ホワイトペーパー

 

  ­       印刷営業 T・S・ピエロ

 

 

特集2本。寄稿文もあつまって「WHITE PAPER」のすべての原稿が完成。

 

「原稿づくり」は、企画も編集方針もいらない。ただひとつ、書くものがあるか。掲載する人間が、表現するものを、持っているかどうかだ。 

文章が書けないのではない。書く内容が本人にあるか否かだけである。

 

原稿をアリババに持ち込んだ。しかし、最終な問題は一緒だった。金がなかった。

アリババから言われた。印刷代の中で、製本代が問題。でも、製本しないと本に、雑誌にならない。

 

頭は使うものである。そして、機転を働かすものである。

ヨネナガの案を採用。

 製本しなけりゃいいじゃん。ホチキスで止めれば。どうやって止めるだよ? 真ん中から止めればいいじゃん。

 真ん中でとめれば、両側から記事が始められる。どっちも最初のページだ。

ハブさんがフォローした。

「なるほど。」そううなづいたマスダさんの声がしっかり響いた。

「アンケート特集とピチカートを両側から始める。なかに寄稿文をさしこむ。」

「それいいね。実におもしろい。売れるかも」

オオヤマさんが急に乗り気になった。

 

 結局アリババから受け取ったのは、印刷しただけのペラ数枚を帳合いした束。それを新宿のマスダ邸で、みんなでホチキス止めした。できあがったのをアリババにみせたら、逆に大いに感心していた。

 ただ単純に平たいままで、真ん中をふたつのホチキスで止めただけなのだ。

 

 ワタシタチは、ワタシタチが出会った8月25日、代々木公園に「ホワイトペーパー」を持ち込んだ。自分たちの一年間の思いの結晶である。

 

 

 

 8月25日、代々木公園は別世界。

 通りのかどで、南国の田舎町から出てきた小さな女の子がうたう。長い髪は、腰を下ろしたベンチをすぎて、地面すれすれである。割れるようで美しい、ぎりぎりの声が夏の公園にしみわたる。ハコ[1]が抱えたギターはやけに大きい。あんな小さな体から、どうしてあんな力強い声がでるのだろう。

 

四阿の横でも、こちらは西欧の女性をほうふつさせる女性が、メガホンを片手に歌っている。下唇を少し突きだすような発声が、まわりの人々をあやしい優しさにさそいこむ。歌っているセリ[2]の横で、そのメガホンを支えているのが、本日の主役ミドリブタ。今日がバースデー。

 

Mr.スリムの連中がいる。こうしんたろうがマンガを書いている。熱い議論を交わしている。共同幻想は正しいのか? 非平均律音階の音楽は、成立可能か? 伽羅[3]は、一体何者か?・・・こうした、さまざまな問いかけの中、騒然とした空間からいくつかの集団がうまれ、何かを作りだそうとしている。

 

そこで、みんなに「ホワイトペーパー」を配って歩いた。みんな手に取るなり見入った。そして、すごい。おもしろい。とみんな言ってくれた。喧噪のなかで、夢と現実がメリーゴーランドのようにぐるぐるまわっている。

すぐ横のとなりまちでは、タケノコがホコテンで、おどりまくっている。

ここは、聖地。

きっと、夢のゆりかごにちがいない。

メリークリスマス。メリー・サマークリスマス!

ホワイトペーパーって「白書」のことなんだ。へー。

飛びぬけるあおぞらに、誰とも知れぬ声が通り、ワタシタチの出会いの季節がやってきた。きっと、未来のために、ワタシタチひとりひとりにしか書けない白書を書く必要がある。そのためはじめるのさ。

メリー・サマークリスマス!

メリー・サマークリスマス!

 


[1] 山崎ハコ。シンガーソングライター。

[2] 石川セリ。歌手

[3] 正体不明の生体