3月某日


 

  南の国に

  

  旅に出たいなあ。


 

  逃げたいとかそういうことじゃなくて、

 

  フローリングの床が冷たすぎて

 

  つま先がかじかむのにうんざりしてしまったんだ。 

 

 

   


 

 


 

 

 

 

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 東京ディズニーシー
 
五周年記念の映画の原作として書かせて頂いた
 
「Sea Of Dreams」
 
が、文庫になりました。
 
講談社ディズニー文庫より、
 
「シー・オブ・ドリームス」
 
(片仮名になったよ) 
 
三月二十日発売です。
 
ディズニーコーナーか、
 
ディズニーガイドのコーナーに
 
おいてある可能性大です。
 

五組の人間の一日が交差する、 
 
エンターティンメント小説です。
 
「イヌカイ、こういうのも書けるのね」
 
と、
 
思って頂けると嬉しいです。 

 
映画のDVDが当たるキャンペーンの
 
お知らせもありますので、
 
本屋さんに行かれた際は
 
是非是非。
 
 (写り込むわたしの親指) 
 
 

 

 



  三月某日

 

 

  とても大切な人に

 

  最後のさようならを告げた。

 

  帰りたくなくて渋谷で

 

  クレーの絵の前でぼんやりとした。

 

  美術館の中は薄暗くて

 

  人の気配に満ちていて 

 

  淋しくなくて良かった。

 

 

 

  誰かを亡くすということは、

 

  その人とできたかも知れないいろいろを諦めたり

 

  しなかったことを悔やんだりするということなんだと思った。

 

 

  「お悔やみ申し上げます」

 

  という言葉の意味が、ようやく理解できた。

 

 

  きっとわたしはまだまだ泣くけど

 

  ちゃんともっと笑うと誓う。

 

 

 


 

 

 

 

   3月某日

 

 

  わたしの強さは、

 

  何も知らない子供の無鉄砲さと同じだ。

 

 

  わたしは無知なので

 

  きっと永遠に無知なので

 

  ひとの悲しみを理解することはむつかしい。

 

 

  でもだからこそ

 

  抱きしめることができたらって思ったよ。

 

 

 





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3月某日
 
 
「不味いアップルパイはこの世に存在しない」
 
と言ったら、
 
「でも驚くほど美味しいアップルパイも存在しない」
 
と、言われてしまった。
 
 
確かにそうだ、と思ったけれど、
 
別に
 
アップルパイに驚きたくはないな、
 
 と思いなおした。