こんにちは
鈴木です
アキレス腱に関して論文をいくつか調べたので、①患者さん向けに噛み砕いて②治療家向けに専門用語も入れてまとめました。
興味があったり、悩まれている方がいたら参考にしてみてください。
患者さん向け:アキレス腱炎や断裂とは?
アキレス腱は、私たちの歩行や走行に不可欠な重要な組織です。様々な要因により腱に変性が起こることがあり、最悪の場合、断裂に至る可能性があります。
アキレス腱とは?
アキレス腱は身体で最も太い腱で、かかとと下腿の筋肉を結ぶ重要な役割を担っています。
コラーゲン線維で構成されています。
コラーゲンが伸び縮みするため走ったり飛んだりはねたりの負荷がかかっても損傷しにくくなっています。
コラーゲンとは?
タンパク質です。
美容関連でよく聞くが、皮膚に多く存在するもの
組織の強度を維持する役割があります。
変性と断裂リスク
腱の変性(一部分が太く腫れる)は必ずしも断裂につながるわけではありませんが、断裂のリスクを高める重要な要因の一つです。
研究によれば、変性がある場合の断裂リスクは約4%とされています。
断裂には変性以外の要因が関わってきます。
リスク要因
損傷や断裂リスクを上げるものには以下のものが影響していると言われています。
- 年齢:加齢とともにリスクが上昇します。加齢とともにⅠ型コラーゲン線維の減少が減少します
- 性別:男性は女性よりもリスクが高くなります。
- 運動習慣:過度な運動や不適切なトレーニングでリスクが増加します。
- 既往歴:特定の疾患や服用中の薬がリスクに影響を与えます。コレステロール値など影響するようですが詳細は割愛します。
予防と対策
適切なストレッチと筋力トレーニング(特にカーフレイズ)を行うことが効果的です。
トレーニングをすることで腱の強度が上がり、コラーゲン合成促進されると言われています。
運動は適度な強度から始め、徐々に強度を上げていきましょう。
これは損傷後のリハビリの進め方にも同様のことが言えます。
トレーニングを痛みのない範囲で行い、リバウンドを確認しながら段階的な復帰を目指します。
痛みや違和感がある場合は、早期に専門家への相談をお勧めします。
治療家向け:アキレス腱変性と断裂の詳細分析
解剖学的特徴と機能
アキレス腱断裂(ATR)の発生部位は、近位1/3が約45%、中位1/3が42%、遠位1/3が13%です。ATR患者の95%では、断裂部位から離れた腱部分に肥厚が見られ、部分断裂を伴うことがあるようです。
コラーゲン繊維の構造
ATは主にコラーゲン線維で構成されます。
主にⅠ型コラーゲン線維、Ⅲ型コラーゲン繊維が存在
Ⅰ型は高強度、Ⅲ型は柔軟性がある
正常な腱はⅠ型が多く存在。損傷した場合にⅢ型が増え回復を促進する
回復していくに連れⅢ型からⅠ型に移行するが、正常な腱に比べⅢ型の割合が増加してしまう。
サブテンドンの特徴
3つのサブテンドン(ヒラメ筋と脛腹筋内側頭・外側頭由来)で構成
踵骨挿入部付近で螺旋状にねじれを起こす。
ねじれの程度は個体差3パターンほどあり、よりねじれが強いものが罹患率が低い
左足では時計回りに捻転が起こっている
体重の12倍までの力に耐え、生理学的伸張限界は2%~4%
変性のメカニズムと特徴
- コラーゲン線維の変化:Type I(高強度)からType III(高柔軟性・低強度)への移行
- 線維芽細胞の萎縮→コラーゲンの生成への悪影響
- 弾性力の低下
これらの変化は、加齢や過度な負荷によって進行します。
断裂リスク要因の複合的評価
変性による断裂リスクは研究により4%~44%と幅がありますが、4%が最も現実的な数値とされています。リスク評価では、以下の要因を考慮する必要があります:
- 年齢 高齢>若年
- 性別 男性>女性
- 運動強度 高>低
- 既往歴(リウマチ等)
- 血中コレステロール・グルコース濃度 高い>低い
- BMI 高い>低い
- 薬物相互作用(特定の抗生物質等)
血流と治癒能力の関係
アキレス腱の血管供給は限られており、損傷により治癒能力が低下します。
これは腱肥厚の一因となり、慢性化すると断裂リスクが上昇する可能性があります。
治療アプローチ
施術
- マッサージ
- 鍼治療
:血流改善による治癒促進
運動
ウエイトトレーニング:腱の強度向上とコラーゲン合成促進
特にエキセントリックエクササイズ(特にヒールドロップ):腱の強度向上と再構築促進
再生医療
:研究段階ながら、治癒促進の可能性あり
今後のインプット
- 変性が神経伝達に及ぼす影響
- 鍼治療による腱変性回復効果
- コラーゲン型変化(Type IIIからType Iへ)に対する鍼治療の効果
- 加齢でのコラーゲン線維の進行抑制に鍼は貢献できるのか?
