海の見えるオフィス | 秘密の35年☆赤い糸の行方

秘密の35年☆赤い糸の行方

何度別れても、切れることのなかったふたりの糸。二股だったときも、彼が「あの人」と結婚してしまったときも、わたしが海外で暮らし始めたときも。音信不通6年、14年ぶりの再会から、再び動き始めた恋。国境を越えた超遠距離・婚外恋愛。

査証に新たに押された
移民局のスタンプ。

それは米国で1年間働ける許可が
下りたことを意味していた。

何度もパスポートを開いて、
そのスタンプを確認。

そのたびに天にも舞い上がる
気持ちだった。

ようやくここまでこれた。

全てのことが計画通りに
進んでいた。



問題は就職探し。

ある程度、お給料がよくて
条件の見合う、働きやすい仕事場。

新聞の求人欄とにらめっこの日が
始まった。

やはり目が行くのは
名の知れた日系企業。

日本人であることのメリットを
活かすのが妥当と思えた。

観光産業が一番の収入源である
ココナッツ島。

わたしが面接に臨んだのは
日本でも大手の旅行会社だった。

お給料も条件も悪くなかった。

すぐに採用が決まった。



家から仕事先までは徒歩10分。

日本にいたときには、
考えられない通勤時間だ。

実家が横浜だったわたしは
片道の通勤時間が1時間半なんて
ざらだった。

オフィスはビーチ沿いに立つ
ビルの高層階。

仕事中、ふと大きな窓に目をやると
目の前には真っ青な海が
広がっている。

そんな場所で仕事を
していることが不思議だった。



わたしが配属された部署は、
若い男女の集まり。

会社の中でも特に忙しい部署。

ストレスは溜まったが、
そんな中にも楽しさがあった。

一緒に仕事をしている仲間からは、

「ゆりなちゃんみたいに
仕事が出来る人が入って
来てくれて、本当に助かるわ」

と何度か言われた。

そんなことを言われたのは
生まれて初めてだったし、
自覚もなかった。

百歩譲れば、与えられたことは
きちんと責任を持って
最後までこなす、
わからないことは出来る限り
自分で調べて対処する
ということぐらいだ。

残業はほぼ毎日。

忙しい時は夜11時になっても
家に帰れなかった。

夜おそくなったときは、
疲れた顔をした仲間達と
休憩をかねて、
夕飯を食べに外に出た。

そんなときに限って、
楽しそうにしている
観光客たちが目につく。

「いいなぁ、観光客は。

こんなところで、
仕事してるあたしたちって
なんなのだろう。

ここは遊びにくるところだよね」

ラーメンをすすりながら、
ため息をついた。



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