困った改正 | 会計を知れば世の中が見えてくる

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26年3月期、つまり今度出る有価証券報告書から、単体財務諸表

の開示が簡素化されます。


確かに有価証券報告書は年々情報量が増えていて、すごい

ボリュームになっており、連結と単体で重複した情報であれば、

単体の情報を省略するのもアリかなと思いました。


しかし、今回の改正では、削ってほしくない情報まで削られて

しまっています。


それは、製造原価明細書の開示の省略です。


今回の改正で、セグメント情報を開示している会社は、製造原価

明細書の開示を省略できることになりました。


確かに、セグメント情報では、セグメント別の損益情報の開示は

ありますが、製造原価明細書ほど詳細な情報は記載されていません。


困るのは人件費の分析です。


製造業の人件費は販売費及び一般管理費の他に、製造原価にも

含まれており、製造原価に含まれる人件費が労務費です。


そして、労務費は製造原価明細書に記載されています。


製造原価明細書が開示されなくなると、単体ベースでいくら人件費

がかかったのかが読み取れなくなってしまいます。


確かに重要性から言えば、連結と単体では連結の方が重要ですが、

たとえば売上高連単倍率が1倍に近いような会社では、依然として

単体ベースの情報にも大きな意味があります。


これまで製造業の会社の財務諸表分析では、連結ベースの人件費

総額を読み取ることができませんでしたが、これからはほとんどの

製造業の会社で、連結ベースだけでなく単体ベースでも人件費総額

を読み取ることができなくなります。


近年の会計ルールの変更は、財務諸表利用者の利便性をどう考えて

いるのか、大いに疑問です。

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