厚生年金の「養育特例」について知っていますか?
仕事と子育てを両立するために、時短勤務に変更したり残業を免除してもらったりして時間をやりくりされている方は多いと思います。これにより勤務時間が短くなると、収入が減る事が考えられます。男性でも、育休は取得しなかったけど、残業をしないで子育てをするという方がいらっしゃるかもしれません。
収入が下がると、将来それに基づいて計算する厚生年金の給付額も影響を受けることになります。これを防ぐため、お子さんが3歳になるまでの期間で収入が減った場合に、その間は減る前の収入があったとみなして年金の計算をする特例制度があります(養育期間標準報酬月額特例)。保険料は下がった収入に基づいて徴収されますので、負担は変わりません。
この厚生年金の特例制度を利用するかどうかは任意ですので、利用するためには事業主を通して申請する必要があります。性別は問いません。
育休明けに勤務形態を変えるタイミングで申請することが多いと思いますが、しばらくしてから状況が変わって収入が減るようになった場合、申請をし忘れてしまう危険があります。過去の期間は2年まで遡れますが、それより前は時効となり特例が適用されませんので、該当する場合は早めに申請しましょう。
育児休業給付金の延長手続きが厳しくなります(令和7年4月より)
雇用保険制度では、育児をする社員に対して保障がされている一方で、”制度メリット”だけを活用する労働者も多くみられるのが現状です。その一つとして、原則出産児が1歳になるまでの期間、雇用保険から給付される「育児休業給付金」が挙げられます。
この育児休業給付金は、育児休業給付金は原則出産児1歳になるまでですが、保育所の入所を申し込んだものの選考から落とされたしまった場合には最大2歳まで延長が可能です。
現行では、育児休業給付金の申請時に市区町村から交付される「入所保留通知書」や「入所不承諾通知書」を添付すれば、出産児が1歳6ヶ月になるまでの間、給付金も延長ができ、さらに1歳6ヶ月になっても保育所に入所できない場合は、出産児が2歳になるまで延長ができるようになっています。
しかし、令和7年4月から「入所保留通知書」や「入所不承諾通知書」のみでは、延長ができなくなります。
令和7年4月から延長に必要な書類は以下のとおりです。
・「入所保留通知書」または「入所不承諾通知書」
・「延長事由認定申告書」
・「市区町村申込書の写し」
なお、入所申込書において「保育所への入所希望していない」「すみやかに職場復帰する意思がない」「選考結果にかかわらず育児休業の延長を希望する」などの記載があり、保育所の入所の意思や職場復帰の意思がないことが明白な場合は、給付要件を欠き、不支給となりますので、注意が必要です。
令和6年所得税・住民税の定額減税について
一.定額減税とは
令和5年の経済対策に基づき、所得水準や世帯構成に応じて行われる給付金、定額減税の一体措置の内の1つで、給与所得者に対して所得税の令和6年分および住民税の令和5年分を対象として、通常の源泉徴収額から一定額を特別に控除する制度です。
二.対象者
令和6年の所得税、住民税の納税者で、合計所得金額が1,805万円以下の人です。
三.減税額
※ 合計所得が48万円以下(給与収入のみの場合103万円以下)
四.減税の時期と方法
給与事務担当者は、次の事務を行うことになります。
(1)所得税
令和6年6月支給の給与から定額減税を開始し、翌月以降も順次控除していきます(これを「月次減税」といいます)。年末調整の際、年末調整時点の定額減税に基づき清算を行います(これを「年末減減税」といいます)。
(2)住民税
特別徴収の住民税は6月分を徴収しないで令和6年度納付分の均等割りを除いて所得割から減税額を差し引いた額を11等分し(100円未満の端数は7月の控除分に加算)、令和6年7月支給の給与から令和7年5月支給の給与まで分割して控除します。(5月中旬に通知があります。)
以上