【今日の突破口】東電叩き、延命図る菅政権
   
2011.6.8 03:19 ジャーナリスト・東谷暁
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110608/plc11060803190003-n1.htm


 この国は、政府の責任を一民間企業に押しつけても、まかり通る国だったらしい。ほかでもない、菅直人政権が慌ただしく作り上げた、東京電力の福島第1原発事故賠償スキームは錯誤の産物であり、東電叩(たた)きへの迎合策だというしかない。


 まず、少なくともいままで明らかになったことから推測できるのは、福島第1原発の一連の事故は、原発の施設・設備が、今回の巨大な地震と津波に耐えることができずに生じたものだということだ。これは、原発を作動させるオペレーション(操作)のミスで起こった、旧ソ連のチェルノブイリや、アメリカのスリーマイル島における事故とは、発生においてまったく性質を異にする。


 もちろん、施設・設備の事故防止には、電力会社も細心の注意を払ってオペレーションを展開しなくてはならないが、その事故防止のための施設・設備の強度レベルを想定し、それを守らせてきたのは政府なのである。そうでなければ、抜き打ちを含む厳格な検査を行う権利などありはしないし、また、いまのように事故の対応への指示もできないはずだろう。つまり、今回の場合は、東電が背負える責任の範囲を超えているということなのだ。


 しかも、原子力損害賠償法においては基本的に「原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる」が、ただし書きがあり、その損害が「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱」によって生じた場合には事業者は免責され、政府が責任をもって引き受けることになっている。この「異常で巨大な天災地変」のレベルは、すでに専門部会で、原因において関東大震災の3倍を目安にすることが共通認識とされてきた。


 では、今回の天変地変はどの程度のレベルだったのか。マグニチュードは対数を用いたエネルギー単位なので、今回のマグニチュード9・0は関東大震災のマグニチュード7・9の四十数倍に相当する。また、揺れの加速度を示すガルは、今回の地震が2933ガルであり、関東大震災は400ガル程度にとどまる。


 小学生なみの計算力さえあれば、今回のレベルが「異常に巨大」であることは明らかだが、文部科学省は「異常に巨大」であるとは、大隕石(いんせき)が天から降ってくるような事態だと解しているらしい。しかし、大隕石が地球にぶつかれば恐竜ですら絶滅したのだから、日本政府どころか人類も消滅してしまいかねない。こうしてみれば今回の天変地変においては、ただし書きが適用されて、政府が全面的に賠償としてではなく救済として対処するのが当然だった。


 ところが、菅政権は誤った東電叩きの風潮に抗して道理を貫く姿勢を見せるどころか、逆にこのおぞましい風潮に便乗して人気取りに走り、あまつさえ、原発事故とは直接関係のない電力の発電・送電分離を持ち出して、さらに自ら東電解体に乗り出しているのである。


 すでに本欄で述べたように、巨大技術を抱える事業体を無理に解体した場合には高い確率で新たな事故と社会的損失を誘発することになる。これも枝葉末節をあげつらう東電叩きが引き起こした当然の結果といえるが、この愚かしい風潮に便乗して延命をはかろうとする菅政権の政策は、まさに亡国の所業というべきものだろう。(ひがしたに さとし)




いすけ屋


 当ブログでは、事故当初から政府の責任について糾弾してきた。ようやく大手新聞でも、その事に触れるようになったと言う感じだ。特に枝野官房長官、海江田経産相の言い分は、明らかに責任逃れであり、菅内閣の本質をそのまま引き継いでいた。


 おそらく大手新聞もテレビ局も分かっていたのだろうが、それを言うと、「スポンサー東電の味方をしているのか」といった苦情が出るのが怖かったのだろう。現に、少しでも東電に同情したような発言があると、東電の金の力を揶揄した意見が、Web上に溢れた。なるべく不安を煽らないように注意を払った解説者も、「東電に飼われている」といった、悪意をもった批判ばかりであった。


 あの時点での限られた情報からは、仕方なかったろうと思うが、世間さんの反応は東電叩きから、テレビの解説者(大学教授)に向かっていった。この(いすけ屋)も誰かれ構わず、こき下ろして鬱憤を晴らしているので、偉そうなことは何にも言えない。言えないが、大学教授には同情する。


 小泉政権以降、国立大学の教授でさえ、研究費は自分で稼がねばならなくなった。そのため民間企業と手を組まないと、研究論文も書けないのである。政府の方針に逆らうような論文を書いた暁には、その教授はその時点で終わりである。御用学者乱造の原因は、構造改革にあったのだ。これは自民党の責任。


 自民党橋本政権は、省庁を統合して行政改革?を行い、現在の原発監視体制となった。経済産業省にエネルギー庁と原子力安全保安院が出来て、形の上では原発推進と規制のバランスをとったが、国策としては原発推進に力が入れられた。現に民主党は、原発50%を目指していたではないか。従って、本年2月に福島原発第1号機の10年延長を決定している。


 耐用年数40年の原子炉を、さらに10年また10年と60年にしようとした最初の年に、神は天罰を下されたのだ。これから造る機械を耐用年数60年をめどに設計するのはいい。しかし40年も前のアメリカの骨董品をさらに10年、うまくいけば20年も使おうとしたことを許可したのは、明らかに民主党政権である


 とにかく普天間の失敗、参議院選大敗、地震対策のおくれ等、民主党政権は失敗に次ぐ失敗を重ねても誰も責任をとらない。ポッポさんは総理を辞めたが約束であった議員をやめていない。問責決議を受けた元官房長官が、知らぬ間に再入閣し、詐欺首相の脚本まで書いている。口八丁の枝野官房長官が時期総理にいいとか言う国民も相当イカレている。彼の功罪は「仕分け」の時点で明らかだ。


 いずれにせよ、民主党とは責任をとらない、信念がない、理念がない、党の綱領がない、人材がいない、公約を守らない、対応出来ない、仁徳もない、力量もない、「無い無い政党」にほかならない