世界のEV充電設備市場規模は2024年に約25億1,000万米ドルと評価され、2025年には29億米ドル、2032年には66億8,000万米ドルに達すると予測されており、予測期間中の年平均成長率(CAGR)は15.4%となる見込みです。


市場ドライバー

世界的なEV普及の加速が市場成長を牽引

世界の電気自動車(EV)市場は前例のない成長を遂げており、これがEV充電設備の需要を直接的に押し上げています。2022年には1,000万台以上のEVが販売され、2030年までには2,500万台を超えると予測されています。主要経済国では内燃機関車の段階的廃止を目指す厳格な政策が進行しており、2035年までに100%ゼロエミッション車の販売を義務化する国も存在します。このような規制の動きが、住宅用・商業用・公共用の各分野での充電設備設置に対する持続的な需要を生み出しています。

政府の支援とインフラ投資が市場拡大を加速

世界各国での政府による資金援助と政策支援が、充電インフラの整備を急速に進めています。米国の「インフラ投資・雇用法」では、EV充電インフラ専用に75億ドルを割り当て、2030年までに全国で50万基の充電ポイントを設置することを目指しています。欧州連合(EU)も主要高速道路沿いに定期的に充電ポイントを設置することを加盟国に義務付けています。これらの取り組みは、税控除や補助金制度などと組み合わされ、民間および公共部門での導入を促進しています。

さらに、民間企業も政府の取り組みに呼応し、エネルギー企業、自動車メーカー、テクノロジー企業が数十億ドル規模の投資を進めています。
たとえば、主要自動車メーカー数社は長距離EV旅行を容易にするための全国的な充電ネットワーク構築に向けて提携を発表しています。

また、再生可能エネルギーとの統合により、持続可能な成長と電力網の負荷軽減という二重の効果が期待されています。


市場機会

技術革新とスマート充電ソリューションが新たな成長機会を創出

充電技術の進歩は市場拡大における重要な要素です。350kW以上の出力を持つ超高速充電システムの開発により、充電時間が15分未満に短縮され、EVの利便性に関する消費者の懸念が解消されつつあります。ワイヤレス充電技術も商用化が進み、コネクタ不要のシームレスな充電体験を提供する可能性を秘めています。さらに、AIを活用したスマート充電システムは、電力価格や電力網の状態に応じてエネルギー利用を最適化します。

また、蓄電システムを充電ステーションと統合することで、電力網管理の改善や新たな収益源の創出が可能になります。
実際に、一部のネットワーク事業者はEVをピーク時に電力を供給する「V2G(Vehicle-to-Grid)」技術を導入しています。

さらに、未開発地域への充電インフラ展開や新しいビジネスモデルの開発も、市場関係者にとって大きな成長機会を提供します。


主要EV充電設備企業一覧

  • ChargePoint (U.S.)

  • ABB (Switzerland)

  • Eaton (Ireland)

  • Blink Charging Co. (U.S.)

  • Siemens (Germany)

  • Schneider Electric SE (France)

  • BYD Company Ltd. (China)

  • General Electric Company (U.S.)

  • Leviton Manufacturing Co., Inc. (U.S.)

  • Panasonic Corporation (Japan)