- アスリートの断裂を防ぐには?下腿筋、ATのエキセントリック負荷の対応力
- 損傷の早期発見、→超音波エコーの有効性。炎症初期早期発見による悪化の予防。腫れ、ドプラーでの比較
参考文献
The Risk of Achilles Tendon Rupture in the Patients with Achilles Tendinopathy: Healthcare Database Analysis in the United States(2017)
Youichi Yasui,Ichiro Tonogai,Andrew J. Rosenbaum,Yoshiharu Shimozono, Hirotaka Kawano,and John G. Kennedy
https://doi.org/10.1155/2017/7021862
Anatomical and Functional Considerations in Achilles Tendon Lesions(2019) Katherine M. Dederer, MD, Joshua N. Tennant, MD, MPH*
https://doi.org/10.1016/j.fcl.2019.04.001
MRI Assessment of Degeneration of the Tendon in Achilles Tendon Ruptures(2019)
Henrik C. Bäcker, MD1 , Tony T. Wong, MD2
, and J. Turner Vosseller, MD1
https://doi.org/10.1177/1071100719845016
A Perspective on Reversibility of Tendinosis-Induced Multi-Level Adaptations Kornelia Kulig1,Yu-Jen Chang2 and David Ortiz-Weissberg1
doi: 10.3389/fphys.2020.00651
Incidence, demographics, characteristics and management of acute Achilles tendon rupture: An epidemiological study Samuel Briggs-Price,Jitendra Mangwani, Linzy Houchen-Wolloff, Gayatri Modha,Emma Fitzpatrick, Murtaza Faizi, Jenna Shepherd, Seth O’Neill
https://doi.org/10.1371/journal. FOOT AND ANKLE: RESEARCH The anatomical footprint of the Achilles tendon
M. S. Ballal,C. R. Walker,A. P. Molloy
doi:10.1302/0301-620X.96B10.33771
=======≈===============================================
以下のサイトからネット予約を承っております。
東京芝浦田町スポーツ整骨院・はり治療院(JR田町駅下車徒歩6分、地下鉄三田駅下車徒歩8分)
新浦安しんもり整骨院・はり治療院 入船院(京葉線新浦安駅徒歩8分)
=======================
腰痛や手足のしびれでお困りの方はこちらにご相談ください
芝浦田町スポーツ整骨院はり治療院 HPはこちら
新浦安しんもり整骨院・はり治療院 入船院 HPはこちら
========================
超音波エコーに興味がある鍼灸・柔整初心者🔰や学生の皆様と繋がりたい
エコー下でこんな施術が出来るようになりませんか?
Q.L4L5椎間関節の痛みを緩和したい場合どこに鍼をさしますか?
A.
❶L4脊髄神経後枝内側枝
(L5横突起基部)
❷L4L5椎間関節
❸L3 脊髄神経後枝内側枝
(L4横突起基部)
無料のコミュニティで一緒に情報交換しませんか?
・超音波エコーに興味がある
・現状の治療に不安がある
・将来が不安
・どんな勉強をしたらいかわからない
など、不安や悩みを共有して、前進して行けるコミュニティにしたいと思います。
実際に当院で働いている新人スタッフは、1年で超音波エコーを用いた施術が出来るようになりました。
まずは、1歩を踏み出したい方登録お願いします。
コミュニティスペースはこちらから