男女の関係はなぜうまくいかないのか(13) | シロナガスクジラのブログ

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ビートルズのジョージ・ハリスンと21歳で結婚し、幸せの絶頂にあったパティ・ボイドは、母親の2度の離婚を目の当たりにして、自分は絶対に別れないと決意していた。けれども、結婚8年目でジョージを捨て、エリック・クラプトンのもとへ走ってしまう。

 

結婚当初の明るく優しいジョージは徐々に変わっていく。殺到するビートルズファンにうんざりし、コンサートツアーやマニラを頂点とする海外でのトラブルに疲れ果て、不機嫌で無愛想な男になっていった。

 

インドの思想や音楽に救いを見い出したが、インドの導師から学んだ瞑想も、ストレスを軽減して快活になるというよりは、自分の殻に閉じこもる方向へ導いた。コカインの度を越した使用も影響したのかもしれない(『パティ・ボイド自伝』シンコーミュージック2008年)。

 

バンド内でのジョージは、偉大なソングライター、ジョン・レノンとポール・マッカートニーの下で、長い間、弟分のような存在だった。けれども、徐々に曲作りの才能が開花し始めると、自分の扱いを不当に感じ、不満を募らせていく。

 

私生活では一時期、宗教上の理由から禁欲を信条にしていたようだ(『ジョージ・ハリスン』アラン・クレイソン著・プロデュース・センター出版局2002年)。結婚4年目を迎えた1970年初頭、パティはまだ25歳の若さだった。女盛りで子供が欲しかったパティにとって、禁欲生活とはあまりに酷い仕打ちだった。

 

しかしジョージは本当に禁欲的だったのだろうか。たしかに同じパートナーとのセックスは飽きる。だからこそパティの17歳の妹、ポーラに手を出そうとしたのではないか。自分の愛した人に似ている違う女にそそられたのだろう。

 

土壇場で怖じ気づいたジョージは、ポーラを友人のエリック・クラプトンに奪われてしまう(『エリック・クラプトン自伝』イースト・プレス2008年)。クラプトンもまたパティに恋していた。ジョージの妻を口説けないので、代わりに妹と関係を持ったのである。