機能性ディスペプシア ~症状の増悪緩解因子と舌所見から分析する~ | 大阪弁天町の漢方薬局「廣田漢方堂薬局」のブログ

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関西地方在住の50代女性

 

胃の痛み、食欲不振、胃もたれなどがあり、医師からは機能性ディスペプシアと診断。

 

アコファイドなどのお決まり処方を服用するも全く改善せず、食養生を徹底的にしても改善せず、体重が減少傾向となったため、食養生を中止し、行きつけの整骨院にて血虚があるから鶏肉(脂も含めて)を食べるように言われ、それを続けていたら脂もので症状が増悪するようになってしまい、どうすればよいのかわからなくなってしまったために相談に来られたとのこと。

 

たしかに血虚はあるのかもしれないが、それは末端病証であり、根本的には脾胃の異常によって食事が摂れず、気血津液がうまく生成できないことにある。

 

この状態から離脱するには、血虚を意識するのではなく、胃腸機能を傷害している病因を解決するしかない。

 

ということで、食事では脂ものや量を食べ過ぎると症状が悪化するということから、これらは暴飲暴食で飲食不節、さらに脂は湿邪もしくは痰邪を助長する因子であり、消化に大量のエネルギーを必要とすることから気虚もしくは気滞を起こさせるものと考えた。

 

この推察の下、舌を見たときに処方は決定。

 

淡白舌で潤、さらに白膩苔傾向があったこと、心下部に症状が集中していることなどの状況から延年半夏湯を選択。

 

ひとまずは延年半夏湯で気滞(気の上逆)・気虚・湿痰をさばくことでどこまで動くかを診ることにした。

 

機能性ディスペプシアでこのような病態の場合、漢方を服用することによって気滞や湿痰が動き出すと症状が一過性に悪化したり、予期せぬ症状が出ることが少なくない。

 

多くは一過性であり、2~7日程度で落ち着いていくのだが、ほとんどの相談者は「悪化したのではないか?」と不安になり、電話やメールでの確認が必発する。

 

この女性の場合も、「症状が強くなっている気がするが大丈夫か?」という類の連絡があったが、気にせず服用するように指示。

 

案の定、症状はその後、終息し、2週間で⑩⇒⑤程度に軽減。

 

気滞・湿痰が絡んでいる症状は軽減傾向にあるものの、胃の痛みは割と残っているため、この痛みは気滞・湿痰から派生した瘀血が絡んでいると考え、桂枝茯苓丸を追加。

 

これでキレイに症状は落ち着き、食欲が出てきて何を食べても調子を崩すことなく元気を取り戻しているとのこと。これでようやく運動ができそうだということで前からやっていたヨガを再開されるとのことだった。

 

今回の症例のように病因が初回である程度掴めたらススッといってくれるので助かる。この女性はこれまで散々色々とやってきたのに、漢方をはじめて症状改善までに1か月かかっていない。ここから言えることは、やっぱり病因病理をきちんと意識して適切な処置をすることが必要だということである。

 

主訴の増悪緩解因子と症状の出方が割とわかりやすく、舌がその病態をうまく証明してくれたことが良かったように思う。