大マスコミが報じない石川裁判の衝撃 
2011年2月8日 掲載
http://gendai.net/articles/view/syakai/128789

初公判からボロボロ 検察シナリオ

 7日、東京地裁で開かれた石川知裕議員(37)らの初公判。これまで検察リークに乗っかって小沢捜査を報じてきた大新聞TVは、検察側の主張と元秘書らの「全面否認」ばかりをニュースにしたが、裁判で赤裸々になったのは検事たちの恐ろしい“素顔”だ。大マスコミが報じない石川裁判の真実――。

●「特捜部は恐ろしい組織だ」「別件逮捕もできるんだぞ」

 脅し、すかし、泣き落とし。法廷で暴露された検察の取り調べの実態には、改めて驚かされた。密室でヤクザ顔負けのすごみを利かせ、石川議員ら元秘書を限界まで追い込んで、ギュウギュウと締め上げていたのだ。

 その筆頭が、昨年1月の逮捕後に石川議員の取り調べを担当した吉田正喜・元特捜副部長である。弁護側冒頭陳述によると、吉田検事は石川議員に対し「自供しなければ、贈収賄で別件逮捕もできるんだぞ」と恫喝。石川議員の女性秘書が11時間監禁されて聴取されたこともあり、石川議員は「このままでは自分だけでなく女性秘書も逮捕されかねない」と、検察のデッチ上げ調書に署名したという。

 フザケたことに吉田検事は、石川議員に“別件逮捕”をチラつかせながら、「こんな事件はサイドストーリーだから」と贈収賄で聴取した供述メモを破り捨てるパフォーマンスまでやって、だから認めろ、と誘導したらしい。

 また、検察審の1回目の議決後の昨年5月、石川議員が検察のドーカツ取り調べを録音した内容も新たな事実が分かった。

 石川議員は、吉田検事に脅されて署名した前回の供述調書を翻そうとしたが、担当した田代政弘検事は「“(供述が変われば)何で変わるの?”ってなっちゃうからさ。めんどくせーからさ」などと言い、「石川さんを別の事件で逮捕しようと思ったら、できないわけじゃない。気持ち悪いよね?」などと脅していた。

 田代検事は「特捜部は何でもできる。恐ろしい組織で大変なことになる」とも言ったという。ちなみに、吉田、田代両検事はその後、特捜部から外されている。

寄ってたかってヤクザ顔負けの卑劣な脅し

 大久保隆規(49)、池田光智(33)両元秘書へも、エゲツない取り調べが行われていた。

 大久保秘書を聴取した前田恒彦検事は、「石川さんはオヤジ(小沢元代表)を助けるために認めているんだ。大久保さんも認めたら」と迫り、「認めないと石川さんも困るし、池田さんはもっと困ることになるぞ」と、仲間を“人質”に恫喝していた。大久保元秘書は、「逆らえば何をされるか分からない」と恐怖感を覚えたという。

 言うまでもなく、前田検事は、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件で逮捕されたフダ付きの悪党だ。かつて「特捜のエース」「割り屋」といわれた前田検事は、取り調べ中に号泣するなど不可解な言動も重ねたらしい。弁護側によると、大久保元秘書の供述調書は、前田検事がほぼ単独で作成したという。こんな調書を信用しろという方が無理な話なのである。

 池田元秘書の取り調べも似たり寄ったりで、担当検事は、「調書の内容を認めなければ保釈もされないし、量刑が重くなるぞ」「調書に署名すれば悪いようにはしない。署名しなければ、ほかの秘書の取り調べもきつくなるし、別件で再逮捕もできる」と脅していた。池田元秘書は抗議をしてもムダとあきらめ、「検事の作文と言うべき調書に心ならずも署名した」(弁護側)という。

 冤罪だった村木厚子・元厚労局長への取り調べと同じ構図だ。想像を絶する検察の無法、腐敗ぶりには法廷もどよめいたが、デタラメはそれだけではなかった。

 検察が「4億円虚偽記載の背景事情」と強弁し、裁判で立証するとしている「水谷建設からの裏金」も、早くも矛盾と論理破綻のオンパレードなのである。

いすけ屋

 この「日刊ゲンダイ」も記者クラブに入れてもらえない新聞社で、大手新聞には対抗意識があるようだ。それだけに、大新聞では書けない事まで、発表してくれるので、100%真に受けなくても為になる記事が多い。

 この石川裁判でも、検察シナリオがボロボロに崩れている様を知ることが出来る。もともと検察が狙った本件では無いから、説得力に乏しい。3人の元秘書を起訴することで、小沢さんが折れると判断したのだろう。ところがシナリオ自体が作られたものだから、一点の穴があると、そこから水漏れが始まり、穴が拡大して止められなくなったのが、今の状態だ。

 小沢の本件とは、政党解散時の政党助成金の処理問題であり、これが法的に処理されているのなら、法がザル法だから、法の改正から始めないといけない。この事は、これまでも何度も主張してきた。大新聞も、それぐらい分かっているだろうに、「小沢=悪」ばかり報じるのは、裏に何かがあるのだろう。記者クラブに入れないフリーのジャーナリスト並みの中立的な論壇をはる事こそ、大手の責務ではないのか。

 いずれ、恥をかくのは誰か。結果は見えている