友に連れられ向かった、かの地。

のそりのそりと空を斬る巨大観覧車を尻目に、

我はとある建造物に入場した。


あらかじめこしらえてあった紙を用いると入場は実にたやすい。


己を表現する民たちがひしめき合う中、

我は絵巻物を生み出す兄妹のブースへと足を踏み入れた。


金銭と引き換えに美しい赤い紙を受け取ったならば、

男たちの奏でる音楽を聴き続けるのはひどく楽しい。



友をあざむき、再びブースへむかうと

すかさず赤い紙をとりだし記名を要求した。


応じてくれた。


それはいなせな物語を紡ぐ兄だ。

美麗な絵を創作する妹は不在であったが・・・。


我の心は満たされ、鉄の箱に乗って帰宅した。


感謝している。