夫は夕方から出勤。私はこの日は仕事休み。

 

前日の話し合いから少し熱はさめ、彼は普段通りに仕度をして、私も普段通りに送り出した。

 

出勤前に離婚の話なんてしたらテンション下がるだろうし、こっちも1人になってからやり切れない気持ちになるのはわかっていたから、離婚の話については一切触れなかった。

 

彼が出かけたあと、このまま家に一人でいると色々考えてしまいそうで、とにかくどこでも誰か周りに人がいるところに行きたくて、近くのモールのフードコートに行って本を読むことにした。

 

その日は休日だったこともあってフードコートは結構混んでいた。

 

ざわざわしているところに行ったら気が紛れるかなとも思ったけど、周りの家族連れやカップルの楽しそうな姿にまた気が滅入りそうになる。

 

本を読もうとしてもやっぱり離婚のことを考えてしまって全然頭に入ってこない。

 

30分以上かけて2〜3ページ読んで涙が出そうになり、このままここにいても辛いだけだと思って家に帰ることにした。

 

帰り道でも、街中の家の庭に綺麗に飾り付けられたクリスマスのイルミネーションですら見ていて泣きそうになるのを必死でこらえる。

 

家に帰るとそれまで我慢していた気持ちが一気に込み上げてきて、ウワッと泣いた。

 

前日もたくさん泣いてすでにかなり目が腫れてるのにまた泣いてもう目の周りはパンパン。

 

そのあと少しスッキリして落ち着く、10分くらいしてまた悲しみが押し寄せてきて泣く、というのをその日は寝るまでずっと繰り返した。

 

不思議なことに、このとき彼に対しては恨みとか憎しみより感謝の気持ちを強く感じるようになっていた。

 

私と彼は10歳以上年が離れていて、私の方が年上。

 

結婚したときはまだ20そこそこで、私はもう30を超えていた。

 

お付き合いをしていた期間を入れると10年弱、彼にとっては20代のほとんどを私と過ごしてることになる。

 

20代の約10年は30代の約10年よりずっと大きい。

 

まだ若くて色々経験もできるうちに私と結婚して一緒にいてくれたことに感謝の気持ちでいっぱいになった。

 

それでも、これから先も一生一緒に生きていくと思っていた人から離婚を切り出された現実は辛くて受け入れたくなかった。

 

身近な友だちは妊娠していて出産間近か、妊活でナーバスな時期なので、私の話で余計なストレスをかけたくない、

 

復縁の可能性がゼロではないなら下手に相談すると後々彼がその友だちと会うときに気まずくなることとか色々考えて

 

なんとなく相談できずにいた。

 

夫は食べるものも着るものも自分で決められず、私に決めてという優柔不断な人だったから、離婚なんて人生の大きな決断をして、それをさらに私に切り出すなんて思いもしていなかった。

 

そういう人だから多少厳しいことを言っても別れると言わないだろうとタカをくくっていたのかもしれない。

 

離婚の決断をするに至るまでに彼はどれだけ悩んだのが、その決意がどれだけ固いものなのかはなんとなく想像ができた。

 

こちらがどれだけ「別れたくない」と言っても、彼の意思は変わらないだろうとも感じていた。