贅沢な悩み その6

野球は私の人生そのものと言っていい。ひょっこり街などで出会った友人達に「まだ野球やっている?」と聞かれる。もうじき58才になろうかというのに。野球から足を洗って16年になる。そしてほとんど野球に関心がなくなった。なぜなら「野球で死んだら本望だ」と豪語していたくらい、命懸けで野球にはまり込んでいたから、何も思い残すことはない。高校野球にもプロ野球にもとんと興味が湧かない。我が輩の持論は、プロ野球が衰退したのは高校野球にマスコミを始めとする衆目が集まりすぎて、甲子園が頂点になってしまったからだ、と思っている。特にピッチャーなどは連投に次ぐ連投でほとんどの選手が肩や肘を壊してしまう。肩や肘を壊したときのあの痛みを知らない者が指導者やマスコミの連中が球界を牛耳っている。子供たちの将来を全く省みていない。大器晩成ではないが、遅太りの選手も沢山いるはずだ。我が輩も17才から18才に掛けて10数㎝身長が伸びた。もっと早かったら好きな野球を諦めなくても済んでいたかも。「甲子園が最終目的になっている。「甲子園へ行けなかったら落伍者だ」といった風潮が随分長い間この国を支配してきたように思う。そこで多くの逸材の芽を摘んでいるような気がしてならない。ピッチャーといえば大体4番バッターで中心的存在であり、チームの中では最も野球的素質に恵まれていると言えるだろう。そのピッチャーが子供の頃から期待され、酷使に酷使を耐えてきて、ある日パッと凧の糸が切れたように野球界から去っていく。「もう疲れた・・」と。僅か18才そこらで。そのピッチャーがドンドン消えていくのだから、野球資源が減少するのは当たり前だ。・・・つづく