leeさんがご紹介してくださった書籍を読みました下矢印
 
 
第一章 入試問題作成の現場から
第二章 論説文を読む -テーマをとらえよう
第三章 エッセイを読む -筆者と一緒に考えよう
第四章 コラムを読む -効果的な「表現」
第五章 現代社会を見つめよう
第六章 報道と小説を読む -自分の考えを表現する
第七章 詩・漫画・その他を読む -メディア・リテラシーを鍛える
第八章 新聞と国語学習
 
本書が出版されたのは2010年ですので、中学入試国語に関する”情報”としては、2018年現在との比較で
① 変わったこと
② 変わっていないこと
の2つの事象に整理しながら読まないといけないなというのが先ず感じたことでした。
 
例えば①に関して、「入試問題を、どんな着眼点に基づいてどのソースから探し出してくるか?」ということがあるのですが、本書も石原先生(★★★)も仰るように、入試問題といえば長らく、”道徳的”な文章が好んで出題されていましたよね。

ですが、今年の入試では、サラ金(駒場東邦)、主夫(開成)など、世相を反映していたり、必ずしも従来の道徳観に沿った形ではないような文章からも数多く出題されていました。
 
それに加えてAIなどの時事ネタも好んで出題されており、今年は、海城、女子学院、東邦大東邦の3校が、こちら下矢印の書籍から出題したそうです。
一方、②としては、筆者が言わんとしていることを把握する要約スキルであったり、二元論的なモノの見方であったり、そもそも語彙力が大事であるというような、時代の流れに左右されることなく求められる”国語力”。
 
改めてこう書き出して自分の頭を整理すると、入試を念頭に国語力を高めるためには、本丸である②を攻めつつ、そこに新聞なども活用しながら①のイマドキなネタへの関心を絡ませていく必要がありますね。
②に関して、私は橋本先生の、目先の本質的でない事柄に振り回されない考え方が好きなので、先生のアプローチを我が家バージョンにカスタマイズさせて頂きながら家庭学習を進めていくつもりでいます。
 
話は変わりますが、本書の終わりのほうに天野祐吉さんの以下の文章が紹介されていました。
********
新聞はなくならない。でも変わる、と思う。
ニュースを、「知る」だけでなく「識(し)る」ようになる。そのニュースの向こうにあるものを考えたり、想像したりするようになる。「新聞」が「深聞」になる。と思う。
「深聞」は、だが、物知りだけが読むような、小むずかしいものじゃいけない。本来のイミで、面白いものでなければいけない。と思う。
********

天野祐吉さんのコラムが大好きで愛読していたので、お亡くなりになった時は本当に悲しかったのですが、久しぶりに読んだ天野さんの文章は言葉の使い方が絶妙で、やはり素敵です。

 

天野さんをお慕いしていた私は、娘たち用にこちら下矢印の絵本を準備済みです。

小学生が読んでも面白いのだと思いますが、これは大人が読んでもページをめくるたびに笑える絵本で、「たくさんのふしぎ傑作集」における傑作中の傑作だと私が信じてやまない一冊です。
 
キャッチコピーや広告を考えるという行為は、対象となるモノ・コトの本質を先ず的確に捉えた上で、それに対してどの角度からスポットライトを当てれば(表現すれば)、いかに他人の心を動かすことができるかということに心を砕くわけで、それは、冒頭の書籍の中で「中学入試で問われる国語力」として定義されている
① 読解力
② 表現力
とも通じている・・・というか、そのものズバリですよね。
そんなことをツラツラ考えていると、真面目で深いテーマをこんなに楽しい絵本として世に送り出した天野祐吉さんも福音館書店も最高に凄いなと思えて仕方ありません。
 
本の内容とは関係の無いことばかり書きましたが汗、素敵な書籍をご紹介してくださったleeさん、ありがとうございましたラブラブ
 
以下、備忘録のメモ書きです。
 
ハイビスカス中学国語入試で何が問われるか(p.21~23)
① 読解力
② 表現力
 
①について:
まずその文章に出てくる漢字が読めて、語句の意味を正しく理解するための知識が求められる。
語彙力に加え、慣用句、故事成語、ことわざの意味を理解しておくことも大切。
文章読解については、指示語と接続語など。
 
②について:
読解力だけでなく表現力育成のためにも、新聞のコラムや社説は格好の教材になる。
毎日続けて読むだけでもよいが、できれば一週間に一回程度は、その内容を要約するとなおよい。
要旨を把握したうえで、全体の十分の一程度の長さにまとめるという課題をおすすめしたい。
 
