突然のお別れ
同じビルの3階に法律事務所を構える
若い弁護士が、先ほど、菓子折を持って
訪ねて来ました。何事かと思えば、
事務所を閉めて、ミャンマーに行って、
仏門に入るとのことでした。
そういえば、数年前から頭を丸めていたのは
そういうことだったのかと、思い当たりました。
大急ぎで、そうする心境や、家族や、
仕事のことを聞きましたが、
心の憶測の深い想いに行き当たる暇はなく、
「じゃあ、元気で。」
「先生の今後のご活躍をお祈りしています。」
との言葉を交わして、
突然のお別れになりました。
大急ぎで餞別を作ろうとしたら、
事務員が、「そういえば、午前中から、引越業者さん
が来ていました。」と言ったので、
手紙をゆっくり書く間もなく、
大急ぎで、メモ用紙に乱れた文字を数行書き連ねて、
餞別袋に同封して、事務員に持たせて走らせました。
メモを書くうちに涙が出て、止まりません。
今も涙が止まりません。
悔いのない人生を過ごして欲しい。
幸せになって欲しい。
今は、それしか思い浮かびません。
犬が吠えて、転んだら・・・2
犬を連れて散歩していたとき、
犬がワンと鳴き、隣を歩いていた
お爺さんが驚いて尻餅を突き、怪
我をしたら、犬を連れて散歩して
いた人は、果たして損害賠償責任
を負うのか、というお話の続きで
す。
このように、契約関係が無い人
との関係で負う損害賠償責任を
不法行為責任といいます。その
言葉からも分かるように、先ず、
何らかの行為が必要ですが、この
場合、どの行為を不法行為として
検討すべきかを最初に考える必要
があります。その行為を特定するた
めには、発生した損害事実から遡
って考えて行くことが良いと思い
ます。 損害事実とは、この場合、
お爺さんが怪我したことになりま
すが、この損害事実を生じさせた
原因を遡って考えて行くと、先ず、
お爺さんが驚いたという事実があ
ることが分かりますが、この事実
は、散歩していた人の行為ではな
いので更に遡る必要があります。
更に遡ると、お爺さんが驚いた
原因は犬が鳴いた事実にあること
が分かります。しかし、犬に責任
を負わせることはできないので、
更に遡ることになります。
そこで、犬が鳴いたことについ
て原因となっている散歩していた
人の行為は何かを考えることにな
りますが、そのような行為は、こ
の場合、あるのでしょうか。犬に
鳴くように命令したという特殊な
場合は除いて考えることにします。
すると、散歩していたという行
為以外に原因関係がありそうな行
為は無いことが分かります。しかし、
散歩していた行為と犬が鳴いたこ
ととは、原因と結果という関係が
あるとは言えませんよね。犬は、
散歩を始めた途端に鳴き始め、散
歩が終わるまで鳴き続けた訳ではあ
りませんからね。
では、犬が鳴いた事実の原因とな
った行為が無いのかと言えば、あ
るのです。それは、犬を鳴かせな
いようにする行為です。犬を鳴か
せないにする行為、そんな行為は
していないよ!そうですよね。し
てませんよね。でも、それが正し
く問題にすべき行為なのです。何
もしていないことが行為?そうな
んです。それも行為です。してい
ないので、不作為と言います。こ
の事例は、この不作為が問題にな
るのです。
長くなりましたので、今日は、
ここまで。
犬が吠えて、転んだら・・・
犬を連れて散歩する姿は、日常しばしば目にしま
すよね。その犬が一声ワンと吠えたため、事件が
起こったという話しです。どうして事件になったの
かと言えば、近くを歩いていたご老人が、その吠え
声に驚いて尻餅を突き、立てなくなってしまったか
らです。それを見て、今度は、犬を連れて散歩して
いたご婦人が驚き、駆け寄り、声を掛けたところ、
家族を呼んで欲しいと言われ、ご家族に電話した
ところ、ご高齢のご婦人が電話に応答しましたが、
迎えに行く交通手段がないから、連れて帰って来
て欲しいとのことでした。そこで困ったご婦人は、
家族に車で迎えに来て貰い、ご老人をその自宅
まで送り届けました。すると、ご老人は、そのまま
病院につれて行って欲しいと言い出したのです。
仕方なく、そのまま車で、ご老人を病院に連れ
て行き、診察が終わるまで待って、再び、自宅ま
で送り届けました。
それで一件落着かと思えばそうはいかず、ご
婦人は、それから毎日、ご老人の病院通いの送
り迎えをさせられることになったのです。ご婦人は、
家事がありますし、趣味のお稽古事もありますので、
毎日の送り迎えは、大変な負担になります。しかし、
犬が吠えたため転んだという弱みがあり、病院の
送り迎えを断れず、苦痛は日々益す一方となり、
私の法律相談を受けることになりました。
さて、ここからが本題ですが、犬が吠えたことに
因る法的責任はあるのか、無いのか、あるとすれば
どの程度の責任なのか、それが問題です。
今日は、ここまで・・・