一大絵巻 byアルトマン先生
ロバート・アルトマン監督作品(イギリス)137分
マギー・スミス様、クリスティン・スコット・トーマス様、マイケル・ガンボン様、
アラン・ベイツ様、へレン・ミレン様、デレク・ジャコビ様、エミリー・ワトソン様、
リチャード・E・グラント様、クライヴ・オーウェン様、ライアン・フィリップ様、
ジェームズ・ウィルビー様、ケリー・マクドナルド様、スティーヴン・フライ様他
「Mishima」に続き、書ききれないどえらい豪華キャストで繰り広げられる、
(英国貴族社会+アガサ・クリスティー)÷ロバート・アルトマン監督って感じ?
徹底した階級社会が、それぞれの魅力(と問題?)をもって描かれます。
上流社会の中は中で、上下はっきり。
オープニングは、マギー・スミス様が、土砂降りの中、
週末の「ゴスフォード・パーク」でのハンティング・パーティに出かける。
奥様をお待ちする間、運転手とずぶ濡れになりながら、車に幌をかけるヒロイン。
奥様お出ましでご出発・・・を見送る執事。
「ああ、今週末は少し楽に過ごせるのう」って感じ。
マギー・スミス奥様の、毒舌、傲慢し放題は、道中から炸裂。
ポットの蓋が開かないから開けろ、で、ヒロインまたもずぶ濡れになって・・・
車の外で、直立不動、受け取ったら、蓋、ぱこっと開いちゃうし。
そこで追い抜いていく車は、アメリカから来た、ゴスフォード・パーク主人の親戚の映画俳優。
「何かお手をお貸ししましょうか?」にも取り付くシマ無し。「じ、じゃあお先に」。
この彼が出演した映画のタイトルが「下宿人」って、これまたヒッチコック監督へのオマージュ?
パーティーの場面では、ずっとピアノを演奏。マギー・スミス様、
「拍手はやめなさい、一晩中弾くわよ」。いや、彼、サーヴィスで弾いてますから。
これが、ほとほと、うんざりにならず、どこか可愛い?のがマギー様ならでは。
使用人たちも、彼らなりに、漏れ聴こえるその調べに、耳を澄ましてうっとり。
「今時は使用人を育てるのも一仕事よ、こっちがお給料をもらいたいくらいよ」はいはい。
しかし、この、徹底した階級社会、主の側の言い分でもあるかもね。
自分の好みを把握して、動き、気に障らない会話をしてくれる、
日常、一番傍にいる相当な年齢差の相手を育てるわけだし。
そして、使用人たちの世界は世界で、上下関係がきっちり。
今回は、ヘレン・ミレン様が「使われる」側に。珍し~。
その位、使われる側も、トップの人達は選りすぐりってのも解りやすい。
使用人たちが、晩餐の支度をする場面。
晩餐が始ると・・・
この「ゴスフォード・パーク」の主、使用人に手を出しては、子供を作り、施設に捨てる悪癖あり。
今も、若いメイド、エミリー・ワトソン様と関係してるのが、皆さんとの会話の中でばれてしまう。
気まずくなって、書斎にバックレる主人。
夫人は「ずっと知ってたわよ」いやあ、美しいです。クリスティン・スコット・トーマス様。
夫人は夫人で、上手くやってますんで。
さて、書斎では、主人が殺されていた。しかも二度。
始めはお酒に毒が・・・で絶命。その後、キッチンから盗まれたナイフでぐっさり。
急にアガサ・クリスティー様の世界に早変わりです。
警察登場で現れるのが、みどりの大好きな、スティーヴン・フライ様。
いつもながら、美しいお声と、佇まい。今回はパイプ御愛用ですね。
そうして、事件の真相の影には、犯人が真相を語るにも語れない理由が。
アルトマン監督 ↑ ですからね、しっかり毒が潜ませてあります。
彼らなしでは何もできないご主人さま達、きっちり引かれた階級の線は厚い壁の使用人。
それでも、ラスト、勿論首になったエミリー・ワトソン様が、
ご主人の愛犬をこっそり頂いちゃって、バッグに潜ませ館を去る軽快さ。
何度拝見しても、魅力的な・・・長編です。今月、二時間越、多過ぎる。
みどりは映画、95分位が好きよ。
「ファニーとアレキサンドル」の呪縛?