先日の台風19号では佐渡島でも大きな被害が出ました。心よりお見舞い申し上げます。

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(前回までの記事はこちら→その1その2その3その4その5

 

北沢浮遊選鉱場跡から車で数分の場所にある佐渡奉行所跡を訪れました。

 

江戸時代、佐渡島は天領として幕府が直接統治していました。

その統治の中心地として、1603年に建てられたのがこの佐渡奉行所です。

 

昭和17年(1942年)に火事で全焼した後は忘れ去られた存在になっていたようですが、平成に入ってから国の史跡として再指定され、保存整備事業により一部が復原がされています。

 

これが復原された「御役所」の建屋です。

ボランティアガイドのおじさんが、丁寧に解説しながら内部を案内してくれました。

 

 

「御役所」内部の様子。当時の建築を忠実に再現して復原がされています。

 

お白洲も復原されています。

時代劇の影響で、奉行所=お白洲=裁判所ようなイメージがありますが、「御役所」という建物名のとおり、行政の中心拠点としての役割も大きかったようです。

 

そして実は、佐渡奉行所のすごいところはここからなのです!

奉行所敷地内にある「勝場(せきば)」という建屋を覗いて行きましょう。

勝場とは、金や銀を選鉱する(原石から鉱物を取り出す)工場のことです。

佐渡奉行所は、奉行所といいつつ、金銀製造工場を敷地内に併設した幕府の重要施設だったのです。

 

復原された勝場の内部には、資料展示と選鉱設備のレプリカ展示が充実しています。

 

ここにもボランティアガイドのおじさんがいて、丁寧に説明をしてくれました。

写真は金の原石(金鉱石)です。黒い縞模様の部分が金成分だそうです。

※写真上の原石の方が黒い縞模様がハッキリ表れており、良質な金鉱石だそうです。

 

このような原石を、台にセットして、ハンマーを振り下ろして細かく砕きます。

※金鉱石のランク(品質)に応じて、「い」「ろ」「は」の台を使い分けていたそうです。
 
砕くだけでも大変な重労働ですが、ここから金成分を選り分けるという気の遠くなる工程が待ち受けています。
 
おじさんが手に持っているのは、汰板(ゆりいた)という木皿です。
この上に泥粉状になった原石を乗せ、水の中でゆすると、比重の重い金成分が木皿に残る。
…この作業を繰り返します。

 

汰板でも選別しきれなかった微細な金成分は、「ねこ流し」という工程で回収します。

 

傾斜を付けた水路に木綿布を敷き、上から水とともに泥砂を流します。

すると、比重の重い金成分が流れ切らず布の上に残るのです。

ここでやっているのは、砂金(=自然金)の選別ではなく、金鉱石(=原石)の選別ですからね。これからさらに製錬工程もあるのですから、本当に気の遠くなるような作業です。
 

佐渡奉行所敷地内には製錬所の跡も見つかっており、さらには敷地内に金貨(小判)工場があったこともほぼ確実だと言われています。

ボランティアガイドのおじさん曰く、「江戸時代に流通していた小判の3分の1は佐渡奉行所で作られていたが、国家機密だったので証拠がほとんど残っていない」らしいです。
 
佐渡奉行所の敷地内には、まだ復原されていない建物が多く残っています。
それは、国の史跡として、曖昧な根拠に基づく復原はできないから。
きっちり調査をして、根拠を集めて、忠実に復原することを目指しているそうです。

今後の継続調査により、敷地内全体が完全復原されることを期待したいですね。

 

非常に勉強になる場所でした。

皆さまも佐渡島に来たら、北沢浮遊選鉱場跡とセットで必ず立ち寄ってみてください。

 
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