※原作の映画監督の話ではピョングと言う名前は≪병든 지구(病んだ地球)≫の略だそうです。
主人公の"ピョング"="私たちの地球"と考えて見ると物語が一層深く感じられるように思います。


「地球を守らなければ!!」

 

主人公ピョングはただ純粋にそして真剣に信じていた。
宇宙人から地球を守らなければならないその思いで必死だった。

ピョングを今まで苦しめて来た者たち。
椅子が壊れるほど殴りつけた高校の担任。
素っ裸にさせ床に吐き捨てた唾まで舐めさせた少年院の刑務官。
不当な待遇を受けさせた江稜工場の工場長。
全ては宇宙人だったと気づいたピョングは一人一人捕まえては拷問し消していった。
そして気づいたのだ。
次の皆既日食にアンドロメダPK-45惑星の王子が来て

地球は滅ぼされると!!

自分が王子に直接会って地球の滅亡を防がなければならない。
僕が守らなくて誰が地球を守るんだ。
地球を守らなければ!!

 

皆既月食まで残り6日。
ついにピョングは行動を起こす。
ユジェ科学の代表カン・マンシクを拉致したのだ。
ピョングはユジェ科学の代表カン・マンシクが
アンドロメダPK-45惑星の王子と疎通ができる唯一の宇宙人だと確信していた。
ピョングと共に暮らすスニと一緒に原州の人里離れた自分の家へ監禁する。

 

ピョングの母は3年前にユジェ科学の工場で起きたガス漏れ事故で意識が戻らないまま眠ったままだ。
それ故にピョングにはユジェ科学代表対して恨みもある。

 

カン代表への拷問が始まった。
アンドロメダPK-45惑星の王子に会わせろと交渉を繰り返すピョング。
何のことかさっぱり分からず困惑するカン代表。

 

(字幕動画参照)

http://dai.ly/x60umb5

 

一方、財界で有名なカン代表拉致事件の騒ぎで
担当を任されたソウル江南警察署のベテラン刑事、チュ刑事は記者発表を行っていた。

拉致にはカン代表の車(BMW)が使用され、嶺東高速道路を走り原州の料金所を出たことがわかっている。
また拉致現場には容疑者の治療薬とみられる青い薬の欠片が発見された。
この薬は神経安定剤で精神疾患者たちが必要とする薬だ。
チュ刑事は事件の行動から犯人は馬鹿か大胆な奴、

或いはカン代表と怨恨関係にある精神疾患者と推測した。

 

そこにチュ刑事の後輩である新米刑事、キム刑事から有力な知らせが入る。
カン・マンシク代表のカードでたった今、
原州の銀行から800万ウォンが引き出されたのだ。
「合羽を着てマスクをした背の低い女性」

スニだった。

 

母さんをあんな目に合わせたのは誰なのか。
自分が必要なのではなく当然お前が払わなければならない金なんだとピョングは言う。
「母さんが死んだらお前ら宇宙人もすべて終わりだ!!」
カン代表はピョングの顔をよく見ると思い出したようだ。
3年前のガス漏れ事故で自分に卵を投げつけたのがピョングだったということを。
ピョングの母親がガス漏れ事故の被害者だったということを。
そして爆破事故に巻き込まれ死んだ女性がピョングの恋人だったということを。

 

ピョングの体が小刻みに震え始める。

ピョングは常にポケットに入っている精神安定剤を急いで飲み込んだ。

 

「あの時、報償金をたくさんやったじゃないか!

