痛みだけの判断は危険。再発が多い ふくらはぎ肉離れについて | 芝浦田町スポーツ整骨院はり治療院・新浦安しんもり整骨院はり治療院ブログ

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代表は元サッカー日本代表の中村俊輔選手のトレーナー。スポーツのケガ・腰痛・肩こり・手足のしびれなど、プロアスリートへの施術を皆様にお届けしています。




■ふくらはぎ肉離れの特徴的な症状

サッカーシーズンが始まると増えるケガのひとつはふくらはぎの肉離れです。

ふくらはぎは、腓腹筋とヒラメ筋で構成されていて、ふくらはぎの上の方や、下の方の筋肉から腱になる部分によく起こります。


ジャンプや急なストップ動作でも起こりますが、長時間のランニングの練習後起こるイメージがあります。


シーズンが始まって、12分走を3セットだ~!なんて練習の後に起こりやすいです。


急なストップ動作で起きた肉離れは、急にピキッと鋭い痛みが起こることが多く、長時間のランニングで起こる肉離れは、なんか張りが強いな程度から始まり痛みがだんだん強くなる事が多いです。


■何が怖いふくらはぎの肉離れ


経験上再発が多く、復帰したと思ったら逆足のふくらはぎやハムストリングを肉離れする事も少なくないです。


肉離れを繰り返し競技生活を続けられなくなる選手もいます。


■なぜ 再発する?


①復帰時期が早すぎる(組織損傷が修復されていない)

②組織癒着(滑走性)が改善されてない

③筋力含めて機能が改善してない

事が考えられる


①復帰時期が早すぎる(組織損傷が修復されていない)

それはメディカルのミスだろ⁉︎って思う人がいるかもですが、そんな簡単な話しではないです。


肉離れをした際の復帰時期を判断する材料として、「腱」を損傷しているかどうかが重要になると言われています。


「腱」の損傷有無はMRIにより、ドクターが診断する事が可能です。MRIによる腱の損傷有無など重症度の評価と、先人方のリハビリ経験により復帰時期の目処を予測出来るようになりました。しかしMRIの評価にも限界がある事は頭に入れとかないといけません。


一般的に再発が多いケースは、「痛みが消えたから運動した」というケースです。痛みは身体からのサインの一つに過ぎません。


私が痛みの説明をする図は下記になります。バケツから水が溢れると痛みを感じるというイメージです。バケツは身体の耐性(強さ)、水が疲労・ダメージです。ケガをした際はバケツが小さくなり、水も溜まりやすい状態です。





痛みが消えたから運動して再発したケースは、バケツの水がほぼ満杯だったかもしれません。溢れなければ痛みが出ません。だから負荷をかけたら水が溢れ痛みが再発したと想像出来ます。


腱は元々痛みを感じにくく、修復に時間がかかる組織です。痛みだけで復帰を判断するのではなく、修復時間も考慮して復帰プランを立てる必要があります。


②組織癒着(滑走性)が改善されてない

肉離れをすると内出血してかさぶたが出来て治っていくイメージです。筋肉はミルフィーユのように重なっていて、お互いに滑るように動いている。かさぶたが出来すぎると滑る動きがしにくくなり再発するのではないかと考えられます。


実際には、脂肪や血管や神経や足底筋と言われる腱もあり、癒着による筋肉との滑り運動の低下が起こりやすいと想像できます。


③筋力含めて機能が改善してない

どのケガにも言える事だが、筋力や機能が改善出来てないと再発の原因になる。


ふくらはぎのつま先立ちをする機能が低下したら、ハムストリングや逆足を肉離れするケースがあります。


ウエイトトレーニングを継続して行う必要があると思います。ウエイトトレーニングは、上記②の癒着の改善の効果もあると思っています。


■MRI評価の限界

MRIを撮れば全ての事がわかる訳ではないということは知らないといけません。そうしないと、ドクターのMRI評価だけで復帰時期を決める事になり、MRIでは判断できなかった重度の負傷だった場合、復帰時期が早すぎる事になり、再発リスクが上がるので注意が必要です。


私はMRI撮影の専門家ではないので、あくまでも私見ですが、MRI評価の限界は以下の事が挙げられます。


①画像間の隙間がある?


参考 ギモンらど!!

放射線検査とそれに関するノートと参考ブログ よりこちら

MRIは身体を輪切りにして筋肉など組織を映し出す医療機器だが、上記の図のように画像間の隙間が数ミリある。

その隙間に異常があった場合評価出来ない場合が考えられる。


しかし、実際は複数方向からの断層を評価するので、大きく評価が変わる事はないのではないかと思う。


②血管の近くの負傷はみつけにくい?


MRIは磁力と電波を使用し、磁気の共鳴によって体内の水分に作用し、その変化をとらえて組織の断層を撮影します。よって水分を多く含む臓器や血管などの柔らかい組織(軟部組織)の撮影に向いてます。


肉離れをして出血したり、炎症が起こるとMRIに映ります。但し、血管など水分が豊富な組織の近くの場合、評価しにくい事も考えられます


③「腱」と筋肉の境目が明確ではない


肉離れの復帰時期予測は「腱」の損傷の有無がポイントの一つです。しかし、「腱」と筋肉は繋がっていて明確な境界がある訳ではない。

太い腱なら判断しやすいだろうが、ふくらはぎには膜のような「腱膜」が広範囲に存在して、「腱」損傷の評価は、難しいのではないかと思います。


■ふくらはぎ肉離れの復帰目処

①MRIによる「腱」損傷有無の確認

◯「腱」損傷なしの場合

➡️復帰目処2-4週

但し、圧痛、ストレッチ痛が2週間以上続いたり、既往歴がある場合はより慎重に考える

◯「腱」損傷ありの場合

➡️復帰目処4-8週


■治療法  足底筋(腱) 血管 神経と筋肉との癒着を改善する


足底筋は、大腿骨の外側から腓腹筋内側頭とヒラメ筋の間を通り、アキレス腱内側につく筋肉です



足底筋はほとんど腱組織で、ヒラメ筋や腓腹筋と癒着し滑りが悪くなると肉離れの原因になると考えられます


超音波エコーで足底筋腱を特定し、手によるリリースや超音波エコー下の鍼治療を行います。

他に、血管や神経も筋肉と癒着し筋肉との滑りが悪化する事も考えられるので合わせて改善します



■予防方法

①オフの後に行うランニングメニューは少な目から徐々に増やす


例えば、4分走を8本やりたかったら、4本から徐々に増やすとか


②ウエイトトレーニング

スプリントやランニングだけで負荷をかけるとリスク高いが、ウエイトトレーニングは筋肉へのストレスをコントロールしながら、負荷をかけれると考える


また、組織の滑りを改善し、柔軟性が改善されると思う


③組織の癒着改善

・手

・鍼

・ハイドロリリース(生理食塩水などの注射)

・ウエイトトレーニング


④水分補給


⑤うんこストレッチ

やり方はこちらを参照ください


⑥ヒラメ筋ストレッチ

やり方はこちらを参照下さい