天草下島(熊本県)のクラフトビール醸造所「AMAKUSA SONAR BEER(アマクサソナービール)」では、醸造所併設のタップルーム建設プロジェクトが進んでいます。クラウドファンディングも実施中です↓(募集期間:2025年1月12日~2月28日)
建設が始まる前の昨年5月、当倶楽部は現地を訪れました。これから当時の様子を紹介するので、タップルーム完成後の乾杯を想像しながら読んでください!(現地訪問日:2024年5月初旬)
・想像以上に広い島!天草への道のり
・自家栽培のホップ畑を見学!
・天草の恵みが詰まったビール「WhitePearl」
・これまでの軌跡と、タップルーム建設計画!
・あわせて楽しみたい!おすすめの天草観光
天草は、主に上島(かみしま)と下島(しもしま)という2つの島から構成されています。AMAKUSA SONAR BEERがあるのは下島の北端エリアです。
上島経由で橋が架かっているので車でもアクセス可能ですが、熊本から片道3~4時間かかります。長崎から島原経由でフェリーという手段もありますが、どっちにしろ結構遠い…!
(天草宝島観光協会HPより)
一人旅なら島原経由のフェリーで島旅気分を満喫したいところですが、今回は幼児連れのため空路を選択しました。
福岡空港からAMX(天草エアライン)のプロペラ機に搭乗!
あっという間の35分で天草空港へ!
空港からホテルへ向かう幹線道路沿いには、ダイソー、しまむら、ユニクロ、セブンイレブン、ファミリーマート、ミスタードーナツ、モスバーガー、すき家・・・と、全国チェーンの店舗が立ち並んでいます。
あれ?離島っぽくないぞ?結構都会じゃん?
…と、このときの僕はまだ天草下島の広さをナメていました。
ホテルで送迎車からタクシーへ乗り換え、AMAKUSA SONAR BEERの近くの鬼池港へ。ほんのワンメーターくらいのつもりでの乗車でしたが、なかなか着きません。
あとで調べたら10kmくらいありました。地味に遠いんです。
それもそのはず、天草下島は淡路島の次に大きい島なのです。
想像していたよりだいぶデカかった!
しかも地図では鬼池港のすぐ近くにブルワリーがあるように見えたのですが、実は1km以上内陸にあると降車後に気付く…。島がデカいから縮尺感覚が狂うのです。
妻子には「空港から近い場所だよ~」と説明していた僕。
完全に「パパは嘘つき」扱いです。
途中、偶然見つけた楽園のような広場(鬼池地区コミュニティセンター)に救われました。一面に咲くクローバーと沢山の鯉のぼりによって妻子のHPが回復!
子供がこの場所を気に入ったので、ここから先の取材は僕一人で向かうことにしました。
一人になれば1kmなんてスグです。
ついにAMAKUSA SONAR BEERの建物が見えてきました!
代表の荒木 信也さんが出迎えてくれました!
建物の中を覗くとピカピカの醸造タンクがずらり!かっこいい!
その裏手には、自家栽培のホップ畑が広がっていました!
まだ5月なので背は高くないですが、これから夏にかけてグングン蔓が伸びていきます。収穫時期に見に来たいな~
この自家栽培ホップを100%使用した看板ビールが「WhitePearl(ホワイトパール)」です。(ビアスタイル:Belgian White)
(写真:AMAKUSA SONAR BEERのFacebookより)
全国を見渡しても、ホップを自家栽培しているブルワリーは一握り。
しかも「使用」ではなく「100%使用」。これはすごいことですよ!
ホップは暑さに弱いため、国内では岩手県などの涼しい地方が主な産地。温暖な天草での栽培は困難も多い中、様々な品種(10種類以上)を試しながら「日本最西端のホップ畑」に挑み続けています。
なぜそこまで自家栽培ホップにこだわるのでしょうか?