足りなかったのならそう言えばいい! スニ!カードを持って来るんだ。」
スニがカン代表のカードを差し出すとピョングはカードを叩き付けた。
「この汚い宇宙人め!金で何でも解決できると思うのか!?
ここに来て何回
を口にしたと思うんだ!!!」
ピョングは怒鳴り、怒りをあらわにした。
「望むものは何なんだ!?」
「お金の為じゃないなら死んだ
恋人
のためか?『愛』のためだったのか?」

と問うカン代表。

 

事故当時、ピョングは現場にいた。
苦しみ息絶えていく人々の姿が今も鮮明に蘇る。

怒りで全身が震えるピョング。

 

恋人』『愛』と言う言葉を聞いたスニは傷つく。
スニにはピョング兄さんしかいないからだ。

 

「兄さん、私しかいないっていったじゃない。。。」
スニがそう尋ねるとピョングは黙って出て行ってしまった。


カン代表はそんなスニの気持ちを利用してここから逃げ出そうと必死だ。
兄さんは正気じゃないんだ。恋人の復讐の為にこうしている。
兄さんはスニさんを愛していない。

兄さんはスニさんを利用しているんだ。
ピョングが愛してると言ってくれたか?
ピョングがキスしてくれたか?
自分を愛してくれない男の傍にいたら大変だ。死んでしまう。
私が助けるから一緒に逃げようと。


ピョングを一途に愛するスニはそれでも兄さんを信じていた。
「違うわ!あなたは宇宙人なのよ!!」

スニはカン代表にスプレーをかけると飛び出した。

 

買い物に出たピョングは道端で偶然同級生のテシクに会った。
昔からピョングをからかい苦しめていた一人だ。
相変わらずテシクの態度は昔のままだ。

何を買ったんだ?と無理矢理ピョングから買い物袋を奪い

大量に買った液体シップをばら撒くと、お金まで要求した。

お金を持っていないと言うと屈んでいるピョングに何回も蹴りを入れるテシク。

次はお金を持って来るんだぞ!とテシクは面白くなさそうな表情で去っていった。
ピョングは突然何かを悟ったかのように笑い出す。
「あいつも宇宙人だったのか...」

「テシク!こっちに来いよ...」

 

血に染まったスーツケースを引きながら家に戻ったピョング。
スニは激しく降る雨の中、外に出ていた。
私を愛しているのかと問うスニ。

スニは不安な気持ちでいっぱいだ。
カン代表に言われたことを気にしているのだ。

「スニ、どうしたんだよ?」
スニの問いに答えようとしないピョング。

キスも拒まれ、スニはがっくりと肩を落とす。
「兄さんは私を愛してないわ。さようなら。」

スニはピョングの家を出ていってしまった。

 

一方、チュ刑事は一人で原州へ向けて車を走らせていた。
チュ刑事は普段から金と権力のあるカン代表が問題を起こしていることは知っていた。
だがカン代表は警察庁長の身内(婿)なのだ。
カン代表をよく思っていないながらも警察庁長の為に悪く言えず守らなければならなかった。
しばらく記者には何も言うなとキム刑事に伝えると
まずはお金を引き出したスニを捕まえようとアクセルを深く踏み込んだ。

 

スニが去ってしまい、ピョングとカン代表は地下室に二人きりになってしまった。

ピョングは魂を抜かれたように歩き回っていた。
カン代表がスニに水を持ってきてくれと頼むがスニの返事はない。
「スニは去ったんだ。いや。スニにとっては良い事かもしれない。良い事なんだ。」
自分に言い聞かせるピョングだが落ち着かない様子だ。

 

「お前、私が死んだら責任取れるのか?私が死ねば王子に会えないんだぞ!」

「だから死にたくなければ王子に会わてくれ!」

ピョングは繰り返し叫んだ。

「だから死にたくなければ王子に会わてくれ!王子に会わてくれ!!」

カン代表に迫るピョング。

王子に会えば自分が交渉するんだ。僕が地球を守るんだ。
王子に会ったらどう交渉するのか
私を王子だと思い言ってみろとカン代表が言うと
ピョングはシャツの裾を握り締め、少し躊躇した後に

その場でひざまづき、カン代表に向かって土下座をした。


「王子様、地球を助けてもらえませんか?地球を助けてください。
汚い宇宙人の奴らさえいなくなれば地球は再び美しくなれるんです。
だからお願いです。お願いだから地球を助けてください。」
ピョングの切実な願いだった。

