こころと身体を癒す
丘の上のレイキサロン『月のあかり』
〜 横浜市 保土ケ谷 〜
レイキマスター 天原かおるです
はじめましての方···
いつもご訪問くださる方···
ご覧いただきありがとうございます
前回までのお話はこちらへ！
●◐○◑●
とても長い時間、
そこにいたように感じました。
でも実際のところ、
杉と一緒にいたのは20分程。
私は、気持ちがすっきりと落ち着き、
「ありがとう。」と乾いた涙はそのままに、
杉に笑顔を向けました
すると、少し間を空けて、
間もなく大雨になる。
早く行きなさい。
···と静かに杉は言います。
私は、まだもう少しだけ、
そこに留まりたいと思っていました
空も少し明るくなったように感じたし、
雨はまだ降らないんじゃないかな···と
黙って杉を見上げていると。
赴くままにいつでも来るが良い···
とにかく急ぎなさい。
と急かすのです···
私は素直に従うことにし、再び、
来ることを約束してその場を離れました
少し歩いて振り返ると、
うっすら霧の中にようやく見えるくらいの、
輪郭がボヤけた杉の姿が見えました。
私は、心の中で、
また必ず逢いに来るからね···と言って、
杉に手を振りました
すると突然、山の上の方で、
「キョーン···キョーン···」と、
なにかの鳴き声がしたのです
私は一瞬固まり、咄嗟にまわりを見渡すも、
白い闇の中に何も見えません。
少し不安になり「宿坊へ急がなきゃ···」と、
再び、前方を向き、足を踏み出した瞬間！
霞んだ山道の先に、
突然、なにかが現れたのです
それは···
四つ目の生き物でした
私をジーッと見ています···
リュックと背中の間が、
じっとり汗ばんでいくのが分かりました
霧が濃くなったり薄くなったりする中、
“それ”と私は、微動だにせず、
お互いを見つめていました···。
背中のリュックのポケットから、
そ···っとスマホを取り出し、
カメラのズームで拡大して確認してみました。
その正体は、
なんと、四つ目のような模様が顔にある
野生のニホンカモシカでした
※あとで、そうと分かりました。
霧のせいで、ぼんやりハッキリしない中で、
実際、四つ目に見えたのです
【夏だから、あまり毛がフサフサじゃない】
】
【分かりやすい画像を探してみました！】
※この画像はネットからお借りしました。
“なんだなんだ···やめてよね〜
”···と、
”···と、ホッとすると同時に、
この山の中、自分以外の生き物がいることに、
なんだかワクワクと嬉しくなりました
しかし···
私は、元来た道を戻り、
早く宿坊へと進みたいのです
杉に、“大雨が降るよ”と教えてもらって、
少しだけ焦っていました···
でも、ニホンカモシカが、
のんきに通せんぼしているため、
どうにも前へと進めません···
(戦ったら絶対負けるやつ···
)
)出会えて嬉しいし、かわいいのだけれど、
でも、どうしよう···と困りつつ、
驚かさないよう、少しずつ距離を詰めますが、
まったく動こうとしないし逃げません
「ヒェ〜！どうしよう···」と思っていると、
」と思っていると、雨がポツリ···ポツリ···と降り始めたのです
すると、ニホンカモシカは、
木が鬱蒼と茂る右下の崖へと、
助走なしで華麗にジャンプをすると、
バサバサと痛そうな音を立てながら、
たちまち姿を消してしまいました
私は、そこへと駆け寄り、
崖の下を怖々と覗いて見たけれど、
もう何も見えませんでした。
ホッとしたのもつかの間、
雨が途端に激しくなってきたのです。
杉が、忠告してくれた通り···。
いよいよザァァァーッと、
降ってきました
咄嗟に、葉の多い木陰へと駆け込み、
慌ててリュックをおろし、
折り畳み傘を出そうとしました···。
夢中で探している自分に、ふと気付き、
クスッと笑ってしまいました
１人で霧の山を歩き、杉と再会して、
突然現れたニホンカモシカに慌てふためき、
降り出した大雨に焦っている私···。
雨が降ったら、迷うことなく傘を差す
まるで『パブロフの犬』のように、
条件反射的に、当たり前に···。
それならば、
日常ですることをしないでいてみたら、
一体、どんな気持ちになるのだろう···。
こんな時に、
私の変な実験癖が顔を出します
私は、傘を探すのをやめて、
リュックを前に抱えたまま、
なにも考えずに見上げてみると、
弾丸のようなスピードで雨粒が落ちてきます。
白旗をあげている無抵抗の私に、
容赦なく降り注ぐ雨···。
バタバタと落ちてくる雨粒が、
まぶたに···唇に···そしてリュックに···
色を失ったモノクロの世界で、
私は、だんだんと雨色に染まっていきます。
そう。
自然のエネルギーを十分に浴びた私は、
いつものように天の邪鬼(あまのじゃく)で、
冒険家で、実験家で···
そして、パワフルな自分を徐々に
取り戻し始めたような気がしました
これ以上、濡れてしまったら、
宿坊の方にご迷惑をお掛けしてしまう···と、
我に返り、傘を出しました
杉が教えてくれた通り、
この御岳山に大雨がやってきたのです
ドーッと、
滝のように雨水が流れてくる山道···。
私は、子どものようにハシャギながら、
「こんな経験、なかなか出来ないぞーっ
」
」···と、自分でもびっくりする程、
ものすごく大きな声で言いました。
木の上の方で「やれやれ···」と、
赤く長い鼻先で雨粒をもてあましている、
呆れ顔の天狗さまに聞こえるように···。
つづく。
【大雨の中で···】
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