最後の一葉 | IT'S A WONDERFUL LIFE~素晴しき哉、人生!

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ヒラウジイサム的マイペースな日々をのんびりと綴ります。
音楽、写真、演劇、絵、映画、ゲーム…多趣味人間。大阪在住。

んが。
最近やたら眠くなるのが早い。

昨晩も今夜もふわふわ~っと早い時間から夢の中。(うたた寝の延長ってのが良くない)


今日は、帰りに本屋で立ち読みしていたら、
超・短編であるにもかかわらず、めちゃくちゃジーンとして思わず鼻が真っ赤になりそうだったから、買って家で続きを読む事にした(笑)。


10ページくらいの話だから、アーウィン・ショーの『ストロベリー・アイスクリーム・ソーダ』の半分くらいしかない。



O・ヘンリ短編集の中の
『最後の一葉』。


子供の頃にこの話を初めて知った時はすごい衝撃を受けたものだけど、大人になった今読んでみてもやっぱり衝撃。




内容(有名な話なのでネタバレします)を書くと…




芸術の街。

とある一角にあるレンガ造りの建物の三階をアトリエとして住む、スウとジョンジーはお互いに画家を目指す女の子。

ある日、ジョンジーは流行り病の肺炎にかかる。


当時、なかなか治らないとされる肺炎は、ジョンジーの体力をみるみる奪い、
「あとは彼女自身が“生きよう”とする気力次第」と、助かる見込みがほとんどない事実を、スウは医者から聞かされる。


悲しむスウの目に映るジョンジーは、どんどん衰弱していった。

ある日、
スウは、ベッドに横たわり窓辺を眺めっぱなしのジョンジーが「…12…11…」と、何かをつぶやいているのを耳にする。


何を見ているの?と尋ねると、ジョンジーは「…だんだん落ちるのが早くなってきた。三日前は百くらいあったのに。あと5つ…。」とつぶやき続ける。


「何が5つなの?教えて。」とスウが言うと、ジョンジーは、向かいの建物の壁にある蔦の葉っぱの数を数えているのだと答えた。

最後の一葉が落ちたらきっと自分も死んでしまうのだ、と言う。


「何をばかげたことを!」
スウは驚くが、ジョンジーは信じて疑わなかった。


「お願い、ジョンジー。
私が明日までに渡さなきゃならない絵を描いてしまうまで、窓を見ないと約束して。」

「もう待ちくたびれたわ。
早く最後の一葉が落ちるのを見たい。描き終えたら早く教えてね。」と言うジョンジーを何とか眠らせたスウは、
一階に住む飲んだくれの老人・ベアマンにその事を話した。

ベアマンは、いつもジンを飲んで酔っ払っては、「いつか最高傑作を描いてやる!」と言っている、落ちぶれた画家だ。


スウの話を聞いたベアマンは、「くだらない話だ!あんたもなぜ一緒にいて、そんな事をあの子の頭に思い起こさせるんだ!」と軽蔑する。

衰弱しているから余計な妄想をしてしまうのよ、と言うと、
「これだから女ってものは困る。ここはジョンジーみたいな善良な子が病気で寝るようなところじゃない。いつかわしも傑作を描く!そうしたら皆でここを出ていこう。」と酔った赤い顔をさらに紅潮させ豪語するのだった。



その晩、外は大雨でひどい嵐だった。


翌朝、目覚めたジョンジーは、窓のシェードを開けるようにスウに言う。

スウが緊張した面持ちでゆっくりとシェードを開けると、
驚いた事に、あれだけの風雨の中だったのに、たった一枚の蔦の葉がはっきりと残って枝にぶらさがっていたのだ。


葉柄の近くはまだ濃い緑色で、のこぎりの歯のようなフチは黄色く朽ちていたが、しっかりと枝にしがみついていた。


スウもジョンジーもとても驚いた。

しかし、
「…あれが最後の一葉だわ。
今夜は風が強いから今日はきっと落ちる。そうしたら私も死ぬんだわ。」と、ジョンジーは生気のない目でつぶやいた。


その日も過ぎ、夕暮れになっても、その最後の一葉はしっかりと枝に残っていた。

寒い北風に吹かれても、窓をたたき付ける雨に打たれても、ひとりぽっちで健気に枝にしっかりとしがみついていたのである。


翌朝もその蔦の葉はあった。

長い間、それをじっと見つめていたジョンジーは、

「スウ、…私は悪い子だった。
私がどんなに悪い子かを思い知らせる為に、あの最後の一葉は残ってくれたのね。
死にたいと思うなんて、罰当たりな話だわ。

さあ、スープを少しちょうだい。そして手鏡と!」


そうしてジョンジーは元気になり、病気も回復し、二人はとても喜んだ。



その後、

一階に住むベアマン老人が肺炎で亡くなったと聞いた。

それを知ったスウは、ベッドで編物をしているジョンジーに語りかける。


「あのね、ジョンジー…ベアマンさんが今日、肺炎で亡くなったそうなの。

管理人さんが、先日の嵐の晩、階下の部屋で苦しがっているのを見つけた時には、靴も服もびしょびしょに濡れて氷みたいに冷えきっていたそうよ。

あんな夜にどこへ行っていたのか誰もわからなかったのだけれど、
まだ灯のついたカンテラと引きずった梯子と散らばった数本の絵筆、そして黄色と緑色の絵の具をといたパレットが見つかったの。

そう言えば…あの壁の最後の蔦の葉、風が吹いてもちっても動かないし、揺れもしないのを変だと思わなかった?


ねえ、ジョンジー、
あれがベアマンさんの傑作だったのよ。

最後の一葉が落ちた夜、あの人があそこへ描いたのだわ。」

















…………

という話でね。


全部書いちゃったけど(笑)。

他にも素晴らしい話がいっぱいあるので、良かったら読んでみてください。


外国文学って、登場人物の名前を覚えるのが苦手なので手をつけにくいけれど、
読みやすい名作もたくさんあるので、この夏の読書に一冊いかがでしょうか。



ちなみに『ストロベリー・アイスクリーム・ソーダ』は、アーウィン・ショーの『夏服を着た女たち』という短編集に収録されています。