 

去っていったスニを連れて来れば王子に会わせるというカン代表。
ピョングがスニに初めて出会ったのは母さんが倒れ、恋人が亡くなりとても辛い時期だった。


スニはサーカス団で可笑しなピエロの格好をして働いていた。
スニの歌を初めて聞いたピョングはその歌声に癒された。
スニの魔術と歌う姿を見ていると心の痛みが消えるようだった。
スニが箱から消えて再び出てくる魔術がタイムマシンだと感じたピョングは
その時間を操る魔術で母さんを取り戻せるのではないか、
スニにはその能力があるのではないかと感じたのだ。
ピョングはスニに母さんを助けてほしいと頼みこんだ。
スニは快く承諾する。
「私が兄さんを助けてあげるわ。」


ピョングが幼い頃、父は毎日のように母に暴力を奮っていた。
母を必死でかばうピョング。
父と揉め合いの末、父は頭を強くぶつけ動かなくなってしまった。
ピョングが父を殺してしまったのだ。
意図ではない不運な事故だった。
「母さん、どうしよう。。。とても怖いよ。。。」
怖がり泣きつくピョングに母は言った。
「母さんは父さんがいなくてもピョングさえいればいい。
ピョングが勉強を頑張って成功するだろうから。ピョングさえいればいいのよ。」
そんな母に何もしてやれなかったピョングは悔み涙を流す。

 

ピョングの苦痛と悲しみ。
それはこうなったのは全て宇宙人の仕業だ!と思うことで打ち勝つことができた。
ピョングと母を苦しめて来た全ての人は宇宙人なんだと。

 

母さんを倒れさせ恋人を死なせたお前。
お前も宇宙人なんだ。
ピョングはカン代表ににじり寄る。
「よく聞け!カン・マンシク!
俺が調査した結果、勉強のできなかったカン・マンシクはドイツに乗馬留学に行った。
しかし馬から落ちて危篤状態となった。」
「それは馬に乗るのが嫌で休学したんだ!小さい頃から馬が嫌いなんだ!」

ピョングはカン代表の言葉を聞かず話を続ける。
「しかしおかしな事が起きた。お前の父が急に亡くなり遺産を全て受け取ったお前は
危篤状態であるにもかかわらず突然消えたんだ。」
「全部わかっているんだ!
 死んだカン・マンシクの人生を生きている宇宙人だと言うことを!!」

 

ピョングは宇宙人の弱点である甲高い声を出して
カン代表に自分は宇宙人だと言うよう強要した。

本当の名前、惑星の名前も言わせ、ピョングは満足顔だ。
「さぁ!王子との接触場所を教えるんだ!!」
ここは深くてテレパシーが使えないとカン代表が言うと
テレパシーがよく使えるよう元の顔を見せろというピョング。
ピョングはまた自分で作ったという機械を取り出した。
宇宙人を本当の姿に変える機械(ローラー機)。
人間の細胞に偽装した顔を剥がし取るのだ。
これには相当な苦痛が伴う。
ピョングがカン代表の顔に機械を当てまくると
カン代表は気絶してしまった。

 

僕も時々全てを投げ出したくなる。
この馬鹿な地球人たちを全て消してしまいたくなる。
全て消えてしまえば僕も苦痛もなくなるだろう。
ピョングは地面に手を当て地球に話しかけた。


地球よ。
滑稽だろ。
僕みたいな奴がお前をこうやって救おうと尽くすこと。
地球よ。
めまぐるしいだろ。
僕もうんざりするよ。
この地獄のような世の中に何の未練があるのか。
何故この地球上に僕がいなければならないのか。
僕はもう辛いんだ。
けどピョングよ。
お前が地球を救うなら全てが変わるだろう。
人々は誰が本当の英雄なのかを知ることになるだろう。
お前が地球を救うなら。
お前が地球を救うなら。


