こんばんは、
未来のマスターこと【かわばた】です。
いよいよ探してみNut-s!、スタートです!
記念すべき第1歩目は
あきる野市・戸倉
が舞台!
観光情報などではあまり見かけない「戸倉」ですが、歩いてみたら面白いコトがたくさん見つかりました!
まずはオリジナルムービーをどうぞ!
基本情報
場所:あきる野市西部
面積:14.15㎢
人口:334世帯、710人(R2.11.1時点)
アクセス:武蔵五日市駅から徒歩30分、路線バス8分
地形など:戸倉城山(標高434m)を中心に「本郷」「西戸倉」「星竹」「坂下十里木」「盆堀」の5つの地区に分かれています。城山の東側、路線バスが通る中心地区「本郷」。城山の北東側、本郷から一段上がった「西戸倉」。城山の北側、東西に長く伸びた「坂下十里木」。秋川を挟んだ対岸、山裾と秋川の間の傾斜地「星竹」。そして城山の南側、盆堀川に沿った「盆堀」。 ※「坂下十里木」は縮めて「坂十」と呼ばれることもあります。
「戸倉」という名前
「戸」は左右から物の狭まったところの意味で、「倉」は岩石を表す言葉、つまり両方から岩山の狭まった地形に由来する自然地名だそうです。実際に歩いてみると、確かに檜原や養沢などの山から小中野や五日市などの平坦な土地になる境目ですし、ほとんどが山から川にかけての斜面地なので、「岩に挟まれたところ」というのは納得です。まあ、地名の由来については所説ありますのでそのつもりで。
ちなみに、地名の由来にはどんなものがあるかご存知ですか?地名の由来には大きく分けて3つあります。1つ目は土地の地形や動植物による「自然地名」。今回の「戸倉」や「落合」、「小和田」などがこれにあたります。2つ目は人間の生活による「人文地名」。それぞれの生活場面毎に考えると政治「府中」「本庄」、経済「五日市」「原市場」、社寺・信仰「宮前」「門前」「神田」、交通「追分」「六道」などがあります。3つ目は近年の市町村合併により増加している「合成地名」。これは「昭」和町と拝「島」町が合併し「昭島」という感じです。
最後に、地名を考える時のポイントを1つ。地名は文字が存在する以前から言葉として使われてきたものなので、「はじめにことばあり」という感覚が大切です。漢字から意味が判別できるのは比較的新しい中近世以降の地名、ということを覚えておくといいかもしれません。
(三島神社下から本郷を臨む)
戸倉は明治末期から昭和初期にかけて、「模範村」として全国に名を知られた地区です。「模範村」とは、村政運営の優良な自治体のことを指し、戸倉は明治30年~40年代にかけて、内務省や東京府に優良自治体として紹介されています。そんな「模範村」戸倉の歴史で特筆すべきは、「地域教育」と「合理的な山林経営」です。
まずは「地域教育」についてです。戸倉では学制が布告された明治初期、村有林(村所有の山林)を売却し戸倉小学校(当初は戸倉学校)を設立しました。教員の給料や校費には村有林の売却金の余りを村民に貸し付け、その利子を充てていたそうです。このような経営は当時としては画期的なもので、神奈川県庁に表彰されています。利子で運用資金を捻出するというのは現代経営にも通じる経営方法ですので、明治期にそのような方法を実践していたのはさすがです。
さらに明治30年には、村民全戸加入の「戸倉村教育会」が発足し、学校教育だけでなく社会教育も発展していきました。「青年夜学会」と呼ばれる男性対象の団体では、農林業の研究や読書、武道の練習、講演会などを行い、一方女性を対象とした「淑女土曜会」では国語や数学、裁縫、生け花、茶事など、村民が学び続けられる機会を村が提供していました。その他にも、「戸倉村図書館」や「村民表彰」制度などを村で運営し、村民の教養の向上や地域の一体感を醸成していったのです。
※「社会教育」とは簡単に言うと「学校教育以外の主として青少年及び成人に対する組織的な教育活動」のことです。
(戸倉小の南側から久保川原方面を臨む)
次に村有林の合理経営についてです。戸倉村は明治30年頃から村の基本財産として造林事業を開始しました。村有林を土地の良し悪しで「甲乙丙」の3段階に分け、甲は村で植林管理、乙は村民の福利充実を目的として村と村民の分収林、丙は薪炭林(たき木や炭の原料とする木材を採取するための山林)として村で管理しました。つまり、土地のセグメント分けを行い、それぞれを最適な管理方法で運営していたのです。実に経営的ですね。「将来は無税村に!」という合言葉のもと、こうした山林経営によって、村財政の確立を目指してきたのです。自分たちの地域のことを自主財源でまかなうという考え方は、これからの地域の在り方のヒントになるような気がします。Let’s温故知新!
(三島神社下から西戸倉・星竹を臨む)
以上が戸倉の概要です。
戸倉での「探してみNut-s!」、次からはスポット紹介です!
乞うご期待‼︎
【参考資料】
あきる野市HP 「町丁別の世帯数と人口構成」
『五日市町史』五日市町(1976)
『五日市町の古道と地名(第3刷)』五日市町教育委員会(1995)
『戸倉あれこれ-歴史・民話・伝説-』坂本愛次(1986)
地図は地理院地図より
文責:かわばた