嘘の自白 2
「続きは明日書きます。」と書いてから、約2か月が
過ぎてしまいました。色々有りまして、今日になりまし
た。久々に、時間ができましたので、嘘の自白にまつ
わる私の体験を書きます。
10年以上も昔の体験ですが、私は、某夜、期日が
迫って来た裁判の準備をしようと思い、書棚から、そ
の裁判記録を取り出しました。そして、証拠を確認し
ようとして、証拠原本綴りが無いことに気付き、慌て
ました。証拠原本は、依頼者から預かった大事な証
拠であり、紛失することは、重大な責任問題となりま
す。私は、必死になって、他の書類綴りに間違って挟
まっていないか、一つづつ、書棚から記録綴りを取り
出して、調べました。しかし、裁判記録を全部調べて
も、何度繰替えし調べても、その証拠原本綴りは、見
つかりません。途方に暮れながら、必死な思いで、前
回その裁判記録を見たときのことを思い出そうとしま
した。手帳を見て、前回の裁判の日程を確認し、期日
結果報告書を読み返して、必要な準備が何か、いつご
ろ何をしたのかを思い出し、証拠原本を何処に仕舞っ
たかの手がかりをつかもうとしましたが、思い出せませ
ん。疲労困憊の状態で、記憶を探っていたとき、突然、
昨夜の記憶がよみがえったのです。その記憶とは、深
夜、書類を破棄したことでした。ハットして、その記憶に
集中したところ、その破棄した書類が正にその証拠原
本だったのです。そう気付いた瞬間、脂汗が吹き出しま
した。私は、急いで、ゴミ箱を見ましたが、既に捨てられ
ていて、何もありません。急いで、ゴミ集積場に行って見
ましたが、何もありませんでした。落胆しつつ、もしかして
その記憶が違うのではないかと考え、何度もその記憶を
確認しましたが、思い出す度に、記憶は鮮明となり、仕事
で疲れ切った状態で、とんでもない勘違いをして、証拠原
本を破棄してしまったことに間違いないという結論に至り
ました。
嘘の自白
刑事事件において、無実なのに自白をしてしまうとい
うことがあります。捜査官の暴力や欺罔によって、意識
して嘘の自白をするということなら、理解できます。し
かし、世の中には、実際には、自分は犯人ではないの
に自分が犯人だと思い込んで、自白してしまうことがあ
るのです。そんな馬鹿なことがあるか、と思う方が殆ど
でしょう。私も、弁護士になって数年間は、素朴にそう
思っていました。ところが、ある体験から、そのようなこ
とが実際にあるのだと、実感したのです。それが、どの
ような体験であるかは、明日書きます。(続く)
説得
弁護士の仕事の核心は、説得です。相手方ばかりで
なく依頼者も、裁判官や検察官や、その他、その事件
の解決方法につき、弁護士と同じ考えを持ってはいな
い人達を、説得することが、弁護士の仕事の重要な部
分です。どうしたら、説得できるのか。それは、正しい
考えを持つことです。正しい考えを持つには、事実を的
確に判断し、法律を正しく適用することです。そして、そ
の考え方が正しいことを説明する能力が必要です。そ
の能力は、会話の巧みさであったり、文章力であったり
するのですが、根本的には、法曹家としての正義感で
あり、相手方の立場に対しても理解できる公平感です。
この紛争をどのように解決するのが、依頼者にとって
最良であり、相手方にとっても不当とならないか、当事
者を取り巻く社会にとっても有益であるか、このような
意識を常に保ち、自省し、依頼者の話に注意深く耳を
傾け、その悩みをくみ取り、相手方の利害や立場を正
しく認識し、説得する相手を尊重することが必要です。
このような基本的姿勢を忘れないことが、弁護士とし
て大切なことであり、紛争や事件を正しく解決すること
に繋がると思います。
ある事件についての、ある新人弁護士の弁護士活動
を仄聞しての感想です。その新人弁護士は、私の事務
所の若者達ではありません。念のために・・・。