行くあてがなく江稜のサーカス団に戻ってきたスニ。
けれど団長はお前が戻ってきたら俺が困るんだと断固スニを拒否する。
ピョングの奴は責任も取らないで戻って来させるとは!!
怒鳴る団長にスニは強く反発した。
「違うわ!!兄さんは宇宙人を捕まえて地球を守るかっこいい人なのよ!」
スニは今までピョングがしてきたこと
宇宙人を捕まえては殺してきたことを団長に話してしまう。
そして今家に宇宙人が一匹いることまでも。
「まだ死んでないけどもうすぐ死ぬはずよ。」
スニの言葉に団長は驚き、慌てて警察に通報する。

 

上半身を脱がされたカン代表。

拷問が続く中、突然ピョングの家のドアをノックする音が鳴った。
ソウルから来たチュ刑事だ。
助けを呼ぶカン代表をピョングはすぐさま気絶させると地下に残し、

平然と玄関の扉を開けに向かった。
人を探しているんだとスニのパネルを持ち込んで来たチュ刑事。
ここには女はいないとピョングは冷静だ。

チュ刑事は怪しむ。

 

一方、通報を受けてスニの元を訪れたのは江陵派出所の巡査だ。
一昨日23時に何をしていたのか、ピョングを知っているかを尋問されるが
歌を歌い必死に誤魔化すスニ。
「兄さんが危ない!私が助けるわ!!」
スニは兄さんの元へと走っていった。

 

ピョングが地下室に戻るとカン代表は手錠を外し脱走を試みていた。
スニのピンクのネグリジェを着てパイプ管を手に握めている。
「そんなことだろうと思ったよ。」
もみ合いになる二人。
カン代表がピョングに圧し掛かり首を絞める。
「お前みたいな奴は嫌いだが命だけは助けてやる。」
カン代表はピョングが気絶したと思い手を緩めたその瞬間、ピョングは突然反撃を見せた。
結局カン代表は再びピョングに捕まってしまう。
今度は鎖で手を縛られ壁に磔にされた。
強盗、拉致、殺人、脅迫、全部秘密にするから自首しろと言うカン代表。
「さっきの刑事は俺が殺したんだ。」
「お前が接触場所を言わない限り、今後妨害する奴らは全て殺す。」
ピョングは苛立ち焦っていた。

皆既日食が近づいて来ているのだ。
ピョングがパイプ管で足を折ろうとした瞬間、カン代表は咄嗟に「母親!」と口にした。

 「母親を助けてやる!」
母親という言葉にピタッと動きが止まるピョング。


カン代表はこう説明する。
ピョングの母親が倒れたのは有毒ガスが決定的な理由ではなく
新人類に変える試験をしたのだが磁場が合わなかったようだと。
再び人間に戻れるように実験を止めるという暗号を送ればよいと。
その暗号を言われるまま何度も練習し覚えたピョングは急いで母親の元へと走っていった。


「母さん、ピョングが来たよ。これを聞けば助かるんだって。」
何度も何度も暗号を唱えるピョング。
母さんを助けたい一心だ。
ピョングの必死の願いは届くことなく病室には心配停止の機械音が鳴り響いた。


泣く崩れるピョング。

「母さん、僕がとても遅く来たね。ごめん。
母さん、僕が地球を苦しめる宇宙人たちを皆やっつけるよ。
母さんみたいに苦しむ人がいないように僕が地球を守るよ。」


自分の勘を信じたチュ刑事は再びピョングの家に戻って来ていた。
ピョングが犯人だという証拠を掴む為だ。
すでに拉致に使われた
カン・マンシクの車(BMW)、人の大腿骨の骨まで見つけていた。
急いでキム刑事に連絡を取るチュ刑事。
キム刑事は江陵警察署に要請をお願いしてはどうかと提案するが
チュ刑事は拒否し江陵警察署のイ班長には報告せずにすぐに来いと指示する。
その瞬間だった。

