「将来どうなるという想定はしますが、確定させることはできないので、今、最善を尽くしていく。それが僕のやり方です」

テレビショッピングでおなじみの、ジャパネットたかた・高田明社長。ゼロからのスタートで今の事業を築いた高田社長の、テレビでは聞けない名言集。新年にあたって、「仕事の心得」をご紹介します。
テレビショッピングでおなじみ、ジャパネットたかたの高田明社長は、ハイテンションなトークによる独特の商品説明で、タレント並みの人気を集めている。商品の魅力を分かりやすく、かつ強力にアピールすることに関しては、もはや名人芸の域に達していると言ってもいいだろう。
名人といわれる人の例に漏れず、高田社長のプロ意識は徹底している。常に「これが最高なのか」と自問しながら仕事をする。「こうした方が良いのではないか」と気づいたら、躊躇(ちゅうちょ)しないでやり方を変更する。生放送開始の10分前に紹介する商品を変更したこともあれば、会社の大ピンチで重大な決断をためらわずに下したこともある。
高田社長は、通販というビジネスチャンスを見出し、仕組みを整え、社員を育て、会社を成長させてきた。ジャパネットたかたは消費の低迷が続く中でも成長を続け、昨年度の売上高は約1500億円に達している(2009年12月期)。
経営者としても手腕を発揮している高田社長は、「仕事」についても思わず聞き入ってしまう話をしてくれる。以下、テレビでは聞けない高田社長の「これぞプロ」の発言を紹介しよう。
◆「ま、いいか」と、あきらめそうになる気持ちをぐっとこらえて頑張ると、仕事が楽しくなってくるし、お客様からの反応もあるものなんです。
(生放送開始の10分前でも商品を変更することがある)
◆一つひとつの仕事をするたびに、「これが最高なのか? これ以上はできないのか?」って心の中でつぶやきながら、ベストを尽くしてみてください。もし失敗しても、最善を尽くした結果であれば、必ず次の成功に結び付きます。それが結果的に失敗を忘れ、くよくよしないことにつながると思います。
(通販カタログやチラシは完成までに何十回も修正する)
◆反省会の場で、私が禁句にしている言葉があります。「おかしいな。こんなはずではなかったのに」です。自分の狙い通りに物事が進まなかった時、誰でもつい使ってしまう言葉です。
(反省会をなぐさめ合いにしない)
◆売れない理由を探すより、売れる方法を探したほうが、絶対に次の結果につながると思います。
(前向きに考えるメンバーが増えてこそ組織は良い方向に回転する)
◆将来どうなるという想定はしますが、確定させることはできないので、今、最善を尽くしていく。それが僕のやり方です。将来を考えるよりも、今やることで次が見えるようにする。目標のない積み上げ方式です。
(自分を縛る無理な目標を立てない)
◆サービスの質を高めるにはどんなことを意識したらよいのでしょうか。私はお客様の「がっかりした」という声を聞きのがさないことだと思います。
(耳に入りにくい情報を大事にする)
◆自分にとってのマイナスを極力小さくしたいという思いが、ミスから逃げてしまう原因になります。ミスから目を背ける方が楽でしょうが、問題を大きくしてしまうリスクがとても大きくなる。ミスや過ちを認めて丁寧な対応をする方が、結果としてマイナスを小さく済ませることになるのです。
(2004年に発生した顧客情報流出事件では即座に販売自粛を決めた)
【お知らせ】
『ジャパネットからなぜ買いたくなるのか? 一番売れた生放送の秘密』(荻島央江著)日経BP社の『日経ベンチャー』(現・『日経トップリーダー』)、『日経ビジネスアソシエ』、『日経ビジネスオンライン』などに掲載された高田社長のインタビュー記事を集大成。話し方や見せ方など「お客様に想いを伝える力」、どんなときでも全力を尽くす「仕事に取り組む姿勢」などについて、高田社長が語り尽くす。
※BPnet 特集「テレビでは聞けないジャパネットたかた社長の名言集」より転載
