問合せをもらった翌日、M様と問題の物件で待ち合わせをしました。

 

M様にとっては数回目の見学、私は初めて見た物件。

 

その物件は、M様が「買いたい!」と思うのがよくわかる、素敵な物件でした。

 

 

ただ、お客様の情報を聞くにつれ(業界用語でヒアリング)、一つの疑問が湧いてきました。

「なぜ、住宅ローンの事前審査が通ったのだろう・・・。」

 

 

住宅ローンを借りる場合、大きく分けて2回の“審査”があります。

一つ目は“事前審査”といって、お客様のお申し込み内容に沿って、融資の可否を判定します。

二つ目は“本審査”といいますが、審査内容は概ね“事前審査”とかわりません。ただ、提出資料は原本を求められるなど、精度が増します。

 

9割以上の場合、“事前審査”が通っていれば“本審査”は問題なく通過します。

なので、“事前審査”を通過したお客様が“本審査”で否決となるのは、“極めて稀”なのです。

 

ちなみに、仮に“事前審査”が通っていて“本審査”が危うい場合は、金融機関から何らかの指摘や注意があるのです。

 

 

改めてヒアリング内容を考慮しました。

M様の年収から考えると、予定している住宅ローンはパッと見では借りられそうなのですが、“マイカーローン”があったため、私の検討では“事前審査”は通らないように思えたのです。

 

しかし、LLでは“事前審査”を通過している・・・。

 

ちなみに、“マイカーローン”があることは、お客様が隠したとしても“事前審査”のときに金融機関にバレてしまいます。

もちろん、M様もそのことはわかっていたので、“マイカーローン”のことは隠さずにLLに伝えていたそうです。

 

 

そこで改めて伝えました。

「M様のご状況から検討すると、予定している住宅ローンは不可能だと思われます。

何か、M様が把握されていないことがあるかもしれません。」

 

そして、事務所に戻った私は、M様がLLに紹介されたという金融機関へ問い合わせをしました。

個人情報の問題があるので、金融機関から突っぱねられることも予測し、事前にM様からご連絡を入れてもらい顔繋ぎをしてもらいました。

 

なんとか担当者までつながり、M様のご事情を金融機関に伝えました。

担当の男性(Kさん)は丁寧に話を聞いてくれました。

「ちょっと詳細を確認し、ご連絡いたしますね。」

 

Kさんからの連絡があらためて来るのか、一抹の不安がありましたが、なんと1時間後に連絡が来ました。

 

「ちょっと大きな声では言えないことなので、御社の事務所に伺って直接話したい!」

 

この時はサッパリわかりませんでしたが、今でもKさんの勇気ある行動に感謝しています。

 

M様と会った日の夕方、金融機関の担当者Kさんが弊社に来店されました。

 

「これは『事件』といってもおかしくない内容です。」

そういって一枚の紙を見せてくれました。

「絶対にこれを見たことは他言しないでください。また、メモやコピーはとらないでください。」

それは、M様が書いたという“事前審査の申込書”だったのです。

 

 

Kさんが決死の覚悟で見せてくれた、金融機関にFAXで送られた“事前審査の申込書”は、とんでもないモノでした。

 

なんと、“年収”の欄だけ明らかにM様のものとは違う筆跡で、私がヒアリングしていた年収よりも数百万円多く記載されていたのです。

 

そして、M様のものとは違う筆跡の年収の下に、修正テープを使用した形跡があったのです。

 

「この事実を知ってもらわないと、話を進められないと思いました。」

Kさんも必死の形相でした。

 

 

LLは『住宅ローン内定率98%』を売り文句にしている会社だったからです。

 

 

続く