夢のマシン | 高橋いさをの徒然草
2018-07-10 08:29:00

夢のマシン

テーマ:エトセトラ
購入したパソコンの印刷機にはコピー機能がある。その機能を使えば、自宅で文章や写真などのコピーが可能なのである!   こんなことに驚いているのは、長い間、ワープロで文章を打ち込み、"感熱紙"にそれを印刷して用を足してきた人間だけだとは思うが、自宅で手軽にコピーができるとは、わたしにとっては夢のようなことである。

わたしが二十代の頃、演劇の台本はガリ版印刷が主流だった。若い人にガリ版印刷と言ってもまったくイメージがわかないと思うが、パラフィン紙に鉄筆で文章を書き、そこにインクを塗ったローラーを転がして、一枚一枚を手動で印刷するのである。ガリガリと鉄筆で文字を書いて印刷するから「ガリ版 」なのだと思う。わたしが劇団活動を始めた頃、上演した台本はすべてそういう作りである。台本がガリ版印刷からコピー印刷になったのは、1980年代の半ばくらいのことだ。記憶では、一枚コピーをする値段も、今よりずっと高かったように思う。しかし、体力がいる上に刷り終わると手が真っ黒に汚れてしまうガリ版印刷に比べれば、一度に大量の複製を実現できるコピー機は、まるで夢のようなマシンだった。

コンビニがコピー機を常備するようになったのは、それからしばらくしてだったと思う。コンビニへ出向き、夜を徹して書いた台本を作者自らコピーすることは、当時のわたしの日常だった。今思えば、その姿にはちょっとした哀愁が漂っていたにちがいない。だからか、今でもコンビニのコピー・コーナーに行く度に昔を思い出し、ちょっとした感慨を抱く。

今は驚きに満ちていても、自宅で書いた文章をコピーすることも、いつかはわたしにとって当たり前のことになるにちがいない。そのようにして、時代は変わり、わたしの心も変わる。まあ、そんなことはアナタにとってはすでに当たり前のことなのだろうが。

※コンビニのコピー機。

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