 
ハイビスカスタイトルを考える(p.109、115)
もともと題名や見出しがないコラムを読んで、どのようなタイトルがふさわしいのかを考えることは、要旨を把握するという意味からも有効な課題になる。
ぜひ継続的に取り組んでみてはどうだろうか。
その題名を親子で作ったうえでそれを交換して、どちらのタイトルがよりふさわしいのかを検討してみよう。
コラムは毎日続けて読むことによって、読解力を育てることができる。
またコラムの構成や表現に学んで、文章を書く力を育むこともできる。
中学国語入試を一つの契機として、できれば毎日コラムを読むという習慣を身に付けるようにしたい。
 
 
ハイビスカス伝統的な言語文化を学ぶ(p.116~118)
学習指導要領(2008年3月告示)
まじかるクラウン1・2年生
昔話や神話・伝承などの本や文章の読み聞かせを聞いたり、発表し合ったりすること
まじかるクラウン3・4年生
易しい文語調の短歌や俳句について、情景を思い浮かべたり、リズムを感じ取りながら音読や暗唱をしたりすること
長い間使われてきたことわざや慣用句、故事成語などの意味を知り、使うこと
まじかるクラウン5・6年生
親しみやすい古文や漢文、近代以降の文語調の文章について、内容の大体を知り、音読すること
古典について解説した文章を読み、昔の人のものの見方や感じ方を知ること
日本の唱歌や童謡の歌詞に注目したり、家族で百人一首を楽しむのも、「伝統的な言語文化」の学習になる。
(夕焼け小焼け、ふるさと、仰げば尊し、蛍の光など)
 
 
ハイビスカス作文力の磨き方(p.154~156)
作文を出題すると、受験生の書く文章は不思議なくらいよく似ている。
みんな「良い子」になって、前向きな思いを書こうとするからだろうか。
文章を常識的な尺度で読まずに、しっかりと自分の感性で読み、いかにも優等生が書くようなパターンを打ち破る個性を生かして、それを作文にしたためた受験生がいた。
複数の採点者から高い評価を得た作文であった。
文章表現力は短期間に育成されるものではなく、ある程度長期にわたる学習の積み重ねが不可欠になる。
文章を書く力は、実際に文章を書くことによってしか育成できない。
説明問題を含めた作文に対応するために、日頃から文章を書く習慣を身に付けておきたい。
そして、効果的なアウトプットの前には、十分なインプットが必要である。
作文を書く前に、まず「読むこと」の学習を充実する必要がある。
 
 
ハイビスカス新聞を用いたメディア・リテラシーの学習(p.216~220)
≪学習法①≫
興味・関心のある記事を切り抜き、ルーズリーフのノートに貼る
⇒読みながら、読みにくい漢字や意味が分からない語句をマーカーでチェックし、直ちに辞書で意味を確認する(調べた意味はノートに書く)
⇒記事の内容を要約する
⇒記事の話題や筆者の考え方について、感じたことや考えたことをまとめる
 
≪学習法②≫
同一の事件を報道した異なる新聞社の記事を用意する
⇒読み比べて、それぞれの報道の仕方、記事の書き方について特徴を整理する
⇒どの新聞記事の伝え方が最も効果的か、意見交換をする(なぜ効果的なのかを明らかにする)
⇒新聞報道から学んだ点を生かして、ある事件についてそれを伝える文章を書いてみる(読解から表現につなげることが、特に重要
 
≪学習法③≫
一面に報道された複数の新聞記事の一部を、見出しを伏せて読ませる
⇒見出しをつけ、複数の記事の配列を考える
⇒実際の新聞の見出しを紹介して、考えたものと比較する
 
≪学習法④≫
実際に報道された記事を比較検討して、その重要度の順序を決め、紙面での配列を考える
 
≪学習法⑤≫
投書欄の中から関心を持った話題を選び、その投書に対して返事を書く
⇒家庭でも家族の中で、当初で取り上げられた話題に対する意見を交換し、様々な意見を聞いた上で、それらを参考にして自分自身の意見をまとめると、論点を整理するトレーニングになる
⇒考えがまとまったら、実際に投稿してみるのも良い
 
≪学習法⑥≫
子どもたちが新聞記者になって、取材を通して記事を作成し、紙面のレイアウトを工夫し、実際に新聞を作成してみる
 
 
ハイビスカス非連続型テキストの読解(p.225)
従来の「読解力」は、「連続型」のテキストとしての文章を読んで理解することを促していたが、PISA調査の問題の中には、図表やグラフなどの「非連続型」のテキストが含まれている。
その「非連続型」のテキストを解釈し、熟考・評価して、表現するところまで要求されている。
「非連続型」テキストに基づく読解力のトレーニングとしても、新聞記事は活用し得る。