荒木さんに想いを訊いてみました。
「アメリカ産などの輸入ホップを使うと確かに香りは良いのですが、どうしてもアメリカンなビールになってしまいます。仕込み水の水質調整も必要になるし、そうなってくると地ビールらしさというか、その地域らしさを表現できない気がするんです。」
「ウチでも他の銘柄には輸入ホップを使っていますが、WhitePearlは100%自家栽培ホップ。農薬は使っていません。品種は採れたものを使い、水質調整をしていない天草の水で仕込んでいます。それによって自分たちらしい、天草らしいビールを表現したいんです。」
ホップはビールの魂。それを自分たちの畑で育て、100%使用しているWhitePearlは、まさに天草らしさが詰まった「地ビール」なのです。
(写真:AMAKUSA SONAR BEERのFacebookより)
WhitePearlの「地ビール」な要素はホップだけではありません。
天草の契約農家で無農薬栽培されたパール柑を使用しているのも大きな特徴です。
(写真:AMAKUSA SONAR BEERのFacebookより)
パール柑は天草の特産品。文旦の仲間で、実が真珠のように輝くことから名付けられたそう。(天草では真珠養殖も盛ん)
生で食べてもめちゃくちゃ美味しい!
※この写真は、しま彦がスーパーで購入した天草産パール柑です。
収穫後すぐに果皮と果汁に分けて冷凍保存します。こうした工夫により、WhitePearlは一年を通して製造されています。
果皮と果汁の両方を使用している点もWhitePearlの特徴です。まさに天草の恵みが丸ごと詰まったビール。フルーティですっきりとした味わいなので、食事との相性も抜群!
※宿泊先(アレグリアガーデンズ天草)の夕食で飲んだWhitePearl。天草の海の幸との相性もGood!
醸造所やホップ畑があるこの場所。実は、荒木さんの実家です。
生まれ育った天草を出て、東京の表参道で美容師として13年間働きました。その後、熊本に戻り、美容室「SONAR」を開業。いまも現役の美容師として活躍中です。
クラフトビールとの出会いは、東京時代にベルギービールを飲んだとき。衝撃的な美味しさで、そこからどっぷりハマっていったそうです。「自分でも作りたい、天草でしか作れないビールを作りたい」という思いがどんどん強くなり、日南麦酒(宮崎県)での修行を経て、2020年にAMAKUSA SONAR BEERを開業しました。
美容師とブルワーの兼業という珍しいキャリアを持つ荒木さんが手掛けるビールは、どれも個性的で魅力的。美容師という仕事柄、幅広いジャンルのさまざまな人々と接する機会があり、そこで得たインスピレーションがビールづくりに活きることもあるそうです。
旬のフルーツなどを独自の配合と感性で掛け合わせたスムージーサワーエールは、AMAKUSA SONAR BEERを全国的に有名にしました。
※写真はビールをフローズン状にしたフローズンスムージーサワーエール(クラウドファンディングページより)
そして、AMAKUSA SONAR BEERを陰で支えているのは、荒木さんのお父様。
先代から続く枇杷農家さんです。「日本最西端のホップ畑」の実現には、お父様の協力が欠かせませんでした。
(写真:AMAKUSA SONAR BEERのFacebookより)
ホップ畑の隣では、お父様が丹精を込めて育てた枇杷がちょうど収穫の時期を迎えていました。堆肥にはビールの製造過程で出る麦芽カスを使用。
その場で採れたてをいただきました。ジューシーで抜群に美味しい!
ホップ畑を見渡せるこの建物は、荒木さんの思い出の詰まった実家。
「ここを改装してタップルームを作るつもりです」と、取材時(2024年5月)、荒木さんは語っていました。
そして現在は2025年1月。
計画を着々と進めた荒木さんは、このほどCAMPFIREにてタップルーム建設のためのクラウドファンディングを開始しました↓
リンク先では、タップルーム建設計画だけでなく、農業への参入や製糖工場の事業継承など地域に根差した事業展開も加速させていくという、熱い想いが綴られていますよ。必読です!
ちなみに取材後は、妻子と無事に再会し、天草観光を満喫しました!
一例をご紹介しますと…
天草産のウニ丼!(最高過ぎる…!)
イルカウォッチング!(イルカが多い!近い!大興奮!)
ウニ丼もイルカウォッチングも、どちらも丸健水産で楽しみました。AMAKUSA SONAR BEERから車なら約10分。バスを利用する場合でも最速30分でアクセス可能な場所です。季節が合えば(僕たちが訪れたのは5月初旬)、ぜひ体験してみてください!
以上、AMAKUSA SONAR BEERからの現地レポートでした。
計画では2025年3月にタップルームオープン予定とのこと。
絶対また飲みに来ますね!楽しみにしています!
クラウドファンディングの募集は2月末まで。みんなで応援しましょう!
【参考文献】
このブログを書くにあたっては、以下の文献も参考にさせていただきました。
・Tokyo Craft Beer Festival 01 | "Be"(Tokyo Craft Beer Festival(2024年9月)オリジナル冊子)