『妻のトリセツ』(黒川伊保子・講談社2018年)に書かれているように、日常生活においても、男性脳・女性脳の違いがトラブルの原因になる。夫が皿洗いを手伝っても、皿の裏の汚れに気づかない。部屋を片付けても、妻の目からは、まったく片付いて見えない等々、例を挙げたら切りがない。レストランの座る位置に関する指摘も興味深い。
「レストランで、壁際の二人席に座るときは、絶対に女性を壁際に座らせなければならない。男性が壁際に座るカップルはうまく行かない」。理由は、壁を背にして座ると、店全体を眺めることになるからだ。男性の目線は、店全体を泳ぎ、扉を開けて入ってきた女性や、テーブル間を動くウェイトレスに、けっこうしっかりと照準を合わせてしまう。これは、「狩りをしながら進化してきた男性脳」の自然な所作なのだが、ロマンティックモードの女性脳には、「自分に集中してくれない。気のない男」に見えてしまうのである。(『不機嫌のトリセツ』黒川伊保子・河出書房新社2021年)
私は企業で働いていた経験から、女性を上座(奥の席)に座らせる習慣は身についているが、確かに自分が空間を見渡せる席に着いていると、扉から入ってきた人につい目が行く。ましてそれが綺麗な女性だったら注視しかねない。デート相手や妻が不機嫌になることは十分にあり得る。
屋外で風に揺れるスカートや、小走りする女性の揺れる胸に男性の視線が行くのも、そうした意味で当然だ。必ずしもエッチだからではない。動くものに反射的に目が行くのである。もちろん、じっと見続けたら、いやらしい人で間違いない。
