※内容には触れますがネタバレ的なことは書きません。

 

映画BLUE GIANTを見てきました。

これはマンガ原作の映画で、以前記事にしたかもしれないのですが、私はこのBLUE GIANTというマンガが大好きです。

ジャズ、音楽をテーマにしたとてもストイックでエモーショナルなマンガで、8回くらい読み直してもまったく飽きないくらい好きです。

今もまだ連載中で、タイトルを変えながらシリーズ連載してるのですが、今回映画のエピソードになった無印BLUE GIANTがやっぱり一番おもしろくて好きで、映画でもその素敵さは健在でした。

 

特に印象的だったのがやはり音。

そして劇中で流れる楽曲。

そしてリアルな音楽の壁をうまく描いてたこと。

 

私は元々ジャズが好きなのですが、いわゆる王道のジャズではなくフュージョンなどの、現代風にアレンジされたジャズや、ジャズ要素を含んだジャズではない何かが好きなので、邪道と言えば邪道かもしれません。

BLUE GIANTはジャズの王道、○○ジャズではなく、シンプルに大きな枠でのジャズ、がテーマなのですが、私はその王道のジャズというのをあまり知りません。

聞いてみてもあまりピンとこなかったんです。

ジョン・コルトレーンやソニー・ロリンズ、アート・ブレイキーなどなど作中で出てくるジャズ界の巨匠の曲を聴いてもイマイチ好きになれなかった。

なので、ビッグプレイヤーたちをリスペクトしているキャラクターたちの奏でる音は私の好みの音ではないかもな……と思っていたのですが、それは杞憂でした。

どの楽曲も素晴らしかった。

 

サントラがSpotifyで聴けるので、興味がある方は聴いてみてください。

聴けるけど私はサントラを買った。ちゃんと持っていたい。

作中で一番最初に三人が作る曲「FIRST NOTE」はめちゃくちゃかっこいいです。

ピアノソロの導入部分で鳥肌が立ちます。

ピアノの音が大好き。

 

 

映画の構成については賛否両論あると思います。

私が布教してBLUE GIANTを好きになった友人と見に行ったんですが、私とは感想がかなり違う感じになりました。

ただ音楽の部分については二人とも文句なしです。

10冊分の漫画を2時間の映画にまとめるとなると、やはりある程度の無理は出てきてしまうよなーと思いました。

 

とはいえ、映画作りは限られた予算、時間、人員という限定的なリソースで作るしかないですから、その観点からすれば私は満点だと思います。

なぜかというと、音楽がテーマの作品で、ちゃんと音楽に比重を置いてくれたからなんです。

楽曲とピアノ演奏をピアニストの上原ひろみさんが担当しているのですが、ここに相当予算を割いているのでは? と思いました。

原作者が担当とライブを見に行ったというのもありますし、世界的なミュージシャンである上原ひろみが楽曲担当というのはとても納得。

声優は正直言えば上手くないですが、終盤になはなんか慣れたし、たぶん上手くなってった感じがある。

3Dの動きはうーーーーーーんって感じだけど、まぁこれは仕方ない。

作画は序盤ちょっと崩れ気味だったけど中盤からは演奏シーンが多いからか安定しましたね。

 

絵に関しては私は演奏中の絵がものすごく気に入りました。

とても幻想的な描写になっていて、最初はちょっと大げさだよーと思ったんですが、中盤から終盤にかけての展開ではまったく大げさだと感じなくなりました。

より派手になってはいるのに違和感がなかったのは、展開の熱さとリンクしていたからなのかなと思います。

動かすだけがアニメじゃないんだ、と思いました。

緩急のつけかたがすごくうまくて、演出のクオリティがすばらしかったですね。

 

話の展開は原作とはちょっと違います。

キャラクターの登場の仕方やシーン、セリフなどは違うのですが、8割満足です。

端折るとしたらそれを選ぶよね、という感じで私は納得の構成でした。

このシーン欲しかったなぁ、というところがいくつかはありますが、なかったら許せないというものはなかったです。

大事なところはほぼ盛り込んでると思う。

 

というのも、脚本を担当したのが、漫画BLUE GIANTの元担当さんなんです。

この担当さん、ホントにBLUE GIANT好きなんですよ、巻末とかでもよく登場するのですが。

BLUE GIANT好きな人だったら確かにこうするよね、という感じで、だから原作通りではなくても納得なんです。

自分だったらもっとうまくできるか? と考えてもできそうにないので、だったらこれがベストってことじゃん、って思いました。

 

ラストのクライマックスのところは私と友人で賛否が分かれましたが、「完結(これのみで完成)させないといけない映画というコンテンツ」でかつ「音楽をテーマにしたエンターテインメント」であることを踏まえれば、この上ない最高の展開だと私は思います。

ここは賛否分かれてもいいと思います。

ただ私は良かったと感じたし、この展開にしてくれて嬉しいし「きっと作り手たちはこれを見たかったんだろうな」と思えたので、個人的には100%良かった側です。

友人の言いたいこともわかるんですが、映画という作品である、と考えるかどうかでかなり見方が変わるかもですね。

 

 

あとこれはすごく個人的な好みなんですが、私は間接照明が大好きなんですね。

で、ジャズとバーはとても縁が深くて、バーとかジャズのライブハウスって、基本暗くて間接照明なんですよ。

なので、背景見てるだけでもすごく満足感がありました。

言の葉の庭のときと同じくらい、背景や舞台が良かった、絵そのものを楽しめた。

昨日見てきたんですが、もうすでに見に行きたいです。

 

たまたま音がすごく良いシアターだったからかもなんですが、すごかったんですよ音が。

ドルビーシネマだったんですが、全方向からリアルな音が聞こえてきて臨場感がすさまじかったです。

ライブ見てるのかな? ってくらい。

音楽のクオリティが全体通して本当に本当に良いので、音楽を聴くためだけでも行きたい。

それに幻想的でエモーショナルな絵がついてるとか、私にはもうドンピシャでした。

アニメ映画では今のところシンエヴァがトップだったんですが、同率1位くらいになった感あります。

 

 

そんなわけで映画BLUE GIANT、とてもおススメです。

少なくとも

「マンガのBLUE GIANTが好き」

「ジャズが好き」

「上原ひろみが好き」

「ジャズに興味がある」

「アツい展開が好き」

という人はぜひ見にいってほしい。

そうではないと楽しめないという感じでもないと思います、掛け値なしでもシンプルに良いです。

 

せめてジャズの有名な曲は叩けるようになろうかな。

いつかジャズでセッションとかしてみたいなーと思いました。