアメリカの改革要望書1本で、アメリカナイズしようとした構造改革は、あちこちで歪みを生じている。経済格差が生まれたのも、新卒の半分が就業出来なくなったのも、構造改革のせいである。


 構造改革自体は菅さんの仕業ではないが、政権が民主党に代わっても、より酷くなっているのが現状だ。そこへ持ってきて、B型肝炎賠償は煙草と酒税のアップ、復興財源は所得税、事業税のアップ、年金改革には消費税のアップ、等々何でも庶民の可処分所得から召しあげようとしている。



 こんなことしたら、どうなるかぐらい、経済学を修めた者ならだれでも判る。ところが、管さんの経済ブレーンは、「増税してもその分支出に回せば景気は良くなり、経済は成長する」と教えている。どうも菅さんは洗脳されたようだ。デフレ下の日本で、そんな理論は通らない。


 今、子供手当の所得制限を「年収手取り860万円以上は支給しない」という線で与野党合意したというニュースがあったが、手取り860万円と言えば、年収約1150万である。これでは対象が10%未満で、前回案と大差ない。4K全て排除しないと協議に応じないと突っ張った自民党は何処へ行ったのだ。まったく昔の自民党と同じだね。もっと、シャキっとしてくれよ。