Isanan の駄文ブログ

… 自作小説(?)やら何やらの駄文を、気が向いたときにだらだらと書き連ねて行くブログです


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トップの記事数を10件から5件に変更した。

スキンデザインを今まで使っていた「夜空」から「海岸」に変えようとしたが、想像よりも何だか赤かったのでやめた。

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 ラシオン達の真下の湖面が巨大な影に覆われたかと思うと、突如として大きく盛り上がった。そして水面を突き破ってそれは現れた。ラーケロンだった。巨体が宙に躍り出し、全身から水を滴らせながら鳥柱へと突込んでくる。パルバルトスに次々と衝突して、ラシオン達の目前に迫った。幾何学的な文様の浮かび出た灰色の皮膚が目の前を凄い勢いで通り過ぎ、風圧にパルバルトスが煽られた。その体の一部が翼を掠めた。パルバルトスは木の葉のように吹き飛んだ。空中に大きな弧を描いてラーケロンは湖に着水した。ファルーマ中に轟音が響き渡り、水柱が驚くほど高く上がった。

 ラシオン達の乗るパルバルトスはきりもみしながら真逆さまに落下した。必死にしがみつきながらもラシオンはパルバルトスの体を叩く。だが失神したままだ。湖面が迫ってくる。ラシオンは銛で突いた。パルバルトスは意識を取り戻して、湖上すれすれで飛行体勢を立て直した。そこに巻き上がった水柱から瀑布のように水が降り注いできた。水に打たれて何羽もパルバルトスが落下する。ラシオン達の乗ったパルバルトスは水中に飛び込んでこれを逃れた。だが湖底からはまたも巨大な影が迫っていた。パルバルトスは水上に出ると、湖面を走って再び飛び立った。高度を上げようと羽ばたきを続ける。ラシオンの視界が、暗闇に下方から覆われて行った。空が徐々に狭まる。闇の輪郭は鋸のように鋭く波打っていた。その間をパルバルトスはくぐり抜けた。真後ろで岩を打ち合わせたような音が響いた。ラシオンが振り返ると尖塔のように並ぶ巨大な牙の列が見えた。ラシオン達はラーケロンの顎を脱出したのだ。パルバルトスは風を捉えて天高く舞い上がった。

 ラーケロンは再び着水した。その後もう一度湖面に姿を見せたが、巨大な渦を残し湖中に潜ると二度と現れることはなかった。辺りは水煙が漂っていた。パルバルトスは水平飛行に移った。周囲には他の個体も集まって、編隊を組み始めていた。ラシオンはオレフィーナの方を見た。水滴が朝日を反射し、宝石のように光り輝いていた。オレフィーナもラシオンを見つめ返した。

「いやー、危ないところだったウパー。」

二人は同時の声の方を振り向いた。パルバルトスの尾羽の付け根に両棲類に似た生き物がしがみついていた。二人は顔を見合わせた。

 水平線から朝日が昇り始め、ファルーマの湖面に反射して金色に輝いた。それは太陽へと伸びる光の道が現れたかのように見えた。水鳥の群れはそれに導かれるように東へと飛び進んだ。その行く手には果てし無く広がる青い湖面がどこまでも続いていた。

(終り)

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 ファルーマは夜明けの時を迎えていた。まだ周囲は暗かったが、東の水平線から空が薄紫色に染まりつつあった。湖上をぬけて風が新鮮な空気を運んでくる。だが島全体にその奥底から鳴動が響き、周囲は異様な雰囲気につつまれていた。異変に気付いたパルバルトス達が目を覚まし不安の鳴き声をあげた。

「ラシオン、これからどうするつもりなの?」

ラシオンの腕の中でオレフィーナが聞いた。もうその瞳から青い光は失われていた。ラシオンは答えず周囲を見回しながら足早に進んだ。何かを探している様子だった。辺りにはパルバルトスが群れていたが、島の異常のせいかラシオン達には関心を示さないでいた。オレフィーナがもう一度質問しようと口を開きかけた。そのときラシオンは急に立ち止まった。

 その前には一羽のパルバルトスがいた。周りの騒ぎをよそに首を片翼の下にいれた姿勢で眠ったままだ。オレフィーナを降ろすとラシオンはこの巨大な鳥に組みつき、首と翼の付け根を押さえつけた。パルバルトスが驚いたように体を動かすのを必死に堪える。すると徐々に動きが鈍くなり、また眠りに落ちたかのように静かになった。一種の催眠状態におちいったのだ。これと同じ性質がファラト族の飼う家禽にもあった。ラシオンはそれを知っており、パルバルトスに応用したのだ。

「乗って。」

ラシオンの言葉にオレフィーナは怪訝な顔をしつつもパルバルトスの背中に上がった。ラシオンも後に続く。パルバルトスは目覚めて首を翼の下から出したが、寝ぼけている風で背中のラシオン達を気にする様子はなかった。

「これに乗って島を出る気?」

「ああ。」

「でも…。」

アマルナカムのパルバルトスは夜明けとともに東へ向けて飛び立ち日没頃に戻ってくる。だがその行く先は知られていなかった。東にはただファルーマが広がるだけであり、鳥達はファラトの領域を遥かに越えて飛び去って行くからだ。徐々に明るくなる中で、ラシオン達のまわりのパルバルトスも一羽、二羽と飛び立ち始めていた。オレフィーナはまた何か言いかけようとした。