雷鳴が轟く。


目の前に現れたのは蜂防ネット帽子を被り、青い合羽を着たピョングだ。

「刑事さん、また来たんですね。」
道に迷ったと弁明するチュ刑事はピョングの不気味な出で立ちに思わず後ずさりした。
蜂に餌をやりに来たというピョング。
砂糖水でも与えるのかと言うチュ刑事にピョングは冷淡な態度だ。
「いいえ。砂糖水とは酷いまねです。蜂を騙すことじゃないですか。
騙しではいけません。蜂には本当の食べ物を与えないとね。」
ピョングは懐からはちみつを取り出して見せた。
チュ刑事は驚いて見つけた大腿骨の骨を落としてしまう。

 

「手を挙げろ!」

銃をピョングに向けるチュ刑事。
「イ・ピョング!お前が連続殺人犯なんだろ!」
「いいえ。僕は人を殺してない。」
「カン・マンシク代表もお前が拉致して殺したんだろう!!」
チュ刑事の怒鳴り声に蜂が驚いたのか飛び回る。
払いのけるチュ刑事。
「そんなことをしてはダメだ。蜂に何の過ちがあるんです。お腹が空いているだけなんだ。」
ピョングははちみつをチュ刑事の顔に向かって投げつけた。
チュ刑事の顔に集まる蜂の群れ。
ピョングはチュ刑事へ銃を向ける。
2発の銃声が鳴り響いた。


スニがピョングの家へ戻ってきた。
戻ってきたスニに気づくとカン代表は鎖を外してもらおうと必死だ。
そこへチュ刑事から連絡を受けたキム刑事もピョングの家へ辿り着いた。

兄さんじゃないと分かり身を潜めるスニ。
キム刑事はついに拉致されたカン代表を発見する。
しかし新米のキム刑事はチュ刑事なしでは何も行動できない。
カン代表を救出することができないままピョングが帰ってきてしまった。

銃を向け合うキム刑事とピョング。

スニはピョングを助けようとキム刑事に近づくが逆に捕まってしまった。

「スニ!スニ!」

ピョングはスニを守るため銃を遠くに投げると跪き手を挙げた。

「お前のせいで!!お前のせいで母さんが死んだんだ!

お前を殺さなければならない!」

「母さんが死んだって?どうしたんだ?」

キム刑事はピョングの言葉に耳を傾けた。
キム刑事はピョングについてよく調べ上げていた。
ピョングの今までの人生を哀れみ同情しながらも逮捕をしようと銃を向ける。
自首をして弁護士費用を貸すから正直に話そうとまで言い説得したが
愛する人を全て失ったピョングにはもう恐れるものなどなかった。

「どうして俺をほっておいてくれないんだ。」
再び銃を手に取ったピョングは真面目で心優しいキム刑事までも撃ち殺してしまう。

ピョングは狂ったように笑い出した。


ピョングはもう待てなかった。
ドリルを持ち出しカン代表の頭を解剖して王子と接触する場所を知ろうというのだ。
けたたましい音を上げるドリルを目の前にカン代表は何とか逃れるために必死に喋る。
「待て!待て!テレパシーが来たんだ!王子に会えなくなるぞ!」
王子と交渉すると言っていたピョングだったが地球を征服しに来る王子をもはや殺す考えだ。
もうカン代表の戯言は何の耳にも入らなかったがカン代表は意外な言葉を口にする。
「王子は地球を救うつもりなんだ!!私たち宇宙人が人間を創造したのだ!」
「お前たちが人間を創造したと?」
ピョングはドリルを止めた。

 

「全部話すからよく聞くんだ。」
カン代表は自ら手錠を外し立ち上がった。
「私の故郷はアンドロメダPK-25!45ではなく25だ!お前は最初から間違っていた。」
カン代表いや宇宙人の力説は続く。
私たちの先王は美しい惑星を発見し地球と名づけた。
当時は多くの恐竜が生きていたが地球が致命的なウィルスにかかり
恐竜が滅亡しかけたので私たちが危険を感じ

