なんの前置きもなく | 秘密の35年☆赤い糸の行方

秘密の35年☆赤い糸の行方

何度別れても、切れることのなかったふたりの糸。二股だったときも、彼が「あの人」と結婚してしまったときも、わたしが海外で暮らし始めたときも。音信不通6年、14年ぶりの再会から、再び動き始めた恋。国境を越えた超遠距離・婚外恋愛。

<「「空白の三ヶ月」の続きです。>

前の職場の上司である編集長と
久しぶりに会うことになった。

お互いに家が横浜なので、
横浜駅で待ち合わせた。

それまでも何度か、彼とは
ふたりだけで飲みに行ったことがある。

編集長は会うと必ず、彼の部下であり、
わたしの元カレでもある河原さんの話を
してくれた。

部署内では編集長という立場上、
みんなからは一線をおかれていたが、
何故か河原さんとは親しかった。

「河原と飲みに行くと、必ず君の話が出るんだよ」

そう教えてくれたのは、編集長だった。

具体的にどんな話をしているのか、
恥ずかしくて聞けなかったけれど、
わたしのいないところで
わたしの話をしてくれる河原さんの心を感じ、
小さな幸せをかみしめた。



1軒目のお店を出ると、2軒目は屋台に入った。

そこまでは、いつもと変わりなかった。

わたしの新しい職場、日常のこと、
編集長の小さいお子さんの話など、
ずっととりとめのない話が続いていた。

なのに。

なんの前置きもなく、編集長がぽつりと言った。

「河原がさぁ









結婚するって言うんだよね」



「結婚」という言葉が耳に飛び込んで来た瞬間、
心臓がどくんと音を立てた。

今、編集長はなんて言ったの?!

(続く)

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