今年の桜は長くもって、きれいでしたね。4月の第一週はあちこちで入学式が行われ、ネットでは学長の式辞などが公開される。よくブレイクスルーとか反骨精神、グローバル人材たれ…など語られているようだ。
昨年の今頃、バースデー祝いに、夫に解体工事寸前の学士会館にディナーに連れて行ってもらいました。同じ理由か、レストランは年配者のグループや家族連れなどで割合混んでいた。
そんな中、隣りの席は母子。着飾ったマダムグループもある中で、このお二人は軽装…言葉を選ばずに言えば国会デモの帰りのようないで立ち。学士会館は来慣れているのかもしれない。
息子さんはどうやら東大の理系で、希望の大学院の研究室に進学したらしい。報告を満足そうに聞くお母さんはいそくみと同世代か。
経済事情から大学に進学するか就職か迫られた時代ならともかく、今の世の中「親の反対を押し切って東大進学した、留学した」という子どもは居ないだろうなと思った。むしろお母さんの言うことをよく聞く素直なお子さんばかりでは。そんな難関大学で反骨精神は育つのだろうか?
うちの息子には、地方に行くときに「嫌になったらいつでも辞めて帰ってきて良い」「若い時しか出来ないから、留学を。ボランティアを」といっても、いずれも動く様子がない。
そんな地方大学の入学式の式辞は、学長からは留学のススメ、ゲスト卒業生の医師・小説家の帚木 蓬生(ははきぎ ほうせい)氏からは「ギャンブル依存症には気をつけろ。この人数なら理論上50人はギャンブル依存症になる」でした。
東大のように式辞がメディアに露出する心配がないので肩ひじ張った表現もなく、言いたい放題で面白かった。
反骨精神は地方から育つ、たぶん。