年末年始に読むために借りた本は、奇しくも若者を巡る問題作となりました。

 

瀬尾まいこはほのぼのした筆致の中に子ども、若者が直面する思春期の悩みや家族問題を緻密に流れるように描く。確か中学受験の出題にも別の作品が使われている作家です。

「温室デイズ」という柔らかな語感と表紙絵に騙されて(?)読み始めたらこれがすごかった。

荒れて崩壊していく中学校で全員がやりたい放題の毎日が”温室デイズ”。生徒が血を流していても見てみぬふりの教員。中学3年もあと半年というとき、可愛く男子に人気のある優子は女子のいじめの標的になり、正義感の強いみちるはそれをかばい、崩壊した学校を何とか立て直そうとしてさらに強烈にいじめられる側に。そういう生徒たちに教員たちは「学校、教室に無理してまで行かなくていいんだよ」と言うばかり。

 

自分はそうではないが、最近教員でも議員でも「学校へ行かない」ことを擁護し支持する人が増え、世田谷区にもフリースクールが増えてきている。が、本当にみんながみんな学校に行きたくないのか?きっかけがあれば前のように行きたいのではないの?国語教員の経験もある筆者が、みちるの口を借りて疑問を投げかける。彼女はスクールサポーターの若い男性教員に言う

「学校に行かなくても大丈夫なようにするのが先生なの?つらいことがあったら、逃げ場を作ってあげるのが先生たちの仕事なの?そんなんじゃなくて、ちゃんとみんなが普通に教室で過ごせるようにしてよ。私は、先生に…(中略)ちゃんと学校に来いよって言ってほしい」

 

現役の教員はそんな簡単なことじゃないよと言うかもしれないが、この場面は心に響きました。不登校中に、また学校での人間関係の悩みを抱えているときに、この小説を読んで元気をもらえる生徒がいるのではないか、そんな気がします。