私たちと姿形がよく似た生命体、<人間>を作った。
しかし人間たちは自分たちを強くしようと遺伝子操作実験を行い攻撃的な遺伝子を増やし
戦争を繰り広げ地球を汚染していったのだ。
人間たち自らがDNAを急速に悪化させていった。

私たちは地球の非情な状態を見かね警告し努力した。
一緒に暮らしながら平和に愛しながら
ジョン・レノン、マザー・テレサ、スティーブ・ジョブズ、マイケル・ジャクソン
全ては人間を助ける為の宇宙人だったと言う。


平和を放棄したのはまさに人間たちだ。
それで私たちは3年前に新しい試験を始めたのだ。
ピョングの母親がその一番目の試験対象者だった。
悪い人間たちが多い地球で攻撃的な遺伝子を排除しようと
優しい人間たちを集めてその遺伝子で新しい人類を作ろうとしたと言う。
「すまなかった。しかしお前の母親は地球のために犠牲になったのだ。」
「それをどうして今になって打ち明けるんだ?
地球のためにと言うがどうしてお前は悪いことばかりしてるんだ!?」
ピョングは詰め寄る。

 

「試したんだ!」
この地球にどれだけ正義な人間が残っているかを試したのだ。
私がどんなに悪いことをしてもそれを阻止する人間は一人もいなかった。
権力と金で全てやりたいことができたと言う。
私の任務は失敗だった。

 

皆既月食が始まれば王子が地球に来て自分の目で見て最後の決断をすると言う。
地球の運命は王子に委ねられていた。
「王子と接触する場所に連れて行こう。地球の運命は直接聞けばいい。」


「いいだろう。お前を連れて王子と接触する場所へ行く。」
ピョングは決心し、スニに爆弾チョッキを持ってこさせた。
ついにピョングの最後の戦いが始まる。

 

「王子と接触する場所は江稜工場だ!」


3人は車に乗り、スニの運転で江稜工場へと向かう。
しかし拉致事件により周辺は警戒態勢が発令されていた。
ピョングたちは検問にひっかかる。
恐る恐る窓をあけるスニ。
身分証を見せろと質問した警官は助手席に座るカン・マンシク代表の顔に気づいたようだ。
ピョングは警官に向けて発砲し、スニはアクセルをめいっぱい踏み込んだ。
パトカーの追っ手を振り払い逃走するピョングたち。
途中事故を起こしてしまい逃走車両を置き去りにし長い道のりを歩いた末、
3人はついに江稜工場に到着した。

 

「ここだ。王子との接触場所。」
カン代表はいくつかのレバーとスイッチのある装置の前に立った。


「始めるんだ!!すぐに!!」
ピョングはカン代表に銃を向け王子との接触に急いだ。

 

カン代表は王子を呼ぶ暗号を唱え、テレパシーが来たと叫びながら

ピョングとスニを危ないと言って壁の方へと誘導する。
カン代表がスイッチを押した瞬間、壁に電流が走った。
ピョングは電流にやられ持っていた銃は床に落ちた。
カン代表は銃を拾い高笑いする。


「イ・ピョング!愚かなやつめ!!」
「よく聞け!イ・ピョング!お前はただの殺人者だ!サイコパス!!」
電流を上げていくカン代表。
苦痛には慣れることができないと言ったピョングへの仕返しだ。
150ボルトを流した瞬間、装置が音をたてて破裂した。
ピョングは電流から解き放たれる。


「汚い宇宙人め。ついに本性を出したな。

王子が来た瞬間、このボタンを押すんだ。そうすれば皆死ぬんだ。」
ピョングは爆弾チョッキのスイッチを手に取った。


「押してみろよ。地球を救うんだろう?王子に地球を救ってくれと交渉するんだろ?」
「押せよ。ピョング!お前には押せないさ。」
カン代表は嘲笑いピョングに銃を向けた。
「じゃあな。イ・ピョング。」

