「これは自分の手。だいじ。


 やってごらん。」


左手を軽く握って


右手で優しく包み込む。


「これは自分の手、自分の手よ。


 大事にしてね。」


そう言ってくれたのは、


とても綺麗な女の人だった。


今から10年以上も前の話。