ちょっとチョコレートが欲しいな、なんて思うと、私は安売りのドラッグストアに立ち寄る。

 まだ制服を着ていた頃、アメリカの薬局にはクスリ以外のいろんなモノが置いてあるってことを聴いて、珍しいもんだ、と思っていたけれど、日本のクスリ屋さんもアメリカナイズされてきたなと思う。

 で、チョコレートやスナック菓子が店頭で安売りされていて「おひとり様2個まで」などと書かれていると、今や当然のことのようについ手が伸びてしまうのだ。


 そして、沢山のお菓子が並んだ脇にふと目をやると、「カロリ○ット」なんて名前のダイエットサプリメントがちゃんと置いてある。

 これを見ると、私はいつも「ブブゼラと耳栓」をセット販売する商魂逞しい中国人を思い出すのだ。

 考えてみれば、このテの商売が世の中の至るところに蔓延しているのが、今の世の中というわけだ。

ブブゼラと耳栓。
お菓子とダイエットサプリメント。
フィットネスのあとのビール。

数えればキリがない。


その最たるものは、詐欺師と法律家、定期検診のレントゲンとガン、とか、ワクチンと副作用、だったりして。


まあなんと「豊か」な世の中だ。
何が豊かなのかはよくワカンナイけど。

とりあえず人間のホメオスタシスにすっかり馴染んだ「消費欲」は充たされるようで。

「欲」を満たした快感は、すぐ消えてなくなる性質なのだが、だからこそ、渇望が止まなかったりもする。
そうなると、この世は餓鬼が巣食う地獄絵図の様相を呈するので、なんとも生きづらいものである。