 

「ダメー!!!!」

 

銃声が鳴り響いた。


銃を受けたのはスニだ。
咄嗟にピョングをかばったのだ。
ふらふらと倒れ込むスニ。

 

「スニ!!ダメだ!!スニ!!今はダメだ!」
ピョングはスニを抱きかかえた。
「兄さん私死ぬのかな。」
「スニは死なないよ。どうしてスニが死ぬんだよ。兄さんが死なせないさ。」
優しく答えるピョング。
「宇宙人のおじさん。兄さんをあまり懲らしめないで。兄さんはとても心を病んでるの。」
スニは泣きながらカン代表に頼むとピョングを見つめ、必死に声を絞り出した。


「兄さん。。。愛してるわ。」
「愛してるよ。スニ。愛してる。」
ピョングはスニを胸に抱きしめた。

 

「兄さん、地球を必ず守って。。。」
スニの最後の言葉だった。


「イ・ピョング。お前がスニを殺したんだ。とんでもない馬鹿なまねのせいで。」
カン代表はピョングの足に銃を撃った。
「もう全部終わったんだ。諦めろ。地球に希望はない。」

 

「地球を助けてくれ。死んでもいい。言う通りにする。

王子に会わせるって約束したじゃないか!」
撃たれた足を引きずりながらピョングは床に這いつくばる。
「近寄るな!次は心臓だ。私も殺すのは嫌なんだ。」
それでもピョングは這いつくばり、カン代表に必死に懇願する。
「約束したじゃないか。王子に会わせてくれ。」
「地球を助けてくれ。お願いだ。地球を助けてくれよ。お願いだ。地球を助けてくれ。。。」
ピョングは手を伸ばし、すがる思いで繰り返した。

 

『ピョング。地球を守るのよ。』

 

これは母の言葉だった。
母との約束を何としてでも叶えたかったピョング。

 

銃声が響いた。
ピョングの胸を銃弾が貫く。

 

「ピョング!しっかりしろ!」
カン代表は駆け寄った。

 

「地球を。。。助けてくれ。。」
ピョングはそう言い残すと息絶えた。

 

撃ったのは江陵警察署のイ班長だった。
私が全て解決したというイ班長は実は警察庁長の身内であるカン代表に頼みがあった。
イ班長は元々ソウルの南大門警察署にいたが賄賂を受け取ったという誤解を受け、

地方の江陵警察署に飛ばされたていた。
ソウルに戻りたいイ班長はこの事件を機に戻してもらえるようカン代表に頼み込んだのだ。

 

カン代表は開いたままのピョングの目をそっと閉じさせ、両手を組ませる。

 

事件はサイコパスによる犯行として収束を向かえた。
また犯人を説得し続け迅速に事件を解決に導いたカン代表は次回大統領候補1位となるくらいまで世論評価が上がったのだった。

もちろんスニを撃ったことは暗闇に隠された。

 

カン代表は滑稽な結末に苦笑いする。
「地球を守れだと?」


宇宙船から宇宙人が降りてきて何やら暗号を唱えた。
王子を呼び出す。


アンドロメダPK-25の王子が姿を現した。
何とカン・マンシク代表だ。


お前が早く来ないから狂った地球人に殺されそうになったじゃないかと腹をたてる。
考える時間が必要だと宇宙船に乗り込んだ王子。
宇宙船から地球を眺めた王子は答えを出した。

 

「残念だが地球には希望はない。消してしまうんだ。」

 

黄泉の国との境界でピョングは彷徨う。
「ここはどこだ?そこに行けば母さんに会えるのか?」

スニが向こう岸から手を振っている。

「母さん、僕が愛する人は皆そこにいるんでしょう?」

 

ピョングは涙を浮かべ問いかける。

 

「それなら地球はこれから誰が守るんだ?」


地球の核が真っ赤に染まる。
ピョングの思いは届くことなく地球は爆発してしまった。

 

 

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