 そのとき鳴動が一段と増したかと思うと、地面を破って木の根状のものが何本も飛び出てきた。鞭のようにしなってパルバルトスの群れに襲いかかる。周囲は大喧燥につつまれた。ラシオン達の乗った個体も正気に戻って、すごい速さで斜面を駆け降り出した。その巨体故に飛び立つのに助走が要るのだ。前を邪魔する木の根をよけようと何度も跳ね、その度にラシオン達の体も大きく上下した。振り落とされまいと必死にしがみつく。耳元で風が轟々と唸りをあげた。眼前に湖面が迫ってくる。オレフィーナは思わず目を閉じた。

 衝撃を覚悟したが、一度下に押し付けられるような感じがしたかと思うと今度は浮き上がる感覚に変わった。目を開けると眼下に水面が広がっているのが見えた。足の下に地面がなかった。周りには何羽ものパルバルトスが飛び交い、旋回しながら上昇気流をとらえようと上昇下降を繰り返している。やがてパルバルトス達の群れは螺旋の渦を描き、生き物のように動く一本の巨大な鳥柱になった。ラシオンは言った。

「もう村には帰らない。」

「…!」

「オレフィーナ、一緒に行こう。」

薄明かりが湖面を照らしアマルナカムを浮かび上がらせた。対岸には朝靄の中ファラトの村が望めた。断崖の続く湖岸にわずかな平地を選んで集落が点在している。それはとても小さく見えた。空から自分達の住む土地を眺めるというのは何とも不思議なものであり、また幻想的な光景でもあった。オレフィーナはラシオンの方を見た。

「ラシオン…。」

そのとき巨大な影が湖面を覆い、ラシオン達の真下の水面が大きく盛り上がった。

(続く)

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 オレフィーナを抱きかかえると、ラシオンは向き直った。広間を横切り橋へと行こうとする。その前を魔女が立ちふさいだ。魔女は冷たく厳しい顔をしていた。その言葉が広間に響いた。

「もしその娘を連れ帰るというのなら、私を殺してから行け。」

「………。」

魔女の声は鋭く、目には憎悪と嘲りの色が浮かんでいた。

「儀式は失敗した。貴様のせいでな。生け贄が生きて戻るなどとは、未だかつて起こり得なかったことだ。だがそうしたいと言うのなら、その前に私を殺してから行くのだな。」

魔女は背筋を伸ばしてラシオンの前に立ち、見下すように睨み付けた。ラシオンはしばらく答えなかった。やがてつぶやくように言った。

「ラネア…。」

「何?」

「あんたの名前、ラネアと言うのか?最期にパオトンがそう叫んだように聞こえたが。」

魔女は少しのあいだ沈黙した。

「忘れたな。昔の話だ。さあ、殺せ。」

その言葉を無視してラシオンは歩き出した。

「どうした。貴様は掟を破り、儀式を失敗させ、アマルナカムの番人を倒した。この期に及んで何をためらう理由がある?」

ラシオンは魔女の方を向き答えた。

「俺は、オレフィーナを助けに来ただけだ。」

そう言うと魔女の横を通り過ぎ、橋へと向かった。後ろから魔女の声が響いた。

「そうか…。では二人とも、生きて島から出すわけにはいかん!」

 その言葉とともに床が、壁が、天井が音を上げて蠢き始めた。木の根状のものがまるで生き物のように動き出していた。地面から何本も立ち上がって行く手をふさいでくる。ラシオンは振り返って魔女を見た。魔女の両眼が真紅に変わり、燃え上がるかのような赤い光を放っていた。それは額の玉石と同じ色だった。魔女は冷たい笑みを浮かべた。ラシオン達を囲んだ木の根状のものが、毒蛇が牙を打ち込むように一斉に襲いかかってきた。避ける方法は無かった。

 木の根の動きが突然止まった。まるでラシオン達のまわりに見えない壁ができて阻まれたかのようだ。

「ラシオン、今のうち。急いで!」

ラシオンの腕の中でオレフィーナが意識を取り戻して言った。今、その両眼からは青色の光が輝いていた。魔女は憤怒の表情を見せ、その目の光が一層明るさを増した。それに呼応するかのように空間中が振動して、壁という壁が蠢き出していた。ラシオンはオレフィーナを抱えたまま全力で走った。

 橋を渡り洞窟に入ってもラシオンは走り続けた。今や洞窟全体が生き物に変わったかのように脈動していた。床、壁、天井から次々と木の根が立ち上がって、前を遮り後を追ってきた。しかしラシオン達の寸前で動きを止め、道を開けるかのように分かれた。洞窟は入り組んでいたが先々に光を放っており、ラシオンはそれを道標代わりに進んだ。

「ラシオン…。」

「何?」

「怪我をしている。」

パオトンに付けられた傷から血が流れていた。

「気にするな。」

「だからあれほど危険な真似はやめてと…。」

オレフィーナの目の光は徐々に薄れていった。それとともに木の根の勢いは増し、ラシオンの体にも触れるようになってきた。だが先に行くにつれその密度は減り始め、表面からの発光も弱まっていった。洞窟は暗くなり、感触も岩のものに変わった。ラシオンは闇に目を凝らして走った。やがて出口が見えてきた。ラシオン達は遂に洞窟を抜け出た。そこは島の岩山の中腹付近だった。外は夜が明けようとしていた。ファルーマから風が吹き上げてきた。

(続く)

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